一方、過去を見てみると時価総額が大きく落ち込んだ際には名目GDPの半分程度まで落ち込んでいます。株式市場は景気や企業業績の見通しに関して悲観的になった状況では時価総額が名目GDPの半分になるところまで売り込むという傾向があるようです。
投資家が楽観的になったらどこまで株価は上がるのか
では、人間が景気や企業業績に対して楽観的になったとしたら、名目GDPに対してどの程度まで買うのでしょうか。
仮に、時価総額が名目GDPに対して50%上振れる状況を想定するとどうでしょうか。上で使用した2017年の名目GDP値を使用すると、時価総額は2017年10月末よりも約20%高い水準。日経平均株価の2017年10月末終値よりも20%高い水準だと約2万6400円になります。
さらに楽観的なケースで時価総額が名目GDPに対して100%上振れるとなるとどうでしょうか。同じ前提で考えると時価総額は10月末よりも約60%高い水準。日経平均株価でいえば、約3万5200円です。
まとめにかえて
最近は好調な株価を背景に「日経平均株価は3万円に到達するかも」と口にする人も増えてきたように感じます。
ここまで見てきたように、現状は過去の水準から見れば高い水準です。過去のサイクルとしては株価が調整してもおかしくない水準にまで来ているとも言えます。とはいえ、過度に楽観的な状況になれば「今回は過去のサイクルとは違う」と言い出す人もいます。冷静な頭で株高を楽しみたいものです。
青山 諭志