40~50歳代と言えば、家庭においては子どもが大きくなり、教育費支出が膨らむライフステージと言われます。人によってはさらに住宅ローン返済が、家計を圧迫しているケースもあるでしょう。

職場で中堅以上の立場になり、若手のころと比べると手取りが増えたはずなのに、「自由になるお金はちっとも増えない…」というぼやきをしばしばお客様から聞くことがあります。

もっともこの悩みは40~50歳代の、家庭をお持ちになっているケース。

同世代でも「おひとりさま」として生きることを選んでいる人からは、将来を見据えて別の悩みを聞くことが多くなります。

典型的なのが「要介護になったらどうしよう」。頼れる家族がいない分、早めに民間の介護保険に加入して備えたり、積極的な資産運用で将来資金づくりを考え始めたりする人が多いようです。

今回は、40~50歳代の単身世帯「おひとりさま」にフォーカスして、懐事情とお金の悩みを探ってみます。

1. 40歳代と50歳代「おひとりさま」みんなの貯蓄額はいくら?

これまでずっと「当たり前」とされてきた働き方や生き方、考え方において、「多様化」が受け入れられる時代になったように感じます。

「おひとりさま」もそのうちの一つではないでしょうか。そして、近年、その「おひとりさま」は増加傾向にあります。

内閣府「令和4年版 少子化社会対策白書」によると、50歳時の未婚割合は2020年時点で男性28.3%、女性17.8%。1990年時点の男性5.6%、女性4.3%から4~5倍ほど増加しています。

今後もさらなる増加が予想されるおひとりさま。時間もお金も自由に使える一方で、すべてが「自分次第」となるプレッシャーもあるかもしれません。

そんなおひとりさまの貯蓄事情を覗いてみましょう。

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」によると、40歳代と50歳代「おひとりさま」世帯の貯蓄額は次のとおりとなりました。

【40歳代・単身世帯の金融資産保有額】

  • 平均:657万円
  • 中央値:53万円

【50歳代・単身世帯の金融資産保有額】

  • 平均:1048万円
  • 中央値:53万円

40歳代の平均が657万円、50歳代の平均が1048万円。中央値は40歳代も50歳代もどちらも53万円でした。

平均と中央値に大きな乖離が見られますね。平均は大きい数値により引き上げられたと考えられますので、より実態に近いとされる中央値を参考に見ておきましょう。

円グラフを見てみると、貯蓄ゼロの人が40歳代で35.8%、50歳代で39.6%もいるようです。貯蓄額1000万円の人は40歳代で20.1%、50歳代では22.4%でした。

働き盛りの40歳代・50歳代ですが、貯蓄をしていない人が多いようですね。