3. 年金はそんなに少ないのか
最後に、今の高齢者が受給している年金額を「国民年金」「厚生年金」にわけて確認しましょう。厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考にします。
3.1 国民年金の平均月額
〈全体〉平均年金月額:5万6252円
- 〈男性〉平均年金月額:5万9040円
- 〈女性〉平均年金月額:5万4112円
3.2 厚生年金の平均月額
〈全体〉平均年金月額:14万4366円
- 〈男性〉平均年金月額:16万4742円
- 〈女性〉平均年金月額:10万3808円
※国民年金の金額を含む
どちらの年金を受給するかによっても、印象は大きく異なります。また会社員や公務員が加入できる厚生年金は、現役時代の収入や加入期間によって受給額が決まります。
勤労期間を通してたくさん稼いだ方は、平均以上の厚生年金を受給しているでしょう。少数派ではありますが、月30万円以上の年金を受給している方も中にはいます。
厚生年金の受給額を10万円ごとの4段階に分けると、構成比は以下のようになります。
- 30万円以上~:約0.1%
- 20万円以上~30万円未満:約16%
- 10万円以上~20万円未満:約61%
- 1万円未満~10万円未満: 約23%
10万円以上~20万円未満が多いものの、次に多いのは1万円未満~10万円未満。格差がうかがえますね。
4. 老後資金はいかに早く意識するかがカギ
60歳代の貯蓄額、さらには年金受給額を見ることで、その金額はピンキリであることがわかりました。
特に平均では貯蓄2000万円をクリアしているものの、実際には3割しかいないことから厳しい格差がわかりましたね。
現役時代から老後を見据えて準備をしてきた方にとっては、当たり前の結果に思うかもしれません。今の60歳代と言えば、バブルの高金利時代を経験しています。
銀行に入れておくだけでお金が増やせた時代に、うまくお金を守りきれた方が貯蓄を増やせたのかもしれません。
今の現役世代にとっては夢のような話です。銀行の金利はほとんどなく、若い人にとって銀行は「預けるだけ」の存在となっているでしょう。預けてお金が増える、という現象にピンと来ないものです。
その代わり、昔はなかった「つみたてNISA」や「iDeCo(個人型確定拠出年金)」など、税制優遇を受けながら資産を形成できる金融商品もあります。
十分な老後資金を備えるためには、こうした制度も視野に入れながら、早めに準備を進めることが大切でしょう。
参考資料
太田 彩子