公的年金制度の持続性に対して不安を感じる人は少なくありませんが、国では5年ごとに公的年金の財政状況について検証を行い、必要に応じて年金制度改正などの対応を図っています。

しかし、現役世代の人の中には老後の自分の年金がいくらになるか気になる人もいるでしょう。

本記事では、現在35歳・45歳の人の「将来の年金額」について解説します。

今後の経済成長率、出生率の推移や年金制度改正などによって将来の年金額は大きく変わりますが、トレンドを理解し老後に備えることが重要です。

1. 現在の年金受給者の支給水準

まず最初に、現在の年金額がいくらくらいなのかを確認しておきましょう。

1.1 年金の所得代替率は61.7%

所得代替率とは、現役世代・男性の収入に対するモデル世帯の年金額の比率のことです。モデル世帯は、夫が会社員で妻が専業主婦のケースをいいます。

所得代替率は、次の通り計算します。

所得代替率=(夫婦2人の老齢基礎年金+夫の老齢厚生年金)÷現役男性の平均手取り収入

2019年の財政検証によると、夫婦2人の老齢基礎年金は合計13万円(月額、以下同様)、夫の老齢厚生年金は9万円、現役男性の平均手取り収入は35万7000円で、所得代替率は61.7%になります。

夫婦の老齢基礎年金額がそれぞれ6万5000円だとすると、夫の年金額は15万5000円になります。

1.2 実際の年金額は年収などによって異なる

モデル世帯の夫の年金額は月15万5000円ですが、厚生年金の加入期間や年収などによって年金額は大きく異なります。

40年勤続(20歳から60歳まで厚生年金加入)の場合、現役時代の年収によって年金額(月額)の目安は次の通りです。

  • 年収300万円:12万1000円
  • 年収400万円:13万9000円
  • 年収500万円:15万8000円
  • 年収600万円:17万6000円
  • 年収700万円:19万4000円