2023年8月25日に発表された、セグエグループ株式会社2023年12月期第2四半期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:セグエグループ株式会社 代表取締役社長 愛須康之 氏

目次

愛須康之氏(以下、愛須):みなさま、いつも大変お世話になっております。セグエグループの愛須です。本日はお忙しい中、当社の決算説明会にご参加いただきありがとうございます。それでは私から、ご覧の順序で決算の内容をお話しします。

ハイライト:業績(第2四半期累計期間)

2023年12月期第2四半期のハイライトです。デジタルトランスフォーメーションのシステム需要により、特にITインフラ製品販売およびサービスの受注が好調でした。

また、昨年より影響が出ていた納期遅延が解消に向かい、売上高は過去最高の90億5,800万円、売上総利益は20億8,300万円、営業利益は6億2,700万円、経常利益は6億300万円と、すべてにおいて過去最高の数値を出すことができています。

第2四半期は、1年を通じて売上・利益が落ち込む時期ですが、そのような状況にもかかわらず大きく売上を伸ばせたのは、社員が非常にがんばってくれたためだと考えています。

ハイライト:四半期比較(第2四半期会計期間)

第2四半期会計期間の売上について、2021年度、2022年度、2023年度を比較して示しています。4月は新入社員の入社等で販管費が膨らむため、売上高および売上総利益が少なく、営業利益が非常に出にくい時期です。しかし、当期の営業利益は2億円超と、第2四半期で過去最高の売上利益を計上しています。

ハイライト:四半期推移(会計期間)

スライドは四半期単体の売上高および営業利益をグラフ化したものです。第2四半期の業績があまりよくない中で、業務に力を注いだことがグラフから見て取れます。

ハイライト:業績推移(第2四半期累計期間)

第2四半期累計の業績です。昨年対比で売上高は50.9パーセント増、売上総利益は27.3パーセント増と好調です。営業利益は90パーセントと、事業による利益の増加を図ることができています。

ハイライト:連結損益計算書(第2四半期累計期間)

連結損益計算書です。スライドをご覧のとおり、非常に伸びています。

ハイライト:営業利益増減内訳(第2四半期累計期間)

営業利益の増減内訳です。売上総利益が4億4,700万円増加しました。人材関連費用など、その他販管費の増加分を吸収しても、売上総利益の増加により営業利益も3億円近くの増益となっています。

ハイライト:連結貸借対照表

連結貸借対照表です。大きな変動はありませんが、赤枠で示している前受金に、サービスの契約を月次で按分する部分が一時的に計上され、売上に転換されます。このようなストック性の高い売上が、前受金として39億4,100万円計上されています。

ハイライト:ビジネス別数値(第2四半期累計期間)

ビジネス別の数値です。冒頭でご説明したとおり、VADビジネスが好調です。売上高は45億6,300万円、売上総利益も9億6,600万円まで伸びています。昨年対比で売上高は50パーセント増、売上総利益は42.6パーセント増となっています。

システムインテグレーションビジネスも、一部大型案件を獲得したことにより伸長しています。売上高は昨年対比で56.9パーセント増の40億7,700万円、売上総利益は昨年対比で23パーセント増の8億円です。

「RevoWorks」等の自社開発ビジネスについては、昨年は自治体が好調でした。今年も引き続き好調ではあるものの、現時点では若干下がっています。ただし、サポートサービス等のストックもあるため、新規自社開発サービスの部分が欠けてはいますが、売上総利益はプラスとなっています。

ハイライト:ビジネス別 四半期推移(会計期間)

ビジネス別の売上高、売上総利益の四半期推移です。自社開発ビジネスの売上高比率は約5パーセントと小さくなっており、良い時で8パーセント程度です。

ただし売上総利益の比率は大きく、全社の成績にも好影響をもたらしています。2022年第2四半期からは2億円超と大きく伸長しています。

ハイライト:通期業績予想に対する進捗

通期業績予想に対する進捗です。先ほどからお伝えしているとおり、売上高は157億円の予想のうち90億円で、進捗率は57.7パーセントとなっています。営業利益は10億円の予想と比較して進捗率は62.8パーセントとなっており、通期予想に対して順調に進捗しています。

