2023年8月16日に発表された、株式会社ジィ・シィ企画2023年6月期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:株式会社ジィ・シィ企画 代表取締役社長 矢ヶ部啓一 氏
目次
矢ヶ部啓一氏:株式会社ジィ・シィ企画、代表取締役社長の矢ヶ部です。本日は、1番目に事業内容、2番目に2023年6月期決算概要、3番目に成長戦略と取り組み状況、4番目に2024年6月期通期業績予想についてご説明します。
会社概要
事業内容についてご説明します。まず、会社概要です。当社は1995年に創業しました。本社は千葉県佐倉市にあり、東京都の新橋にある「TOKYO HORI BLDG BRANCH」は営業および開発の拠点となっています。
山形県米沢市に米沢事務所があり、決済パッケージソフトウェアの開発を行っています。札幌R&Dセンターでは決済端末のアプリケーション開発と研究を行っています。
事業概要
当社はシステム開発会社として創業しました。現在はキャッシュレスに特化しており、カード会社加盟店を中心にシステムとサービスを提供しています。
当社には、自社開発のキャッシュレス決済パッケージソフト「CARD CREW PLUS」があります。このソフトウェアを基盤に事業を展開しており、パッケージライセンスを販売するほか、決済ASPサービスにも活用しています。
事業概要イメージ1
こちらは事業概要イメージです。キャッシュレス決済未導入の店舗に当社の製品やサービスを導入することで、クレジットカード、デビットカード、電子マネー、QRコードなどの決済を利用できる環境が構築されます。
利用方法には2パターンあり、1つはお客さまがシステムを一括して買い取り、お客さまの資産として運用いただく「決済システム導入タイプ」です。
もう1つは、当社のシステムを月々の費用でご利用いただく「ASPサービス利用タイプ」です。近年はセキュリティの観点から「ASPサービス利用タイプ」を選択されるパターンがほとんどとなっています。
事業概要イメージ2
当社ではお客さまのリクエストに応じて、当社が開発した決済サーバーシステムや決済端末アプリケーションのカスタマイズ、蓄積された決済ノウハウを活かした受託開発を行っています。
ビジネスモデル
当社のビジネスモデルは、フロー売上をきっかけにストック売上が拡大するモデルとなっています。「情報システム開発売上」と呼んでいるフロー売上には、システム導入の初期費用である決済ASPサービス初期導入費用、システム受託開発、ソフトウェアライセンス販売、決済端末等機器販売があります。
これをきっかけとして、「アウトソーシングサービス売上」と呼んでいる月々のストック売上契約につながります。具体的には、決済ASPサービス、システム保守サービス、システム運用サービスの売上があります。
事業領域
当社の競合環境についてです。ターゲットとなる顧客規模、販売力、技術力のマトリックスで表現しています。
A群は、主にカード会社加盟店向けの決済事業者です。その多くは自社で決済のセンターシステムを保有しておらず、営業活動によって加盟店を獲得しています。B群は主にカード会社や金融機関向けの大手システムインテグレーター、C群はカード会社向けのシステム開発会社です。
システム規模の比較的小さいユーザーではA群、規模の大きいユーザーではB群、C群との競合が見られます。最近はA群との競合が多く見られるようになっています。
当社の強み:決済システムワンストップサービス
当社の競争優位性についてご説明します。当社は決済サービスをワンストップで提供できます。システム開発会社であることから、決済に必要な製品やサービスは自社開発しており、決済ASPサービスの構築から保守・運用についても自社内のリソースで行っています。
自社内のリソースを活用することでノウハウが蓄積され、新技術や新サービスへの取り組みのみならず、システムのバグやトラブル対応も自社内で解決・完結しています。お客さまに最適なシステムをデザインし、安心安全なシステムを提供しています。
当社の強み:主要な事業者との営業的なアライアンス
当社は、POSベンダー、システムインテグレーター、決済事業者、カード会社などとアライアンスを結んでお客さまを獲得しています。「国際ブランド決済ネットワーク接続サービス」の関係で、カード会社とのアライアンスに力を注いでおり、その成果が早期に出てくることを期待しています。
2023年6月期 業績ハイライト
2023年6月期決算概要についてご説明します。まず、業績ハイライトです。第2四半期の決算発表時に通期見通しの修正を行いました。修正内容は、当初業績予想の売上高20億100万円から15億800万円に、営業利益は当初の2,900万円から3億5,200万円の赤字と計画しました。
