2023年8月10日に発表された、セーフィー株式会社2023年12月期第2四半期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:セーフィー株式会社 代表取締役 CEO 佐渡島隆平 氏
セーフィー株式会社 取締役 経営管理本部長 兼 CFO 古田哲晴 氏
目次
佐渡島隆平氏(以下、佐渡島):本日はお忙しい中、セーフィー株式会社2023年12月期第2四半期決算説明会にお越しいただき、誠にありがとうございます。初めて参加いただく方もいらっしゃると思いますので、はじめに会社概要と事業概要についてご説明したのち、事業進捗についてお話ししていこうと思います。
会社概要
当社は、2014年10月に設立された会社です。従業員は394名で、ARRは80億円を超え、課金カメラ台数は20万台強となっています。数多くのカメラを通じてクラウド上にデータを集め、そこから拡張性を持って、AIなどを活用したさまざまなサービスを作っています。
沿革およびマーケットシェア
現在は20万台強の課金カメラで構成されているとお伝えしました。ここに至るまで、セコムさん、USENさん、KDDIさんなど他社と協業するかたちでマーケットシェアを拡大しています。マーケットシェアは56.4パーセントと、この分野では圧倒的なナンバーワンとなっています。
当社の顧客基盤:大手企業を含む導入 / 活用実績(一部)
当社の顧客基盤です。SMEのスモールビジネスから大手企業のエンタープライズまで、幅広いお客さまに使っていただいています。小売ではユニクロさん、飲食店では「牛角」などのチェーン店、建設では五大ゼネコンのすべてをカバーしているほか、インフラ、物流など、さまざまな業界で使っていただいているのが特徴です。
映像データを活用し、あらゆる産業の「現場DX」を推進
当社は防犯カメラという世界を超え、映像を活用した新しいソリューションを作り、お客さまの現場の課題解決をしていこうと考えており、それを「現場DX」と呼んでいます。例えば小売店では「店内の映像を見る」といった活用用途だけではなく、レジ前に何人並んでいるかなどの分析も、サービスとして提供しています。
建設の現場でも、遠隔で仕事が進められるようなサービスを提供しています。このように、さまざまな現場をデジタルトランスフォーメーションするのが、当社が掲げている「現場DX」というビジネスコンセプトです。このコンセプトに対するマーケティングをしっかりと推進しています。
セーフィープロダクト紹介:かしこくなるカメラ (1/2)
現場DXを推進するためには、AIが必要です。当社では、カメラの中にAIをインストールできる、エッジAIを活用したカメラアプリ「AI-App(あいあっぷ)」を先行して出しています。こちらはスマートフォン用のチップを搭載したカメラで、複数のアプリケーションを書き換えて使えるようなサービスとして展開しています。
セーフィープロダクト紹介:かしこくなるカメラ (2/2)
AIを使ったさまざまなサービスがある中で、店舗事業者向けの「Store People Detection Pack(ストア ピープル ディテクション パック)」という商品をご紹介します。このように、店舗事業者さまにもマーケティング施策に応用していただけるようなサービスを展開しています。
様々な業界、ニーズに適合した多様なアプリの実装/展開が進展中
さまざまなAIをいろいろな業界に実装していこうというのが、当社の「映像から未来をつくる」というビジョンであり、事業戦略につながっています。具体的には、人の手で行われている作業・仕事を、アプリケーションに変えていこうとしているのが、当社の事業です。
そのために、映像を基盤としたデータ解析プラットフォームを構築し、AIを含めさまざまな技術を用いたサービス展開を推進しています。
映像プラットフォームの価値向上を推進させるため、出資も継続中
当社がプラットフォーマーとなり、他のAIを扱う企業やサービスのプレイヤーに、当社のプラットフォームを一緒に使っていただこうと考えています。今期は、セーフィーベンチャーズというコーポレートベンチャーキャピタルから、タイムリープさんやLiberawareさんなどに投資を行い、チーム作りを推進しています。
セーフィーは現場DXソリューションを提供するプラットフォーマー
防犯カメラを販売しているメーカーと誤認される場合もあるため、当社事業について簡単にご説明します。当社は「AI × IoTプラットフォーム」として、一般的なハードウェア提供者のように機器の提供のみを行うのではなく、DXソリューションも提供しています。
顧客への価値提供についても、従来は防犯カメラやレコーダーに記録されているものを見るだけなのに対して、当社は防犯はもちろん、人の手で行っている作業や業務をさまざまなアプリケーションで代替していくことを念頭に、生産性向上につながるサービスを展開しています。
