来月の10月13日は年金支給日です。

年金は老後の生活費を支える大切な収入源という方が多いと思いますが、年金だけで実際に生活費をまかなえているでしょうか。

まかなえているという方でも、ゆとりある生活を送れている方はどのくらいいるのかも気になるところです。

「ゆとりある生活」の水準は人それぞれ異なりますが、厚生年金をひとりで月額30万円受け取れると趣味や旅行、親族とのつきあいなどに十分なお金を使えるのではないでしょうか。

この記事では厚生年金をひとりで月額30万円受け取っている方の割合や、現役時代の年収がどのくらいあれば月額30万円を受け取れるのか解説していきます。

1. 厚生年金を「ひとりで30万円」受け取れる方は0.09%

まずは、厚生年金をひとりで30万円受け取っている方の割合について見ていきましょう。

厚生労働省の「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金を月額30万円以上受け取っている方は、厚生年金受給者全体の0.092%のみとなっています。

厚生年金受給権者総数1618万445人のうち、月額30万円超を受け取っている方は、1万4816人というごく少数の方に限られていることがわかります。

男女別に見てみると、男性で月額30万円超受け取っている方は受給権者1082万8213人のうち1万4455人で0.133%、女性は535万2232人のうち361人で0.007%という結果です。

同調査によれば厚生年金の平均受給額は約14万6000円なので、その2倍以上の30万円超を受け取れるのは、ごく一部の方に限られるというのもうなずけるでしょう。

では、そんなうらやましい方は現役時代にどのくらいの年収を得ていたのでしょうか。次章で詳しく見ていきましょう。

2. ひとりで年金月額30万円を受給するには年収は1282万円必要

厚生年金を月額30万円受け取るために必要な年収を試算していきます。

厚生年金受給者が受け取る年金には、厚生年金だけでなく国民年金も含まれています。国民年金は満額で月額6万6250円受給できます(令和5年度)。

試算をわかりやすくするために、仮に6万6000円を受給するとした場合、年額にすると79万2000円となります。

年金を月額30万円受け取る場合、年額では360万円となり、国民年金分の79万2000円を差し引くと、厚生年金から280万8000円受け取れば良いことになります。

厚生年金額は、以下の計算式を元に求めます。

2.1 【老齢厚生年金額=A+B】

  • A:2003年3月以前の被保険者期間
    平均標準報酬月額×7.125(※)/1000×2003年3月までの被保険者期間の月数
  • B:2003年4月以降の被保険者期間
    平均標準報酬額×5.481(※)/1000×2003年4月以降の被保険者期間の月数

※昭和21年4月1日以前に生まれた方は乗率が異なります。

ここでは、2003年4月以降に40年間の被保険者期間がある場合で試算してみましょう。

上記Bの計算式「平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以降の被保険者期間の月数」より、「報酬比例部分(280万8000円)=平均標準報酬月額×5.481/1000×480月」と立式できます。

計算すると、平均標準報酬月額は約106万8000円で、年額に換算すると1281万6000円(106万8000円×12ヵ月)になります。

試算結果をまとめると、厚生年金を月額30万円受け取るには、現役時代に月収106万8000円を40年間継続して得ることが必要ということがわかります。

2.2 ただし平均標準報酬月額は月額65万円が上限

厚生年金保険料は平均標準報酬月額をもとに決まりますが、実は月額65万円が上限となっています。

そのため、100万円を超えるほどの高額な月収があっても、最高の65万円(32等級)で保険料が計算されるので年金受給額も同じになるのです。

平均標準報酬月額が65万円の場合、国民年金を含めた厚生年金額は月額約21万円なので、月額30万円を受け取るにはさらに加給年金などの支給があったり繰下げ受給をしたりなどで年金額がプラスされ、その結果30万円が実現したと考えられるでしょう。

※1 加給年金
加給年金とは厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある方が、65歳到達時にその方に生計を維持されている一定の条件を満たした配偶者や子どもがいる場合に加算されるものです。配偶者と1人目・2人目の子どもはそれぞれ22万8700円が、3人目以降の子どもはそれぞれ7万6200円が加算されます。

※2 繰下げ受給
年金は原則として65歳から受給開始となっていますが、66歳以降75歳までの間に繰下げて受給開始することができ、この制度を繰下げ受給といいます。1ヵ月繰下げるごとに0.7%が増額され、最大で84%増額することが可能です。

3. 厚生年金高額受給者のまとめ

厚生年金をひとりで月額30万円受け取っている方は、厚生年金受給者のうちのわずか0.09%です。

月額30万円の受け取りが実現しているのは、現役時代に65万円以上の月収があるうえに加給年金の加算や繰下げ受給を活用するなどして年金額がプラスされていることが考えられます。

月額30万円は難しいとしても、繰下げ受給は誰でも利用することができるので、年金額を少しでも増やしたい方は受給開始年齢を遅らせて増額するのもひとつの方法でしょう。

ただし、繰下げる際にはどのくらい年金額が増えるのかなどをシミュレーションするとともに、繰り下げることで経済的に苦しくならないか熟考することが大切です。

参考資料