IoT時代においては、数百億個もの膨大なセンサーデバイスからの情報がネットワークを経由してクラウドに繋がると予測されている。
ただしその実現のためには、電源確保や電源ケーブル増設が困難な場所からもデータを安定的に送ることができる、低消費電力かつ長距離通信が可能なセンサーデバイスが必要とされる。
そうしたニーズに応えると期待されるのが、2017年12月4日に富士通(6702)の子会社である富士通研究所が発表した「LPWA(Low Power Wide Area)対応・電池交換不要の世界最小センサーデバイス」である。
同様な役割を担うセンサーデバイスとしては、BLE(Bluetooth Low Energy)の無線方式を用いたセンサーデバイスがあるが、伝送距離が短いという難点がある。
その難点を補うことが期待されているのが、長距離無線に対応可能であるLPWAの無線方式である。
ただし、LPWAは少量のデータをゆっくり送信して長距離での通信品質を確保するため、BLEに比べて送信に要する時間が長く、1回の送信にBLEの約1500倍の大きな電力が必要となる。
そのため、従来の電源制御技術を用いたセンサーデバイスでは、小型化や電池交換不要なLPWA対応のセンサーデバイスを実現することができなかった。
そうしたなかで富士通研は今回、新たに電源制御部の回路を開発することでこうした課題を解決し、太陽電池でも動作が可能で、またBLEでは困難である7キロメートルという長距離伝送も可能なデバイスを開発している。
製品化は2018年度からとされているが、将来は道路や橋などのインフラ劣化の監視、河川の氾濫の危険予知など様々な社会課題の解決に、こうしたデバイスが活用されていくことが期待される。
LIMO編集部