8月15日は日本ではお盆ですが、イタリアは聖母被昇天の祭日。この日を境に夏も終わりだなという雰囲気に包まれ、町を歩けばウインドーにも秋のファッションを見かけるようになります。

日本が誇るブランド「ユニクロ」がイタリアに上陸したのは2019年のことでした。ミラノの中心地のショップは大いに話題になり、2023年後半には2号店のオープンを予定しています。

ファッションの先進国・イタリアでは、ユニクロはどのように受け入れられているのでしょうか。昨今のニュースも含めて解説します。

分をわきまえたイタリア人のファッションセンス

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グッチ、フェラガモ、フェンディ、ブルガリ、プラダ。イタリアのトップブランドは、世界中の人たちを惹きつける魅力にあふれています。

ところがお膝元のイタリアでは、トップブランドのアイテムを持っているイタリア人はごくわずか。各都市の中心にあるブランドショップをのぞいても、お客さんの大半は外国人観光客です。

イタリア人にとって高額のブランド品は、余裕を持って購入できる富裕層のものというイメージが定着しています。

せっせと働きお金を貯めて、憧れのブランド品を買うという人は多くありません。知名度の高いブランドの商品でなくても、質の良い商品を売るお店がたくさんあることがひとつの理由です。

しかし近年は、メイド・イン・イタリーの要素が詰まった良質な商品を見かけることが少なくなりました。

代わって町の目抜き通りやショッピングセンターで目にするようになったのが、イタリア国外のファストファッションブランドたちです。

もともとおしゃれのセンスはあるイタリア人たちですから、コスパのよいアイテムも上手に着こなす老若男女をあちこちで目にします。

そのような風潮の中で、日本のユニクロもイタリアにお目見えしました。ファッションの国で、ユニクロはどのような立ち位置にあるのでしょうか。

「堅実な国」日本のブランドとして好感度が高いユニクロ

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日本人はイタリア人に対して、「陽気で大らか」というイメージを持っています。逆にイタリア人は日本人を「とても勤勉で堅実」という感覚で見ています。

ソニーやトヨタ、ヤマハなどの日本の商品は、機能性が高く壊れにくく、高嶺の花なのです。一方ファッションの分野では、日本のほうが二の足を踏んでいたような感じがありました。

ファッションやデザインでは定評のあるイタリアに、果たして日本のファッションはどう受け止められるのか。日本側にそんな思いがあったのではないでしょうか。

日本に先駆けて、「ZARA」や「H&M」がイタリアで成功をおさめ、ファストファッションは広く受け入れられてきました。

この波に乗ってユニクロも2019年、ミラノに第1号店をオープン。懸念は杞憂に終わり、ミラノのユニクロの前には入店を待つ列ができるほどの大盛況となったのです。

堅実な日本のブランドらしく、ユニクロはベーシックなモデルの多色展開が特徴です。モード感全開の他のファストファッションブランドとは一線を画すその特徴が、イタリア人にウケたのかもしれません。