3. 60歳代「厚生年金と国民年金」の平均月額はどれほどか

では、「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考に、年齢別の年金受給額をご紹介していきます。

出所:厚生労働省「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」

3.1 60~64歳・65~69歳の国民年金の平均年金月額

  • 60~64歳 4万2512円
  • 65~69歳 5万7739円

3.2 60~64歳・65~69歳の厚生年金(第1号)の平均年金月額

  • 60~64歳 7万7274円
  • 65~69歳 14万3613円

※国民年金(基礎年金)の月額を含みます。

現行の年金制度では老齢年金の受給開始年齢は65歳~となります。

60歳~64歳の年金額は、繰上げ受給制度を選択して年金の受け取り開始年齢を早めたことにより減額されたものです。

繰上げ受給を検討している人は、60歳~64歳の受給額を参考にすると良いでしょう。

なお、厚生年金は現役時代の年収や年金加入期間により個人差が大きいため、ここで確認した年金額は参考程度に見ていただき、ご自身の年金見込額は「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」でご確認ください。

4. 「お金に働いてもらう」工夫も必要

今回は60代を中心に、貯蓄額や国民年金・厚生年金の受給額を見てきました。

実際に見ていくと、公的年金だけで生活していける人は少ないと感じたのではないでしょうか。

現役時代に準備をしておかないと、老後生活は大変苦しいものになってしまいます。

インフレでありながら低金利が続く近年。「お金に働いてもらう」ことも非常に重要です。

「NISA」や「iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)」などの国主導の税制優遇制度があります。

「NISA」とは、投資信託や株式などの投資で生じた利益に対して通常約20%の税金が引かれるのですが、NISAを利用することで利益が全て非課税となる制度です(上限あり)。

「iDeCo」とは、公的年金(国民年金・厚生年金)とは別に給付を受けられる私的年金制度の一つです。

掛金、運用益、給付を受け取る時に税制上の優遇措置が講じられます。

このような国が主導する税制優遇制度を利用しながら、効率良く資産を増やしていく工夫も検討してみてはいかがでしょうか。

参考資料

川村 哲之