2023年6月13日に政府が発表した「こども未来戦略方針」のなかで、この3年間で集中的に取り組む加速化プランが発表されました。

加速化プランの1つに「高等教育費の負担軽減」を掲げています。どのような支援策で、対象になるのはどのような子育て世帯なのでしょうか。

今回は、政府が掲げる「高等教育費の負担軽減」の概要や対象となる世帯の要件について解説します。

高等教育費の負担軽減策

大学や専門学校における高等教育費の負担を軽減する支援策は、次の3つです。

  1. 貸与型奨学金の減額返還制度の拡充
  2. 「授業料の減免制度」や「給付型奨学金」の拡充
  3. 授業料の後払い制度の創設

それぞれの項目について、概要と支援対象になる要件を確認しましょう。

1. 貸与型奨学金の減額返還制度の拡充

第一の支援策は、奨学金の減額返還制度における適用条件の拡充です。貸与型奨学金は、一定の収入を下回っていると、毎月の返済額を減額できる制度があります。

現行制度で対象となる年収要件は325万円以下ですが、子育て世帯の負担を軽減するために、年収上限を400万円に引き上げる見通しです。

多子世帯については、以下のように年収要件を引き上げます。

  • こども2人世帯:年収500万円
  • こども3人以上の世帯:年収600万円

また、所得連動方式を利用して返済している場合は、所得計算において子ども1人につき33万円の所得控除を上乗せする予定です。

2. 「授業料の減免制度」や「給付型奨学金」拡充

次に「授業料の減免制度」と「給付型奨学金」も拡充させる見通しです。2024年度をもって、給付型奨学金制度を利用できる対象要件に、次の世帯が追加されます。

  • 子どもが3人以上いる世帯
  • 理工農系の学生がいて世帯年収約600万円の世帯

授業料の減免制度では、以下の項目を拡充させる見通しです。

  • 減免対象となる年収要件を拡大
  • 年収区分ごとに支援割合を引き上げ

授業料の減免や給付型昇格金の拡充は、低所得の進学率の向上を目的とした支援策です。

3. 授業料の後払い制度の創設

授業料を卒業後に後払いする制度も創設する見通しです。奨学金の返済が負担となっており、出産をためらってしまう人をなくす目的があります。

検討されている案では、奨学金の返済が始まる年収要件を300万円程度に設定する見通しです。さらに、子どもが2人以上いる場合は、年収400万円程度まで引き上げます。

こちらも2024年度から大学院の学生を対象に導入を実施する見通しです。