ハイライト:受注の状況

受注の状況です。昨年から受注は好調であるものの、売上が立ちにくかったことから、ご説明用の資料を作成しています。

第2四半期累計の受注高は、昨年対比で大きく伸長しています。先ほどお伝えしたとおり、プロダクトの受注残高は納期遅延の一部解消により、10億円程度減少しました。

サービスは受注高も大きく42.7パーセント伸長しました。こちらはよりストック性の高い売上が多く、受注残高は11億円程度増加しています。その結果、受注残高はトータルで増加しています。

スライド下部の棒グラフをご覧ください。2021年第3四半期から納期遅延の影響が表れてきています。納期は通常、大型案件で3ヶ月分、普通の案件で1ヶ月分から2ヶ月なので、2.5ヶ月分の売上に対する受注、8億円から12億円くらいが通常の受注残高になると考えられます。このように2023年第2四半期の段階で、プロダクトは37億円から徐々に通常化に向かっています。

ただし、ストック性の高い緑色の部分は、常に顧客サービスを販売し増加しているため、ストック比率の高いサービスの受注残高が、非常に良いかたちで増えています。

ビジネストピック:VADビジネス

VADビジネスの売上推移です。計画値に対する進捗率は58.7パーセントです。こちらは我々の主力製品が非常に好調であることを示しています。

また、Wi-Fiのアクセスポイントには新しい規格が出てきています。スマートフォンやPCなどが新しい規格に対応すると、企業やホテルなどのサービス提供側も、「新しいクライアントに適したアクセスポイントをリプレイスしていこう」という流れになります。こちらが、主力製品が非常に好調である理由の1つです。

ビジネストピック:システムインテグレーションビジネス

システムインテグレーションビジネスについてです。大型案件を獲得し、特にプロダクトの売上が伸長しました。システムインテグレーションの中で、我々の主力製品ではないプロダクトのサーバや、一次代理店契約をしていない他のソフトウェアやITインフラ機器が伸びているということです。

後ほど詳しくご説明しますが、2023年1月から再編しているジェイズ・テクノロジーが、東京・九州にDXセンターを開設しています。ジェイズ・テクノロジーでは、情報システム部門のアウトソーシングサービスとして、2年前より「Kaetec」サービスを販売しており、こちらに注力しています。

また、2022年12月に仲間に加わったタイのISS Resolutionというサポートサービス中心のITソリューションカンパニーも、こちらのシステムインテグレーションビジネスの売上区分に入ります。こちらについては経営基盤強化を図るということで、人材確保を進めています。

ビジネストピック:自社開発ビジネス

自社開発ビジネスについては、官公庁・中央省庁の大型案件を獲得できました。自治体向けの引き合いは、昨年は大型案件が多く、中型案件は堅調に推移しています。

自社開発の売上区分に入るマネージドセキュリティサービスなどセグエセキュリティのセキュリティサービスは、サービスインが若干遅れているものの、開発も概ね完了し、今後はサービス販売を積極的に行っていこうと考えています。

ジェイズ・テクノロジー 2023年1月より新たな体制でスタート

先ほどお伝えしたとおり、ジェイズ・コミュニケーションのSSBU(システムソリューションビジネスユニット)と若手エンジニア中心のジェイシーテクノロジーが、システムインテグレーション事業を統合するというところで、承継会社ジェイシーテクノロジーというかたちで、2023年1月からジェイズ・テクノロジーに社名変更・商号変更を行い、新体制がスタートしています。

新しくシステムインテグレーションを中心に行っていくということで、この半年間は好調な受注とエンジニアのスキルアップおよび単価アップも図りつつあります。九州のほうでは、DXセンターの稼働に合わせて十数名を増員しています。

ジェイズ・テクノロジーの主力はお客さまのITに対する課題を解決するソリューション事業ですが、その1つとしてパッケージ化した「Kaetec」というサービスを開始しており、今後大きく伸ばしていきたいと考えています。

セグエセキュリティ・ ISS Resolution(タイ)