管理しているデータを用いてAIで分析できるようなサービスを展開しています。また、クラウド化の一番の特徴として、サービスの発展性があります。一般的なハードウェアにおいては、導入した時が最先端でどんどん陳腐化していきます。しかし、当社はビューアー(UI)を含め、さまざまなアプリケーションを日々進化させているのが特徴です。
KPIハイライト
古田哲晴氏(以下、古田):2023年12月期第2四半期実績についてご説明します。まずはKPIハイライトです。ARRは80億円で、課金カメラ台数は20.7万台まで進捗しています。全体として、「Safie PRO(セーフィー プロ)」の直販商流が成長を牽引した状況です。
ARR及び課金カメラ台数の推移
ARRは80.9億円で、前年同期比27.1パーセントの増加となりました。課金カメラ台数は20.7万台で、こちらも前年同期比31パーセントの増加です。
商流別課金カメラ台数の推移
商流別の課金カメラ台数の推移です。「Safie PRO」の直販商流および卸商流のどちらも、堅調に推移しています。特に、直販のエンタープライズ案件が課金台数の成長を牽引しました。
「Safie GO/Pocket(セーフィー ゴー/ポケット)」については、季節要因で進捗が停滞しています。こちらは昨年の同時期においても増加が少なく、第1四半期と第2四半期ともに厳しい状況です。建設業界の顧客の商慣習にも照らし合わせて、下期に成長が偏重すると考えています。
ARPC(カメラ1台あたりの単価)の推移
課金カメラ1台あたりの単価の推移です。高単価の「Safie GO/Pocket」が台数に占める割合は低下しましたが、平均単価は横ばいで微減となっています。
2023年12月第2四半期決算 ハイライト
当四半期の売上高は28.9億円と、前年同期比38.9パーセント増の成長となっています。特に、スポット収益は前年同期比で70.3パーセント増となり大幅に増加しました。売上総利益は13.9億円で、売上総利益率は47.9パーセントで着地しています。
売上総利益率が高いリカーリング収益の割合が減ったことにより、全体の売上総利益率が前四半期に比べて減少しましたが、売上総利益は大きく伸びています。
結果として、2.56億円の営業損失を計上しています。前年同期比では赤字幅は縮小していますが、引き続き業界攻略に向けたマーケティングの投資や、採用を含む人材投資、オフィス移転関連の費用を計上しているため、赤字となっています。
売上高の推移
売上高の推移です。トータルでは28.9億円で、特にスポット収益が好調で9億2,500万円の着地となっています。スポット収益の内訳については、従来どおりカメラ販売と設置工事が含まれ、大型案件が多く非常に好調でした。
リカーリング収益は19.7億円で着地し、前年同期比で27.9パーセントの増加となっています。
売上高構成比およびスポット/リカーリング粗利推移
売上高構成比です。リカーリング収益とスポット収益の割合としては、スポット収益が大きく増えたという状況です。それぞれの粗利率は横ばいで推移しています。
売上総利益の推移
結果として、全社の売上総利益率は若干減少し、47.9パーセントとなっています。
先ほどからお伝えしているとおり、それぞれの収益性が悪化しているわけではなく、売上に占める割合が変化しているためです。ですので、絶対額としての売上総利益は大きく増加しています。
販売費及び一般管理費の推移
販管費は、業界攻略に向けたマーケティング投資ということで、S&Mのところは新商品の発表会や展示会、営業人員の増加で、直前期に比べて1億円以上の増加となっています。G&Aは、特にオフィスの移転関連で増加しています。R&Dも人を含めた増加が見られ、全体としては昨年の第4四半期よりは減少していますが、販管費全体としては増加しています。
営業利益の推移
以上の結果を踏まえて、営業損益の推移としては、2億5,600万円の営業損失となっています。前年同期に比べると改善していますが、直前期よりも赤字が少し増加している状況です。
達成するための優先順位
佐渡島:事業進捗アップデートについてご説明します。当社としては、達成するための優先順位として、まずはカメラの台数を増やし、次にARPCと呼ばれるカメラ1台あたりの単価を上げていこうと、ソリューションを展開しているところです。
そのため、スタートアップなどの企業と連携しARRの増加やAIを活用したアプリケーションづくりを目指していこうと、戦略を練っています。
達成にむけた成長テーマ
「現場DX」を使って、あらゆる現場を映像からデジタルトランスフォーメーションしていこうという目標を掲げています。
クラウドカメラを使った現場DXの5ステップ
