業界別にみた中間管理職の給与実態

では、業界別にみたときの中間管理職の給与実態を、厚生労働省の「令和4年賃金構造基本調査」から確認していきましょう。

なお、上記調査は具体的な役職別では調査されていないため、課長級の平均年齢「45~49歳」、部長級の平均年齢「50~54歳」を目安としてみていきます。

厚生労働省の「令和4年賃金構造基本調査」によると、業界別の平均給与は【図表2】の結果になりました。

上記表をみると、「45~49歳」「50~54歳」ともに賃金水準が高いのは「金融業・保険業」となりました。

「45~49歳」で最も賃金が高いのは「電気・ガス・熱供給・水道業」で、次いで「情報通信業」「金融業・保険業」が続きます。

一方で「50~54歳」の場合、最も賃金が高いのは「電気・ガス・熱供給・水道業」で次いで「金融業・保険業」「情報通信業」が続きました。

反対に賃金が低い業種として、「45~49歳」では「サービス業」、「50~54歳」では「宿泊業・飲食サービス業」が最も低い結果となっています。

上記から、中間管理職になり得る年齢であっても、業種によって賃金に大きな差が生じていることがわかります。

中間管理職になりたい?出世を望まない人が増加傾向に

前章では、中間管理職の給与についてみていきましたが、「思っていたよりも給与が高くない」と感じた方もいるのではないでしょうか。

一昔前までは役職に就けば給与も安泰とされていましたが、現代では中間管理職に昇進しても、一気に給与が増加するわけではありません。

その一方で、課長や部長といった役職についた途端に、課せられる業務量や責任感は重くのしかかります。

上記のことから、現代では中間管理職に「なりたくない人」と感じている人が多いようです。

実際に株式会社ビズヒッツが男女500名に行った調査では、約6割の人が「管理職への昇進の打診を断る」と回答しています。

管理職になりたくない理由としては、「責任や仕事の負担が大きくなる」「収入面でのメリットがない」が多く挙げられており、中間管理職に昇進するメリットよりもデメリットのほうが多いと感じる人が増えているとうかがえます。

中間管理職の業務量と給与が見合わない印象が強いことから、今以上の役職や出世を望まない人が増加傾向にあるのでしょう。

中間管理職でも大幅な年収アップは厳しい状況

本記事では、課長級や部長級の「中間管理職」の平均給与について紹介していました。

課長級や部長級のおおよその手取り月収は、部長級で「約45万円から50万円」、課長級で「約35万円から40万円」であり、中間管理職に昇進しても大幅な年収アップは見込めないのが現状です。

上記のことから現代では、「中間管理職になりたくない」という人が増加傾向をたどっており、中間管理職は給与と業務量が見合っていないという印象が強いのだとうかがえます。

とはいえ、業種によっては中間管理職になり得る年齢において賃金に大きな開きがあることから、一概に「中間管理職をしても年収アップは厳しい」とは言えないでしょう。

将来「キャリアアップをしながら年収アップもしたい」と考えている人は、自身の業種が中間管理職につくことで、どのくらい給与がアップするかを本記事を参考に今一度確認しておけると良いでしょう。

参考資料

太田 彩子