セグエセキュリティはセキュリティ技術者、大学のセキュリティ研究室出身の高度ITエンジニアなどの採用が順調に進んでいます。また、大手企業へのコンサルティング提案活動を推進しており、今後は大手との契約が発生すると考えています。先ほどもお伝えしたとおり、マネージドセキュリティサービスなどの新規自社開発サービスは若干遅れています。

タイのISS Resolutionについては、既存ビジネスの強化も図りながら新規ビジネスの準備が進んでいます。

中期数値目標

中期的な取り組みの状況についてご説明します。我々は2022年から2024年の中期経営計画を策定しています。昨年に続き、今年も現時点で計画を大きく上回っており、2023年12月期も進捗率は60パーセント程度で順調に推移しています。

中期経営計画の最終年度である2024年12月には売上高170億円、営業利益12億円の達成を目指しています。

中期目標達成に向けた取組み

中期目標達成に向けた取り組みについてご説明します。我々は3つの大きなビジネスを継続して成長させていくとともに、特に「ストック型サービスビジネスの拡大」を意識しています。

また、「ビジネスの変革」では、よりハイレベルなサービスの提供を行います。自社開発ビジネスも今までのようなソフトウェアのパッケージ販売だけでなく、サブスク型のクラウドサービスを提供していきます。

加えて、変化、改革としては、昨年にISS Resolutionを子会社化したように、年に数社はM&Aや資本・業務提携なども進めていきたいと考えています。

私どもはIRがあまりうまくない会社だと言われていますが、企業価値の向上に本気で取り組む上では、IRを積極的に行っていきます。あわせてSDGsへの取り組みも意識した事業活動を展開していきます。

また、これらの成長の源泉となる技術者についても、質・量ともに大きくしていきたいと考えています。

中期目標達成に向けた取組み

スライドに示しているのは、プライム市場選択時に立てた中期目標の概要です。ご覧のとおり、技術者の増員がさまざまな事業の源泉となっており、拡大していくための重要な要素です。

右上の「取組み内容②既存ビジネス」の成長とともに、左下の「取組み内容③ビジネスの変化、改革」として新規事業も立ち上げつつ、ストック型サービスビジネスを意識したビジネスを展開し、オーガニックの成長以外にも仲間を増やしながら拡大していきたいと考えています。

中期目標達成に向けた取組み進捗

中期目標達成に向けた取り組みをビジュアル化したものです。まず、昨年に社長直轄の採用プロジェクトを立ち上げて強化しています。これにより、当社に来てくれるか微妙なラインだった優秀な技術者も入社してくれています。何よりも、ビジネスの成長という部分では、私どもは米国を中心としてセキュリティソフトウェアのメーカーと代理店契約しています。

セキュリティソフトウェアの特性によっては、よりコンサルティングチェック、あるいはセキュリティ技術者を積極的にアピールすることで売上拡大にもつながります。「ソフトウェアだけもらっても、セキュリティサービスと一緒でなければ意味がない」という声が多かった点をより積極的に展開していくために、セグエセキュリティを設立し、VADビジネスとの事業シナジーも出していきたいと思っています。

また、ASEANへの展開のスタートとして、タイのISS Resolutionはサポートサービス中心の非常に安定した収益基盤を持つ会社です。こちらをベースに、タイのみならずASEAN全体に展開していくため、海外に初進出しています。

さらに、少し遅れてはいますが、今年は「RevoWorks」クラウド版のリリースをまもなくローンチできるところまで来ています。サービス提供にも力を入れており、売上も順調に伸びてきています。

事業所投資については、まだ発表できていないところもありますが、大きく事業を拡大するためのベースとなる事業所への投資を検討しています。

企業価値向上に向けては、今年から中間配当を開始し、配当性向50パーセントを目標としています。その他にも資本政策を検討しており、2024年12月期の売上高・営業利益は計画値を大きく超えられるよう、日々努力しています。次期中計では、より大きな成長率を見据えた計画を立てていく所存です。

2023年度 進捗状況:人員推移

人員推移については、今年は順調に増えてきています。

2023年度 進捗状況:資本・業務提携、M&A

資本・業務提携では、秘密計算、AIを用いたデータセキュリティ技術を有するEAGLYSへ追加出資を実施しています。前回とあわせて、合計出資額は2億円となっています。