防犯カメラとして使っていただいているお客さまは当然多いのですが、この防犯・記録というところから、自分の目の代替として遠隔で見たいというニーズもかなり広がってきています。そこを業務システムなどとつなぐことで、より多くの人に見られるツールになっていき、さらに、AIなどを活用することで賢くして生産性を上げていくことに寄与します。
それぞれの業種・業態で見るのではなく、サプライチェーン全体で映像を見ることによって、サードパーティーを巻き込んだエコシステムを作っていこうという流れが、スライドに示している5ステップです。
現在のメインマーケットでは、遠隔で仕事をするところから、業務ツールへの展開やAIによる課題解決などに広がり、徐々に大きくなってきている印象です。
ウェアラブルカメラの活用で安全担保、抑止から教育まで
昨今、各種報道のとおり、鉄道警備でカメラを導入する流れがあります。JR系の警備会社であるセントラル警備保障さんでは、高速鉄道に乗っている警備員が標準でカメラを搭載しています。
他にも、ATMを管理する方のサポートや教育などでも使っていただいており、このような利用が今後さらに増えてくると考えています。
建設業は24年問題による人手不足解消/生産性向上が急務
DXがどのように進捗しているのか、投資家のみなさまにも具体的にお示ししたいと考えていますので、今回は、建設現場のDXの取り組みに特化してご説明します。
現在日本では、高齢化に伴って労働力が減少しつつあります。特に建設業では、2024年問題が大きく取り沙汰されています。2019年に「働き方改革関連法」が施行されましたが、5年後の2024年4月から、建設現場を含めたあらゆる現場で、時間外労働の上限規制が適用され、月45時間、年360時間という上限が罰則付きで法律に規定されることになります。
残業規制がより厳しくなることで、時間外労働の割増賃金などの影響で人件費が大きく引き上がります。また、従来は海外から労働者の方が来ていましたが、昨今の円安の影響でそのような人員の確保にも制約が出ています。2024年の「働き方改革関連法」の施行は建設現場にとって非常に重い課題であり、生産性の向上が急務となっています。
国土交通省は人手不足解消/生産性向上に向け遠隔臨場を推奨
そのような背景とコロナ禍の影響もあり、国土交通省は遠隔臨場の導入を推奨しています。例えば、国土交通省が工事をする際に、目視点検の作業をカメラやAIによって遠隔地から行う仕組みで、現在はより本格的な運用に移っている段階です。この遠隔臨場によって、国土交通省の職員のみなさまや工事の発注者、受注者が、現場に行かなくても状況を確認できるようになります。
従来は、例えば高速道路を建設している場合、何時間もかけて現場に移動し、点検だけして帰ってくるという作業が必要でした。これをカメラで代用しようという流れになりつつあります。NEXCO東日本さんや大林組さんの事例を示しているとおり、工事の担当者が遠隔地から施工管理できる仕組みを作っています。
建設業界はデジタルツインによる現場DXがテーマ
労働力の減少に伴って生産性向上のニーズが増し、DXが喫緊の課題となっています。当社の「Safie GO」や「Safie Pocket」が牽引しているのは、見える化した工程をすべてデジタル化する流れです。
現場の機械にカメラを取り付けたり、ドローンを活用したりすることで、デジタルツインというかたちでリアルの空間をWeb上に映像で再現し、リアルタイムで施工管理を行えるような仕組みを実装します。
さらに、BIMに施工実績や建設設計データを取り込んで施設設備の管理に活用する取り組みも行っています。あらゆる業務をDX化することで、生産性向上に大きく貢献できるようになります。
クラウドカメラの映像データ×AI解析による交通量調査
実際の事例をいくつかご紹介します。クラウドカメラの映像とAIを活用し交通量調査をすると、交通量を調べるだけでなく、設置前後で人や車の流れがどのように変化したかを確認できるようになります。
路上に座って交通量調査を行っている方を見かけることがあると思いますが、土砂降りの雨や雪の日などには調査ができない場合があります。カメラを使えば調査の精度が上がるだけでなく、どのような天候でも調査を実施できますので、今後代替が進んでいくと考えています。
リアルタイムの映像確認で現場の安全管理を強化
現場の安全管理を強化しようということで、ウェアラブルクラウドカメラ「Safie Pocket2 Plus(セーフィー ポケット ツー プラス)」を新たに開発しました。
充電しながらでも操作できるもので、建設現場に手軽に持ち運んで簡単に使用でき、スライドの画像のようにクリップで挟んで設置することもできます。「Safie Pocket2 Plus」を活用いただくことでより簡単に、より高度に施工管理ができるようになります。
ドローンカメラ映像のリアルタイム共有で遠隔業務の利便性向上
