日経平均は3週ぶりに下落するが押し目買いも

2023年9月8日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日比384円24銭安の3万2606円84銭となりました。続落ですが6日まで8連騰しており、利益確定売りが出やすい局面でした。また前日の米株式市場でハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数が下落したことから、東京市場でも東京エレクトロンなど関連銘柄が売られました。ただし、3万2500円付近まで下がると押し目買いも入りました。

今週、日経平均はどのような値動きになるでしょうか。先週末のナスダックの下落は中国で「iPhone(アイフォーン)」の使用制限が広がっていると伝わったことがきっかけでした。アップルは2日間で6%以上下げました。ただ、その後は反発しています。8日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、前日比75ドル86セント高の3万4576ドル59セントで終えています。ナスダック総合株価指数も5営業日ぶりに反発しました。日本株も週初から上値を狙う展開になることが期待されます。

足元では米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締め動向に応じて市場が神経質に動く中、日本株は底堅い展開が続いていました。また、前週末のニューヨーク市場では円は一時、1ドル=147円87銭近辺と、円安・ドル高傾向であることから、自動車、機械など輸出関連銘柄も買われています。ただ、中期的には米アップル製品の中国での使用制限など米中の対立も気になるところです。

昨今の東京電力福島第1原子力発電所の処理水の海洋放出に伴う中国の反発も、国内経済の停滞から目をそらすのが狙いという見方もあります。処理水の問題は落ち着きつつありますが、中国国内の不動産不況や若者の失業率の高まりなどは中国に足場を置く日本企業にとっては業績に影響を及ぼしかねません。

13日には8月の米消費者物価指数(CPI)、14日には8月の米小売売上高の発表があります。原油も高値圏にあり、インフレが高止まりするようであれば、FRBの利上げが継続することになるので注目されるところです。

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週末に下落するが75日線は維持

先週の日経平均の値動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。前週はローソク足の実体が25日移動平均線、75日移動平均線をともに突破しました。先週はこれを維持できるかどうかがポイントでした。実際には、小幅ながらも週初から陽線が続きました。ただ、週末木曜日・金曜日で上昇した分をすべて吐き出すように下落してしまいました。

今後の展開はどうなるでしょうか。75日線、25日線をともに維持できたのは頼もしいところです。しかし、直近の戻り高値である8月1日の高値(3万3488円)を超えることができませんでした。また、25日線が下降しており、75日線を上から下に抜けるデッドクロスが形成されています。ただし、25日線は上昇に転じる動きを見せています。

方向感を見極めるには、まずは25日線、75日線を引き続き維持できるかどうか。ここから反発し、さらに8月1日の高値を超えるようであれば、目線を上に持っていいでしょう。逆に、ここから25日線、75日線を割るようであれば注意が必要です。

ただし、3万1000円~3万3000円の値幅で、高値圏でのもみ合いが続く可能性もあります。短期トレードであれば、直近の押し安値である8月18日の安値(3万1275円)あたりまでの下落を待って押し目狙いという戦略もあります。

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参考資料

下原 一晃