DX時代においてビッグデータをいかに戦略に変えていくか、また、さまざまな会社でビッグデータをいかにシェアリングしていくかという課題の解決には、やはりEAGLYSの秘密計算や準同型暗号技術が非常に重要となってきます。

EAGLYSは、DXで必要な情報をやり取りする上で、生データを渡すことなく、分析結果だけを渡すことができるような仕組みについて、JRグループなどさまざまな大手企業と共同実証実験を行っています。

私どもも人の行動分析の分野で、スライドには国立大学と記載していますが、愛媛大学とパートナーシップを組み、EAGLYSとの3者で共同研究を進めています。この成果を今年後半から来年にかけて発表できるものと思っています。

2023年度 進捗状況:下半期施策

下半期の施策についてご説明します。私どもはサーバやアプライアンス製品等があることから、大阪にロジスティックセンターを持っています。現在は一部外注に出している製品在庫を確保するため、自社ロジスティックセンターを首都圏にも開設し、大きく展開していきたいと考えています。

システムインテグレーションビジネスにおいては、東京、九州に続いてDXセンターを増設します。みなさまに注目いただいている自社開発ビジネスでは、「RevoWorks」クラウドバージョンのリリースや、セグエセキュリティなど新規自社開発サービスの展開を考えています。

現在進めている施策ではなかなかお話しできないことも多いのですが、第3四半期の決算発表前後でさまざまな報告ができると考えています。

参考資料

「RevoWorks」クラウドバージョンの参考資料です。ゼロトラスト環境でセキュアなリモートアクセスを提供するというところと、インターネット接続におけるリスクに対し、いかにトラステッドなビジネスをトラストなクラウド環境と別システムで、マルチで使っていくかがポイントとなります。

2023年12月期 通期業績予想

通期業績予想です。当初の計画から現時点での変更はありません。下半期の投資費用を見込み、期初の計画値を維持しています。

2023年12月期 ビジネス別計画

ビジネス別の売上計画については、概ねご覧のような着地を考えています。

業績推移と予想

業績推移と予想では、今年の予想値である売上高157億円、営業利益10億円は当然超えていきたいと思いますが、その先の2024年12月期の数値を見据えた投資も行っていきます。

株主還元

先ほどもお伝えしたように、今年から中間配当6月末、期末配当12月末を権利日として、15円の中間配当を実施します。期末配当については15円を予定していますが、業績に応じて一部変動する可能性を含め、15円を大きく上回れるよう努力していきたいと思っています。

IT技術を駆使して価値を創造し、お客様とともに成長を続け、豊かな社会の実現に貢献します。

コロナ禍後も半導体の問題など、さまざまなことが起こっていますが、デジタルトランスフォーメーション時代において、セキュリティ対策はまさに最重要となり、ニーズも増えてきていることから、ビジネスの成長には非常に手応えを感じています。

第2四半期には一時的に納期遅延解消によるプラスの影響というのもありましたが、第3四半期、第4四半期も、この好調が維持していくものと考えています。

以上で私からの決算説明を終わります。ご清聴ありがとうございました。

質疑応答:大型案件の利益率、利益貢献の見込み期間、案件獲得の背景について

司会者:まず自社開発事業について、官公庁の大型案件獲得に対するご質問を3ついただいています。1つ目は「大型案件の規模について、利益率は他の案件に比べて高いでしょうか? 低いでしょうか?」というご質問です。2つ目は「利益貢献の見込み期間はどれほどでしょうか?」、3つ目に「今回の案件獲得の背景と、今後の官公庁案件への横展開は期待してもよろしいでしょうか?」というご質問です。

愛須:自社開発ビジネスの「RevoWorks」の大型案件獲得については、我々の過去実績ではトップクラスの規模となります。利益率は、自社製品ですので70パーセントから80パーセントです。年間である一定の売上を超えるとより利益率が上がってくるのですが、目安は70パーセント程度です。

利益が売上に貢献する見込み期間については、約60パーセントが第2四半期に入り、来年以降の4年間で、毎年十数パーセントが入ってくるようなライセンス販売とサポートサービスのモデルになります。

