過去の同月に公開された記事をプレイバック!もう一度読み直したい、「編集部セレクション」をお届けします。 (初公開日:2020年9月23日) |
退職金の受け取り方には「一時金」「年金」「併用型」があります。受け取り方で、一体どのくらい差が出るものなのでしょうか。また、退職金は全体的に減少傾向にあるともいわれています。今からできる対策はあるのでしょうか。退職金を含めた将来設計について考えていきます。
1.退職金を「一時金」として受け取った場合
退職給付金を「一時金」として受け取った場合は以下のような取扱いとなります。
1.1 退職所得控除額
- 勤続年数20年以下の場合:控除額=40万円×勤続年数
- 勤続年数20年超の場合:控除額=800万円+70万円×(勤続年数-20年)
1.2 課税の対象となる退職所得の額
次に、退職一時金から控除額を引いて、課税の対象となる退職所得金額を求めます。
- 課税対象額=(退職一時金-[1]または[2]の金額)×2分の1
通常の所得と比べて課税対象額が2分の1となるため、税制上の優遇が大きいことが分かります。
2. 年金として受け取った場合
退職金を年金として受け取る場合は雑所得に分類され、「公的年金等控除」が適用されます。年金等に該当しない退職金もあるため勤務先に確認が必要ですが、税制上は公的年金や確定給付型年金、確定拠出年金などと同様の取り扱いとなります。
3. 一時金・年金・併用型、どれがお得?
実際、一時金・年金・併用型の金額的な違いはどのくらいなのでしょうか。定年退職金の平均値をもとに受取金額を比較してみましょう。
3.1 大学・大学院卒(管理・事務・技術職)
3.2 高校卒(管理・事務・技術職)
3.3 高校卒(現業職)
3種類の中で支給額が一番多いのは両制度の併用となりました。また、税制面の優遇が大きい「一時金」よりも「年金型」の支給額が高くなっています。
ただし年金で受け取った場合は雑所得扱いになるため、国民健康保険に加入した際の所得割額は増加する可能性があります。「健康保険の被保険者期間が2カ月以上」「退職から20日以内に申請手続き」といった条件はありますが、退職後最長2年間は会社の健康保険組合に加入できます(健康保険任意継続制度)。ただその後は国民健康保険に移ることも想定して検討しましょう(「特例退職被保険者制度」を導入している企業であれば、後期高齢者医療制度加入まで会社員時代と同じ健康保険に加入できる場合があります)。
また、退職金で住宅ローンを完済する予定などがある場合は一時金として受け取るメリットも大きいでしょう。退職金の受け取り方法については、個人の状況に応じて総合的に考えてみてください。