情報システム開発売上は、当初計画では既存ASPサービスにおける新規ユーザー獲得を見込んだものの、2020年のクレジットIC化に伴う反動減の影響が大きく、当初計画を下回りました。一方で大型案件の売上計上があり、修正計画を上回る結果となりました。
アウトソーシングサービス売上は、一部の顧客切り替えと成長戦略施策に経営資源を投下したものの、サービス開始時期が遅延した影響で当初計画からは減少しました。情報システム開発の結果を受け、ほぼ修正計画どおりとなりました。
営業利益については、固定費を中心に費用削減に努め、修正業績予想から赤字幅が縮小しています。
2023年6月期 業績サマリー(対修正業績予想比)
修正業績予想との比較です。売上高はプラス2.8パーセントの15億4,900万円、営業利益はマイナス2億7,300万円となりました。
情報システム開発売上は、2020年のクレジットIC化に伴う反動減の影響が大きく、計画を下回ったものの、機器販売の売上が増加したことによりプラス4.1パーセント上回りました。
アウトソーシングサービス売上は、成長戦略のサービス開始時期が先延ばしされたことによる影響を受けたものの、ほぼ修正業績予想どおりのプラス1.9パーセントで着地しました。
2023年6月期 業績サマリー(対前期比)
前期との比較です。売上高はマイナス2.5パーセントの15億4,900万円、営業利益は昨年のマイナス5,500万円からマイナス2億7,300万円となりました。
固定資産の減損損失4億5,400万円を特別損失に計上し、繰延税金資産を取り崩して法人税等調整額(損)1,900万円を計上しています。
減損損失の計上・繰延税金資産の取り崩しについて
減損損失の計上・繰延税金資産の取り崩しについてご説明します。
第2四半期の決算でもお伝えしたとおり、最近の業績動向を踏まえ、将来キャッシュ・フローと固定資産(有形固定資産、無形固定資産および投資その他の資産の一部)の帳簿価額を比較検討した結果、固定資産の減損損失4億5,400万円を特別損失に計上しました。
業績推移を鑑みて、繰延税金資産を取り崩し、法人税等調整額(損)1,900万円を計上しています。なお、本減損処理によるキャッシュ・フローへの影響はありません。
事業計画の達成状況
成長戦略と取り組み状況です。昨年提示した事業計画の達成状況を踏まえた施策に対する、今年度の進捗をご報告します。事業計画の達成状況を踏まえた施策は4点あります。
1つ目の「継続的な売上となるストック売上の成長に力を注ぐ」については、スライド19ページ以降の「成長戦略」にてご説明します。
2つ目の「半導体不足により調達が困難となった決済端末について、リードタイムを考慮し一括発注方式によって安定した在庫数を確保する」については、一括発注方式を採用したことにより、在庫不足は解消に向かっています。また半導体不足についても徐々に回復傾向にあります。
3つ目の「新規ユーザーの獲得を活性化させるため、営業的なアライアンス先を拡充する」については、カード会社との共同提案に取り組んでいます。引き合いが増加し、受注に結び付いています。
4つ目の「より魅力的な製品やサービスをお客さまに提供するため、製品開発と研究開発への投資を行う」については、製品開発・研究開発への投資を積極的に行い、サービス向上のための取り組みを継続しています。一方、外部への支出を中心に、費用の見直しを実施しています。
成長戦略① マーケットターゲットの拡大
成長戦略についてご説明します。成長戦略の1つ目、マーケットターゲットの拡大についてです。
こちらは、従来の大規模・中規模店に加え、小規模店へマーケットターゲットを拡大するものです。加盟店に対して、協業するカード会社4社(アクワイアラ)と共同提案を行っています。コンタクトレス決済の引き合いが増加し、受注につながっています。
成長戦略② 国際ブランド決済ネットワーク接続サービス
成長戦略の2つ目、国際ブランド決済ネットワーク接続サービスについてご説明します。
現在、当社の決済ASPサービスは国内の決済ネットワークを利用していますが、これを国際ブランドが用意する「VisaNet」に切り替えていきます。2023年6月期の進捗としては、カード会社より紹介された加盟店に対して商談を行っているところです。
今後の展開については、カード会社とのプロジェクトが進行中ですが、カード会社側の事情により遅延しています。また、カード会社のアライアンス先を随時拡大していきます。こちらについては、カード会社に対して着実に広がっている手応えを感じています。
成長戦略③ マルチ決済端末のサブスク型販売
成長戦略の3つ目、マルチ決済端末のサブスク型販売についてご説明します。現在、飲食チェーン店への導入・運用を開始しています。加盟店が端末を資産化しないという管理上の優位性から、小規模店だけでなく中規模店、大規模店からも引き合いをいただいています。
成長戦略④ 決済手数料売上