今回の案件の背景については、4年ほど前にも来社いただいてデモンストレーションを行い、高い評価もいただきました。非常に予算を持っている中央省庁の一部門に入ったということですので、当然他の官公庁にも横展開していきたいと考えています。

質疑応答:自社開発ビジネスの第3四半期以降の見通しについて

司会者:「自社開発ビジネスは自治体向けにいったんピークを超えたものと思いますが、第3四半期以降の見通しを教えてください」というご質問です。

愛須:自社開発ビジネスについては、主に「RevoWorks」のことになりますが、ご質問のとおり、自治体向けは少し落ち着いてきたと感じています。それでも月額サービスのお客さまもいらっしゃいますし、まだ多くの自治体向け案件や中規模案件も来ています。

第3四半期以降の見通しについては、当然、大きな案件が入るか入らないかによるところはありますが、自社ビジネスの売上として昨年とほぼ同等か、若干プラスのところまで持っていきたいと思っています。また、今年から自社開発ビジネスにはセグエセキュリティのサービスも一部入っていますので、こちらもあわせて今年の計画としています。

「RevoWorks」クラウド版に関しては、リリース前にお客さまから評価をいただきながら開発を進めており、非常に良いものができていると思います。クラウドサービスという性質上、一気に大きく売上貢献するといったものではありませんが、2年、3年と積み上がることで安定したストックの売上収益になっていきます。

質疑応答:第1四半期から第2四半期におけるプロダクト事業の受注残高が減少している理由について

司会者:「プロダクト事業の受注残高が、第1四半期から第2四半期にかけて大幅に減少している理由を教えてください」というご質問です。

愛須:プロダクト事業の受注残が大きく減少した理由は2点あります。1つは、第2四半期から第3四半期にかけて売り上がる大きな案件があったためです。受注した案件が、お客さまのご都合等もあって第2四半期に集中し、大型案件の納入が終わったという点が1つあります。

もう1つは先ほどもご説明したように、半導体供給不足によって発生していた納期遅延が一部解消し始めたことで、異常な受注残高が通常に戻りつつあり、売上に変わっていきました。このような背景により減少しています。

質疑応答:VADビジネスとシステムインテグレーションビジネスの売上総利益の増加分が小さい理由について

司会者:「VADビジネスとシステムインテグレーションビジネスについて、ともに上期売上が増加したのに対し、売上総利益の増加が小さい理由について教えてください」というご質問です。

愛須:VADビジネスとシステムインテグレーションビジネスは、どちらも上期に大型案件が多くあったため、サービス事業も順調に伸びているのですが、全体の売上に対するサービス事業の売上比率が下がっています。サービス事業は伸びているのですが、売上に対する比率が下がることによって全体の売上総利益の額が小さくなっているということです。

質疑応答:VADビジネスで上期に対し下期が大幅増益になる背景について

司会者:「VADビジネスについて、上期に対し下期が大幅増益になる背景について教えてください」というご質問です。

愛須:当上半期については、VADビジネスで1年近く納期にかかった案件がありました。1年数ヶ月前の為替レートで受注して納入していたため、たまたま上半期に為替影響を受けた案件が複数あり、上期は若干悪くなっています。

下期については、そのような1年を超える納期遅延、為替の大きな影響を受ける案件が非常に少ないため、VADビジネスは通常の利益率に戻る見通しです。大きな増益になるように見えますが、通常の状態に戻るということです。

質疑応答:システムインテグレーション事業が下期減益になる背景について

司会者:「上期に対して、システムインテグレーション事業が下期は減益になる背景について教えてください」というご質問です。

愛須:システムインテグレーション事業は、上期が非常に好調でした。ただし、先ほどもご説明したように、第3四半期に上がる大きな案件が、第2四半期に上がっている状況もあります。

通期の予算は変えていないため、上期と下期の比率がそこで大きく変わっています。さらに売上は減収、利益も減益に見えていると考えています。通期の計画値は順調に達成するものと考えています。