こちらも新製品です。当社の「Safie Connect(セーフィー コネクト)」というHDMI出力対応ルーターにドローンのコントローラーを差していただくと、ドローンの映像をリアルタイムで共有でき、クラウド上にデータ保存もできるものです。このようにさまざまな機械を活用することで、施工管理や点検業務の効率化を進めることができます。
この仕組みは関電プラントさんにおいて、点検や設備の建設業務で実際に利用が始まっています。
映像と地図の一元管理で安全管理・業務効率性向上を実施
土木の現場では、位置情報のデータを連携する取り組みも進んでいます。ESRIジャパンさんのプラットフォーム上では地理情報(GIS)とデータ連携することで、位置情報だけでなく、映像や気温といった情報も一元管理し、より正確な意思決定に役立てています。
BIM/CIMモデルを統合したデジタルツインによる遠隔臨場の実現
こちらはコルクさんとの取り組みで、同社が開発しているBIM/CIM共有クラウド「KOLC+(コルクプラス)」を活用し、ドローンの映像からデジタルツインを作っています。現場のカメラと連携することでBIM/CIMのデータを構築し、より高度な遠隔臨場を実現している事例です。
このようにドローンやAIの技術を活用して建設現場の管理を行うことで、遠隔臨場をよりリアリスティックに、安価に実現していくことで、2024年問題のような労働力不足の課題をソリューションで解決しようと考えています。
建設業界で活用されているカメララインナップ
建設現場で活用いただいているカメラに「Safie GO」「Safie Pocket」シリーズがあり、新製品として「Safie Pocket2 Plus」なども開発しています。これらの商品は5大ゼネコンをはじめ、ほとんどのゼネコンで使用いただいています。
すでにたくさんのカメラが建設現場に導入されており、大手ゼネコンに対して具体的なソリューションの提供が求められています。地方のゼネコンについてもこのような事例を拡大するとともに、ハウスの保守点検のような分野やインフラなど、他の業界にも展開していこうと考えています。
建設業界を含めて多様な業界の現場DXを推進
建設現場や小売店だけでなく、ビルなどの建築や物流の現場、公共、製造など、さまざまな領域で、映像での見える化を含めたDX推進のニーズをいただいています。
当社としてはROIを意識し、しっかりと利益を出しながら徐々に領域を拡大していこうと考えています。一つひとつの業界の解像度を上げながらソリューションを提供し、より広い範囲への横展開を目指していきます。
このように、当社は「映像から未来をつくる」というビジョンのもとで事業戦略をしっかりと推進し、多くの現場のみなさまにシステムを活用いただくことでDX推進に貢献しています。
質疑応答:スポット収益改善の理由について
質問者:スポット収益が改善されていますが、これまで課題がいくつかあった中で、どこが解決した結果、この実績につながったのでしょうか?
佐渡島:経営全体をより高いレベルに変えていこうというところで、営業戦略を含めた事業戦略を練り直した結果が、今回の伸びにつながったと考えています。
特に営業の現場については、エンタープライズのお客さまに対して、顧客ドリブンで徹底的に向き合う取り組みを今期から始めています。ただプロダクトアウトで表面上の課題を解決するわけではなく、お客さまのエンタープライズの部分に踏み込んだソリューション提案を行った成果が出ています。
その他にも、AIを活用したソリューション事例も出てきています。詳細はご説明できませんが、全店に導入いただくことで当社の掲げる映像プラットフォームの構築を進め、アプリケーションをつないでDXを実現する事例が実際に出てきています。
大手のエンタープライズのお客さまにも組織全体で使っていただけるような取り組みができており、未整備な部分はあるものの、DXの基盤をしっかりと築けるようになってきたことが、スポット収益の伸びにつながっています。
質疑応答:目標課金カメラ台数達成に向けた取り組みについて
質問者:今期末の課金カメラ台数のターゲット23万9,000台に向けて、実績はどのように評価されているのでしょうか? また、達成するには下期に向けて加速が必要だと思うのですが、どのような取り組みを行うのか、行っているのであれば手応えを含めて教えてください。
佐渡島:30パーセント成長していこうという中で、課金カメラ台数においては前年同期比で3割強の増加を達成しており、手応えがあります。
トータルで伸ばしていく必要があるので、課金カメラだけを伸ばすということではなく、売上、ARRを含めて全体をしっかりと伸ばしていく必要があると考えています。
質問者:つまり、下期の目標達成に向けて非常に手応えはあり、第2四半期の実績というところについても、たまたま第2四半期がよかったというわけではなく、第3四半期以降もこの台数の積み重ねは着実に実行できそうということでしょうか?