成長戦略の4つ目、決済手数料売上についてご説明します。当社が直接店舗と決済手数料にかかる契約を行い、決済手数料を収益とするビジネスに参入します。スライドの図のとおり、当社とカード会社加盟店間の契約、当社と決済事業者間の契約が前提になります。
決済にかかわる契約を一本化することで、端末サブスク型販売などと組み合わせ、加盟店に対して安価に簡便にキャッシュレス決済を導入をすることが可能になります。こちらはサービス開始に向けて準備している段階です。
成長戦略⑤ NUCADOCO
成長戦略の5番目、健康経営アプリ「NUCADOCO」についてご説明します。「NUCADOCO」は、従業員の3Dアバター化、3Dデータ化により、「ヘルスケアアプリ」「3Dスキャナサブスク」「3D身体データ利活用」の3つのサービス展開を目指し、事業を推進していきます。
2023年6月期の進捗としては、アプリにOEMの機能を実装しました。これにより、アプリの背景・アバター・モーション・利用規約などが自由に変更可能となっています。
また、メタバースオフィスが完成し、新しい事業や技術、アイデアなどの実証を目的とした試作開発前の検証である「PoC」を実施中です。加えて、「NUCADOCO」と鍼灸治療との実証実験を行った結果、「未病」解消の可能性が期待される結果が得られています。
サステナブル SDGsへの取組み
サステナブル、SDGsへの取り組みについてです。1つ目は、キャッシュレス決済の推進がSDGsへの貢献と捉え、キャッシュレス比率向上のための施策を実施しています。
2つ目は、地域に根付いたコミュニティ通貨の普及活動として、各地でさまざまな実証実験を行っています。その中でも「社員と子ども食堂・地域食堂を繋ぐ食材支援プロジェクト」を通じ、子ども食堂・地域食堂への地域貢献活動に力を入れて取り組んでいます。
これらの活動により、企業の価値をいっそう高めていきたいと考えています。
セグメントの変更について①
2024年6月期通期業績予想についてご説明します。まず、セグメントの変更についてです。ストック売上の増加により、売上区分ごとの利益管理の重要性が高まったことから、2024年6月期より単一セグメントから3つのセグメントへ変更します。
2023年6月期までは、キャッシュレス決済サービス事業の単一セグメントでした。その中で売上区分として、情報システム開発売上とアウトソーシングサービス売上に分けていました。
2024年6月期からはセグメントを3つに分け、フロービジネスである「ペイメントインテグレーション事業」、ストックビジネスである「ペイメントサービス事業」、「その他事業」に分けていきます。
セグメントの変更について②
変更後の各セグメントの主な事業内容です。
ペイメントインテグレーション事業は、「決済システムの設計・開発・導入・販売」「決済端末アプリケーションの設計・開発・導入・販売」「決済端末の販売」「システム機器の販売、ソフトウェアやシステムインフラ基盤に関する設計・開発・導入・販売」となります。
ペイメントサービス事業は、「決済ASPサービス(クラウド型)の提供」「保守運用サービスの提供」「決済端末のサブスク型販売」「決済代行サービスの提供」「ソフトウェアの保守、ハードウェアの保守、BPOサービスの提供」になります。
その他事業については、「ヘルスケアアプリ『NUCADOCO』の設計・開発・販売・サービスの提供」「事業化を検討している新規ビジネス等」になります。
2024年6月期の利益計画変更について
2024年6月期の利益計画変更についてご説明します。2023年6月期の業績が計画未達となったことを受け、それぞれの戦略スケジュールと費用面の見直しを行い、2024年6月期の計画を立案しています。
売上計画としては、具体的な受注案件・引き合い案件をベースに、サブスク型のマルチ決済端末の販売計画を修正しました。また、国際ブランド決済ネットワーク接続サービスはスケジュールの見直しに伴い、販売計画を修正しました。
それに加え、「NUCADOCO」の販売計画の修正、決済手数料売上の販売計画の修正を行っています。
投資計画としては、ストック売上をいっそう成長させるためのサービスやシステムの開発等へ投資と、技術系、営業系を中心とした人材採用を計画しています。
2024年6月期の利益計画変更について
1年前に提示した計画と変更後の計画になります。1年前に提示した計画では、売上高が23億5,400万円、営業利益が6,400万円でした。こちらを売上高18億5,100万円、営業利益4,100万円に修正しています。
2024年6月期 通期業績予想
売上高の18億5,100万円の内訳は、ペイメントインテグレーション事業で8億1,000万円、ペイメントサービス事業で10億3,900万円です。営業利益は4,100万円、経常利益は1,400万円、最終利益は300万円となっています。
以上をもちまして、2023年6月期の決算説明を終わります。
株主のみなさまには、当社の成長と発展に期待していただき、引き続きご支援のほどよろしくお願いします。