質疑応答:DX需要における競争環境の変化について

司会者:「DX需要が旺盛ですが、競争環境の変化があれば、ポジティブな面、ネガティブな面に分けて教えてください」というご質問です。

愛須:DX需要は、業界全体でも一部、非常に大きく成長しています。競争環境の変化におけるポジティブな面は、我々も携わっているところとして、特に大手企業からのDXのシステム開発や、上流のビジネスコンサルからシステムコンサル、そして開発に集中する案件が多いことが挙げられます。

DXのシステム納入時に必要なインフラは、「技術的にしっかりした企業に任せたい」というお客さま側のニーズもあります。反対にVADビジネスなどでは、競争は緩和してきていると考えています。

ネガティブな面としては、DXのシステム開発によって、国際競争力をもって世界に出ていく状況が生まれます。世界に進出する日本の大企業が、世界的なSIerと付き合う可能性がありますが、これに対して、我々はまだ世界規模でのサポートができない段階です。課題が顕在化するのはだいぶ先の未来になると思いますが、そのあたりはネガティブな要素として考えています。

DXの需要が旺盛になり、コロナ禍によってビジネスのゲームチェンジが起きている情勢については、本当に以前と変わってきていると思います。我々が今までお付き合いできなかった会社、日本を代表するSIerから数億円単位の仕事をダイレクトでいただけるようになってきています。

大手のSIerにはメーカーとの深い関係がありますが、そのようなメーカーは、どちらかと言えばお客さま思考に走っている面もあるため、どのような製品でも確実にサポートできる我々のような会社と、どんどん組んでいこうとする動きがあります。

セキュリティ対策も内容が実に多様化してきているため、今までであれば自社のSEで対応してきた企業も、対応方法を変えてきています。自社のエンジニアがそれぞれの製品のメーカーの深い内容まで勉強して、お客さまに提供するかたちではなく、「このシステムであれば、ジェイズ・コミュニケーションだね」「プロフェッショナルサービスは、ジェイズ・テクノロジーに依頼しよう」といったように、外部に委託するようになりました。

建設業界と同じように、何十億円、何百億円かかる大きなシステムへの対応を、1社ではなく数社で分業して進めている状態です。そのため、我々のように製品を持ち、フットワークも軽く、技術者もいるような会社には仕事が非常に増えてきており、ポジティブな業況として捉えています。

質疑応答:下期業績予想における懸念点について

司会者:「今期の通期業績予想についてご説明がありましたが、非常に保守的に見えます。今期の下期において、懸念すべき点があればお知らせください。また、下期の売上高、売上総利益率、営業利益について、顧客動向、為替や人件費というコストに加えて、先行投資の内容を知りたいです」というご質問です。

愛須:2023年12月期第2四半期の決算内容の中でご説明したとおり、通期業績予想は修正も考えましたが、今年は通期で成果を出すことに加えて、投資の年と捉えています。そのため、上期に投資できなかった部分が、下期に少し寄る部分もあります。

また、新しいビジネスを立ち上げる、あるいは既存のビジネスをより専門特化したチームに再編成する局面でも、例えばセキュリティの仕事に従事した幹部人材を採用するなど、積極的に投資に向けて動いていく方針です。

先ほども触れたとおり、具体的には幹部人材やエンジニアへの投資、自社開発の投資、さらに自社サービスを提供するためのインフラサービス環境の投資などが必要だと考えています。加えて、ロジスティックセンターを今後作っていくような先行投資の予定もあります。

とはいえ、業績予想を通期で下方修正するわけではありません。予想は維持し、投資を進めながら、それを上回っていく方針でいます。このような事情から、現時点における修正は行っていません。

質疑応答:中期経営計画最終年度業績予想における上方修正の可能性について

司会者:「2023年12月期の業績が計画を上回って着地となった場合、来期の中期経営計画目標における業績予想も上方修正されるのでしょうか?」というご質問です。

愛須:2023年12月期に関しては、現在のところ修正していませんが、結果として計画を大きく上回る着地となった場合は、2024年12月期中期経営計画最終年度の業績も上方修正したいと考えています。

