学歴で賃金が異なると親は子供に言うのはどの国でもありふれた光景ですが、それは本当でしょうか。また、実際はどの程度の差がでるのでしょうか。今回は厚生労働省(厚労省)の資料を基に見ていくことにしましょう。

はじめに

今回のデータは2017年2月22日に公表された「平成28年賃金構造基本統計調査の概況」をもとにしています。ここでいう賃金とは6月分の「所定内給与額」を指しています。

また「所定内給与額」とは、労働契約などであらかじめ定められている支給条件、算出方法により6月分として支給された現金給与額のうち、時間外勤務手当、深夜勤務手当、休日出勤手当、宿日直手当、交替手当などの超過労働給与額などを差し引いた額で、所得税等を控除する前の額となります。

アベノミクス以降、これまでの賃金推移

では、歴史的に賃金全体はどう推移してきたのでしょうか。アベノミクス以降、賃金は上昇したといわれていますが、実際はどうなのでしょうか。

2016年の男女計の賃金は30.4万円で対前年比横ばいです。アベノミクスが始まった2012年は29.77万円だったことを考えれば多少は増加していますが、手ごたえがある上昇ともいえない数値です。

また、男女別にみると、男性の2016年の賃金が33.52万円、2012年が32.90万円。女性の2016年の賃金が24.46万円、2012年が23.31万円となっており、賃金上昇の絶対額としては女性の方が変化が大きかったといえます。

今回の厚労省のデータで過去20年近いデータを振り返ると、男女計の賃金がもっとも高かったのは2001年の30.58万円となっています。アベノミクスと言われて5年近くが経ちますが、今回の厚労省の賃金データを見る限り、まだまだ労働者が手にしている賃金面では恩恵を受けていないというのが実際ではないでしょうか。

大学卒と高校卒で賃金でどこまで差が出るのか

大学・大学院卒の賃金は、「すべての企業規模」「男女計」「20~69歳計」で見た場合、37.17万円となります。ただし、企業規模別に見ると「大企業」が40.86万円、「中企業」が35.23万円、「小企業」が31.84万円となります。

ちなみに、ここでいう「大企業」とは「常用労働者数」が1,000人以上の企業です。また、100~999人は「中企業」、10~99人は「小企業」として分類されています。

また、常用労働者は「一般労働者」と「短時間労働者」に分けることができますが、今回のデータに関しては「一般労働者」について見たものです。

では、同様に高校卒で見てみましょう。上と同じ条件(「すべての企業規模」「男女計」「20~69歳計」)で見た際には、賃金は26.27万円。企業規模別にみると大企業で29.12万円、中企業で25.17万円、小企業で24.98万円となります。

こうしてみると、当然だという指摘もあろうかと思いますが「大学を卒業して大企業に勤務する」ということがより高い賃金を手にする近道といえるでしょう。

何歳が賃金を一番たくさんもらえるのか

では、年齢別に見ていくとどうでしょうか。

大学・大学院卒で見ると賃金が最も高くなるのは50~54歳の年齢階級です。すべての企業規模計でみると、同年齢階級では賃金は51.56万円となります。また、企業規模別に見ると、大企業で57.18万円、中企業で48.85万円、小企業で40.66万円となります。

高校卒ではどうでしょうか。

高校卒でも賃金が最も高くなるのは50~54歳の年齢階層です。賃金は30.59万円となり、企業規模別では、大企業が35.62万円、中企業で29.08万円、小企業で27.49万円となります。

大学・大学院卒の20~24歳の賃金は22.19万円、高校卒の同年齢階級の賃金が19.19万円ですので、この時点ではそれほど大きな差はありません。しかし、先に見たとおり、50~54歳の年齢階級では、大学・大学院卒の賃金が約52万円であるのに対し高校卒で約31万円です。年齢を経るにしたがって、その差が大きくなっています。

まとめにかえて

「良い大学を出て大企業に入社をすれば、より高い賃金を手にできる」というのは、データ上正しいと言えます。ただ、その大企業も必ずしも安泰というわけではなく、グローバルの競争が激しい分だけ栄枯盛衰も激しいのが悩ましいところです。

また、賃金が毎月積み重なったものが年収ですから、勤務年数が長くなればなるほど生涯で手にできる収入も増えることになります。計算上は、高賃金の会社で長く務めるのが正解のようにも見えますが、皆さんはどうお考えでしょうか。

LIMOキャリア部