佐渡島:経営基盤として強化していますので、一過性のものだけで評価していただくというよりも、中長期的に見ていただけるように経営努力を行っています。しっかりとこの流れをキープしていきたいと考えています。
質疑応答:「Safie Pocket」「Safie GO」について
質問者:「Safie Pocket」「Safie GO」について、下期に台数が加速する見込みで、背景には建設DXへの対応というところがあると思うのですが、見込み案件に対する期待値はいかがでしょうか?
出だしが鈍かった上期対比では、台数の加速が見込まれるのか、まだここは課題感があるのか、今期中はまだ明確な台数改善は見込めなさそうなのかなど、どのような見通しになりますか?
佐渡島:「Safie Pocket」「Safie GO」については、建設現場で使っていただいているものが多く、3月末に落ち込むというように季節の要因が一定はあります。とは言え、ご説明したとおり、スーパーゼネコンにおいてはかなりの台数を使っていただいており、このボリュームは常にあり続ける状況です。
注目いただきたいポイントとして、「Safie Pocket」「Safie GO」の台数としては、「横展開をどうしていくか」が非常に大きなキーの1つになると考えています。
セントラル警備保障さんなどの警備の領域や、電力系などインフラ事業者の方に使っていただくなど、横展開は徐々に増えてきています。建設においても、例えばハウスなどの業界にしっかりと導入できるかというところが、試金石になってくると考えています。
一方で、大手ゼネコンと、インフラ事業者と、ハウスのベンダーというのは、それぞれビジネスモデルがまったく異なります。今まで当社が行ってきたレンタルの手法で横展開が一気に加速していくとは一概に言い切れず、当社もかなり試行錯誤しているところです。
したがって、まったく同じやり方で、まったく同じ伸び方をするということではなく、販売の仕方や顧客のユースケース、またはそのソリューションなどの組み立て方というのが、非常にキーになってくると考えています。
例えば、先ほど土木の現場で「地図と連携する」という現場DXのソリューションについてお話ししました。そのように、NEXCO東日本さんなどが地図情報を連携して「どこの現場で何を見ているか」ということがわかったために、当社のソリューションが遠隔臨場で非常に使われているというケースもあります。
インフラやハウスの事業者に対しても、実際にどのような使われ方をして、それがどのような売り方をすると現場の課題を解決できるかというのは、当社も試行錯誤しながらチャレンジしているところです。これがいきなり伸びるということではなく、まだまだ試行錯誤している最中だとお考えください。
質疑応答:中期の業績目標について
質問者:中期の業績目標について、若干サスペンドになっている印象を受けます。上期などの実績を踏まえれば、もう一度アップデートするようなお話ができるのではと思います。この点についてはどうお考えでしょうか?
古田:今、社内で来期の予算作りを始めているところで、来期のみならず、今後の4年から5年間の中計のたたき台を議論している状況で、次回、来年2月の決算発表の際に新しいガイダンスを出せるようにしたいと思っています。この夏や第3四半期のタイミングですと、外に出せるような数字には仕上がっていないのが実際のところです。
質疑応答:第2四半期の状況と計画の進捗について
質問者:全体として、第2四半期はどのような状況だったでしょうか? 計画に対してどのような進捗だったか、感触を教えてください。
佐渡島:ゼロから100億円というボーダーに乗ってきているため、次の400億円、500億円を作っていくという意味では、引き続き、経営改革をしっかり進めていかなければならないと思っています。上場後の今、「経営改革が着実に実ってきた」と思っています。
一方、ゼネコン向けとまったく同じようなビジネスモデルで、ハウスやインフラのような業界に向けて一気に横展開できるかというとそうではなく、DXという観点でも違うソリューションが必要になります。そのため、現在は着実な成長が求められていると考えています。
しっかりと営業できることは行っていますが、よりお客さまの解像度を上げ、お客さまのニーズをどのようにプロダクトに活かすか、さらに、この商流・売上の拡大をどう進めていくかついては、明確になっている部分と、試行錯誤しないといけない部分とがまだまだ入り混じっています。
その部分については、お客さまのニーズに応えながら業績を安定的に伸ばしていく方法を、今、経営側で議論しているところです。
質疑応答:スポット収益の比率と内訳について
質問者:スポット収益について、カメラの比率はどのくらいだったのでしょうか? また、それ以外の設置費などの内訳を教えていただけますか?