質疑応答:資本政策検討における自社株買いの予定について

司会者:「説明資料24ページで『その他資本政策検討』とありますが、自社株買いをするという意味でしょうか? 補足をよろしくお願いします」というご質問です。

愛須:「その他資本政策検討」については、まさに今検討中であるため、明確なお答えはできません。ただし我々は、みなさまも非常にご興味をお持ちだと思われる、プライム市場の流動性要件について、流通時価総額100億円を満たしていません。したがって、これに向けた資本政策を考えています。

場合によっては流通比率を上げるために、私も含めた大株主による売却実施も1つの選択肢と考えています。加えて、大きなM&Aの実施時に、エクイティでファイナンスを行うことも選択肢の1つです。そのようなかたちで、あらゆる手段を取ってプライム市場の基準を満たしていく方針です。

質疑応答:サービス事業の受注残が伸びている背景と今後の見通しについて

司会者:「サービス事業の受注残が伸びていますが、どのような内容の案件が増えているのでしょうか? また、この伸びは今後も続いていきそうですか?」というご質問です。

愛須:サービス事業の受注残が伸びている理由としては、年間契約で月次で売上が上がり、さらに前受金も増えているためです。これは我々の戦略上、本当にもっとも評価できるところだと思っています。

現在、ストック性の高いサービスの売上は、製品に付随するサポートサービスによるケースが多いため、VADビジネスやシステムインテグレーションビジネスでシステムを納めたあとのサポートサービスで入ってきています。

このような製品に紐付いたサポートサービスも順調に伸ばしていくとともに、「RevoWorks」クラウド版のようなサブスク型サービスについても伸ばしていく方針です。売上区分的には自社開発に入るのですが、プロダクト、サービスと分類するとサービスに入ります。今までプロダクトに入っていたライセンス販売が、クラウドサービスというかたちで、サービスになります。

さらに、セグエセキュリティで展開する「マネージドセキュリティサービス」について、このサービス単体でもどんどん売上を伸ばしていき、ストック性の売上を伸ばしていくことができるように戦略を考え、それを実行していきたいと考えています。

愛須氏からのご挨拶

愛須:本日は最後までご覧いただき、誠にありがとうございます。

私どもセグエグループは、業績はそれほど悪くないものの、人気が伴っていない面があります。これに関しては私の責任でもあると考えており、今後は一層IRに注力していく方針です。6月から7月かけてラジオに出演したように、もっと私自身も会社のブランディングに寄与するべく、メディアにも出ていこうと思っています。

会社全体でもさまざまなローンチを予定していますが、各施策においてIRを意識し、より小さなことも発表していきます。積極的なIR活動をしていく中で、「セグエグループはセキュリティ事業の会社だ」「国産のセキュリティソフトを官公庁がたくさん導入している会社だ」というイメージが行き渡るように、ブランディングにも一層力を入れていきたいと考えています。

現在は、業界が伸びていく一方で、業界の中で勝ち負けが明確になっていく時代です。私どもは勝ち組のほうに入るべく、全社を挙げて、より高い成長力が描ける次期中期経営計画を現在策定中です。

私どもは、企業がDXで世界に出ていく、あるいは少ない人数でより大きな成果を上げられるシステムづくりにおいて、プライマリーに立つことは少なくても、そのシステムを円滑、安全に快適に動作するためのITインフラとセキュリティ技術を確実に提供し、お客さまのDXにおける成功を担っていきたいと本気で思っています。

さらに、国産のITセキュリティのソフトウェアメーカーとして、より国内シェアを上げていくとともに、ASEANでも展開していきたいと考えています。

今後のDXやセキュリティ分野は、エンジニアが介在する暇もなく、コントローラー、マネージャーとインフラ、セキュリティのソフトが自動連携する時代になってきます。例えば、我々で取り扱っているプロダクトにも一部自動的にランサムウェアの挙動を止めるようなものがありますが、このようなものがどんどん企業に採用されていく流れにあります。

私どもは製品だけを売る商社ではないため、セキュリティのエンジニアをどんどん育成していき、「技術を売る」「製品を売る」「システムを開発する」という3つにそれぞれ力を入れて、大きな飛躍を遂げていきたいと思っています。

今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。本日はありがとうございました。

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