天皇陛下の生前退位時期問題、目論見は景気浮揚効果なのか

4月末の退位で前代未聞の10連休に?

天皇陛下の退位時期が2019年4月末になる公算高まる

先週、天皇陛下の退位時期に関して具体的な報道がありました。現時点ではまだ観測報道となっていますが、2019年4月末に退位し、皇太子が即位する翌5月1日から新元号になるという方向のようです。正式には、12月1日(金)に開催される皇室会議を経て決定されます。

暦年の変わり目や年度の変わり目でもない4月末になぜ?

天皇陛下の退位は、今年6月9日に特例法が成立したことにより既に既定路線であり、退位の時期が焦点となっていました。しかし、当初の退位時期は暦年の変わり目である2018年末か、年度の変わり目である2019年3月末が候補と言われていたため、2019年4月末というやや中途半端な時期に驚いた人も多かったのではないでしょうか。

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各種報道によれば、今上天皇の退位、および皇太子の天皇即位を静かな厳かな時期に執り行いたいという政府の意向が強いことが最大の理由となっています。また、3~4月(中旬頃まで)は統一地方選挙などの政治日程が重なっていることも一因とされています。

しかし、本当にそうなのでしょうか?

天皇陛下の生前退位は202年ぶり、退位時期の決定権は政府に

過去、天皇陛下の生前退位は意外にも頻繁に行われていましたが、最後の生前退位はまだ江戸時代である1817年です。その後は生前退位がないまま終戦後の1947年に制定された皇室典範により、天皇の譲位(退位)は崩御の時と定められてきました。それゆえ、今回は法律改正が必要だったわけです。

当然ですが、天皇陛下の生前退位は全ての国民が初めて体験することになる厳かな儀礼になると言えましょう。この意味では、確かに、年度末で何かと忙しい時期を避けたいというのは理解できる気もします。

それでも、天皇の譲位という歴史的な儀式よりも、年度予算編成や地方選挙のほうが優先されてしまう形になることに違和感を覚える人も多いかもしれません。一部に皇室軽視という批判があるのも頷けます。

今回の今上天皇退位に関して重要な点は、その時期など全ての決定権は宮内庁ではなく、政府にあるということです。

正当な選挙を経て成立した政府ですから、その決定に異を唱えるつもりはありませんが、2019年は4月の地方統一選挙の他、6月下旬以降は参議院選挙も行われる予定です。こうした政治日程を最優先するためだけに、皇室の政治利用に傾くことはあってはならいのではないでしょうか。

ネットで大きな話題となった“天皇陛下退位前後の10連休”

さて、今上天皇の退位時期が2019年4月末という観測報道があった先週、ネットで話題になったのが“天皇陛下の退位時期前後の10連休”です。2019年のカレンダーを見ると、

  • 4月28日(日):休み
  • 4月29日(月):祝日(昭和の日)
  • 4月30日(火)
  • 5月  1日(水)
  • 5月  2日(木)
  • 5月  3日(金):祝日(憲法記念日)

となっており、皇太子が天皇に即位する5月1日を祝日とすれば、4月30日と5月2日も「国民の休日」として休みとなり、結果的に4月27日(土)~5月6日(月)まで10連休になるという見方です。

この大きな根拠は、5月1日が祝日となり、改正祝日法に定められた“祝日と祝日に挟まれた平日は休日”に従って4月30日と5月2日が休みになるというものです。

確かに、5月1日が何らかの形で「休日」になる可能性は高いと考えられますが、改正祝日法で定められた「祝日」になることはあり得るのでしょうか?

重要な皇室の慶弔行事は「公休日」になることが慣例

日本では、皇室の慶弔行事が行われる日は「公休日」となることが慣例となっています。これは、その年に限りそれが実施される日を特別に「休日」として定める、当該年限りの法律が作られることが通例です。

近年では、1989年2月の「大喪の礼」、1990年11月の「即位の礼(正殿の儀)」、1993年6月の皇太子「結婚の儀」がそれに該当し、全て公休日となりました。

そして、この公休日は、改正祝日法で定める「祝日」と同等に扱うというのが通例になっています。“祝日と同等”とは、金融機関や様々な公共機関も休業ということを意味します。

「即位の礼」が公休日となり、10連休になる可能性は高い

今回、202年ぶりの生前退位となるため、過去の事例を参考にすることはできません。しかし、今上天皇の「即位の礼(正殿の儀)」が公休日となった前例を踏襲すれば、5月1日が祝日に準じた「公休日」となる可能性は高いと言えましょう。その場合、ネットで大きな話題になった“10連休”となる可能性も同じように高いと考えられます。

もちろん、5月1日を休日とする「即位礼正殿の儀の行われる日を休日とする法律(仮称)」が成立することが前提ですが、法案が提出されれば何ら支障はないと見ていいでしょう。

10連休による景気浮揚効果は非常に大きくなる

皇室の慶弔行事を挟むとはいえ、10連休は“超”長期休暇になります。国内外の観光需要は大いに盛り上がるでしょう。また、皇太子の天皇即位を祝したセールスや外食需要の高まりも期待できます。しかも、今回は崩御による譲位ではないため、前回のような自粛ムードは皆無のはずです。単純に考えても、景気浮揚への刺激効果は十分期待できます。

実は、政府が天皇退位を4月末にするのは、この10連休効果を狙ったためというのは考え過ぎでしょうか?

12月1日に行われる皇室会議の後、正式な退位時期が発表される見込みです。まずは、その内容に注目しましょう。

LIMO編集部

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