古田:カメラが過半数以上を占めています。具体的には、カメラなどの機器物販がほとんどで、工事などは数十パーセントのレンジという状況です。
質疑応答:大型案件について
質問者:この四半期には大型案件が多かったというお話でしたが、これについて詳しく教えてください。すでにカメラは設置済みのものが大半でしょうか? それとも、これから設置していくことになるのでしょうか? また、このような大型案件において、当四半期はどのようなペースだったか教えてください。
佐渡島:実際には、当社のカメラを使っていただいているお客さまと何年か伴走し、どのように現場をDX化しなければいけないかが見えてきたところです。現在は、新たにカメラを入れて、そこにAIなどのソリューションを付け加えて使っていただくようなケースが増えてきています。
したがって、既存のお客さまに、さらにカメラを増やして使っていただくようなケースが、今回の大型案件の特徴だと思っています。
今後の大型のエンタープライズの営業進捗というところに関しては、お客さまのタイミングが当社の考えたタイミングとずれるケースというのはたくさんありますので、営業のパイプラインとしてはしっかりと予材を積み上げています。
一方で、当社がどれだけの確度を持って成果が出し続けられるかがポイントということで、中長期的に「どれくらい伸び率を伸ばし続けられるか」という視点で見ていただければと思います。
エンタープライズのお客さまにおいては、当社のサービスを使って確実にDXを実現できていますので、このペースをより加速させていきたいですし、しっかりと成長を維持していきたいと思っています。
質疑応答:営業に関しての実現度やその効果について
質問者:先ほど「営業をより業界に特化したかたちにする」という趣旨の内容をおっしゃっていましたが、これは実現できていますか? 業界別というところについて、下期に成果が出てくるものなのか、また、その効果はどの程度になりそうか教えてください。
佐渡島:例えば建設、インフラなどを扱っている部門と、小売・サービス業を扱っている部門は分かれています。各業界のお客さまにきちんと向き合ったチーム作りを、上場後、何度かアップデートしながら強くしています。
当社としては、各業界に特化したチーム、ビジネスユニットをたくさん広げていこうと考えています。
質問者:そのような構造にすることのメリットは感じられていますか? 例えば、営業1人当たりの目標とするカメラ台数や、売上高の改善などに寄与しているのか、それとも、これから実績が出てくるのでしょうか?
佐渡島:まず、映像プラットフォームを整備するという観点でご説明します。エンジニアリングはプラットフォームを作る部門を統合的に管理しつつも、営業についてはお客さまごとに部門を作っていくことにメリットを感じています。
エンジニアリングにおいても、プラットフォームという俯瞰した位置から、アプリケーションなどお客さまの使うソリューションへと徐々に近づき、よりお客さまに近いところで開発をしていかないといけないと考えていますし、これを今後の課題と捉えています。
当社としては、積極的にお客さまに向き合う開発部門を作るという意味で、まだ投資をしていく必要があると考えています。それを行うメリットは感じている一方で、繰り返しになりますが、業界ごとに売り方が確立されているわけではないので、そこを試行錯誤しながらさまざまな取り組みを実施しているところです。
古田:当社の人員数を、課金台数・獲得台数で割ってみると、生産性についてはまだまだこれから効果が出てくるタイミングで、現状は十分に増加し切れているとは言い難いです。
新しいシェアがどんどん増えている状況が続いていますので、新たな領域の顧客とコミュニケーションを取ることにより、生産性は徐々に上がってきています。しかし、業界に特化することによって得られるであろう本来の効果というのは、これからさらに出てくるものだと思っています。
佐渡島氏からのご挨拶
佐渡島:本日はお集まりいただき、ありがとうございました。当社としては、非常にいろいろなお客さまに使っていただいているというところで、現場DXをさらに実現していこうと考えています。株主のみなさまには、引き続きご支援いただきながら、当社としてもしっかりと業績を伸ばしていきたいと思っています。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。