2023年8月10日に発表された、株式会社クラダシ2023年6月期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:株式会社クラダシ 代表取締役社長 関藤竜也 氏
株式会社クラダシ 取締役執行役員CEO 河村晃平 氏
2023年6月期決算説明
関藤竜也氏(以下、関藤):本日はお忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます。代表取締役社長の関藤です。
クラダシは、2023年6月30日に東京証券取引所グロース市場へ新規上場し、本日が初めての決算説明会となります。
この1週間、台風6号が迷走しています。九州・沖縄地方を含め、全国的に大変な異常気象に見舞われ、自然災害がサプライチェーンに大きな影響を与えています。食品事業は、その影響が最も大きい産業といえるかもしれません。
フードロスを削減するビジネスは仕入れ段階で凸凹が生じやすいのですが、このような中で、サステナビリティに十分配慮する企業が一層求められており、フードロス問題に取り組む企業の商品が消費者に選ばれる局面に入っていると考えています。
一部の方には繰り返しになる部分もありますが、あらためてクラダシの事業概要、業績および計画についてご説明します。
目次
本日のアジェンダです。私から事業概要をご説明し、2023年6月期通期業績報告、2024年6月期通期業績予想、成長戦略については河村よりご説明します。
会社概要
会社概要です。クラダシは2014年7月に創業し、10年目に突入しました。クラダシはソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」と、そのプラットフォームを活用した「Kuradashi Hub」「Kuradashi Stores」の3つの事業を展開しています。
また、社会・環境に配慮した高品質のビジネスを行う企業に与えられる国際認証制度「B Corp」を取得しています。なお、B Corp認証取得企業としては日本初のIPOとなります。
「新しい資本主義」という文脈においても、さまざまなメディアからの取材依頼や業界団体、教育機関などからの講演依頼を受けており、認知度の拡大につなげていきたいと考えています。
Mission&Vision
クラダシのMissionは、「ソーシャルグッドカンパニーでありつづける」です。私たちは社会課題をあえてビジネス展開させることで、経済を循環させながらサステナブルに解決していくことを目指しています。そのため、社会性、環境性、経済性に優れた活動を展開しています。
Visionは、「日本で最もフードロスを削減する会社」と掲げています。日本は国内消費食料の約6割を輸入しているにもかかわらず、世界有数のフードロス大国とされています。私たちは1.5次流通革命を通じて新たな流通市場を形成していきます。
取り組むべき社会課題
事業内容の背景にある、社会課題としてのフードロス問題についてご説明します。日本の商慣習には「3分の1ルール」があります。例えば賞味期限が6ヶ月の商品は、2ヶ月以内に小売店に納品しなければ、残り4ヶ月あるにもかかわらず販路を失ってしまいます。
また、製造から流通過程において、「規格外品」「季節品・終売品」「限定パッケージ」といった理由により、さまざまな商品が廃棄されることでフードロスが発生しています。
日本では、年間523万トンもの食品ロスが発生しており、この量は世界の食糧援助量の1.2倍にも及んでいます。
このように、サステナブルに相反しているところが大きな問題となっています。
Kuradashiの特徴的なビジネスモデル
「Kuradashi」は大きな社会課題であるフードロスの削減に特化したプラットフォームです。ビジネスモデルとして、サプライヤーのフードロスの課題と消費者ニーズをECで迅速にマッチングさせるプラットフォームを提供しています。また、売上の一部は社会貢献活動団体の支援に回るという三方良しのユニークなモデルを構築しています。
主な事業内容として、オンライン販売のソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」、オフライン販売の「Kuradashi Hub」、パートナー企業向けサービスの「Kuradashi Stores」の3つの事業を展開しています。
ソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」
主力事業であるソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」についてご説明します。楽しいお買い物で、みんなトクするソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」は、会員のみなさまのおトクな買い物が、フードロス削減と社会貢献活動につながるECサービスです。
「Kuradashi」はフードロス削減を目指し、まだ食べられるにもかかわらず捨てられてしまう可能性のある商品をおトクに販売しています。
さらに、売上の一部を環境保護・災害支援などに取り組む社会貢献団体への寄付や「クラダシ基金」として活用し、SDGs17の目標を横断して支援しています。
提供価値と強み
クラダシの提供価値と強みとして、主に3つの点についてご説明します。1つ目は、私たちがパートナー企業と呼んでいるサプライヤーについてです。スライドに記載のとおり、現在、日本を代表する大手メーカーを含む1,428社がクラダシの取り組みに賛同し、商品を出品しています。
廃棄コストの削減といった経済的なメリットだけでなく、フードロス削減がSDGsに資する活動として高く評価され、賛同いただいています。
提供価値と強み
2つ目は、新たな価値を創造する1.5次流通の確立です。クラダシは1次流通で販売することが困難な商品を買い取り、消費者ニーズに迅速にマッチングさせ、フードロスを削減しています。
「ディスカウントショップに流れてしまうと、ブランドイメージが毀損されて市場価格が下落してしまう」といった懸念が生じ、その結果、廃棄が発生するのがフードロス問題です。
クラダシの最大の特徴は、従来の流通ルートとは異なる「1.5次流通」というまったく新しい流通市場を開拓している点にあります。
提供価値と強み
3つ目は、お客さまである一般消費者、つまりKuradashi会員です。2023年6月末時点における累計会員数は47万7,000人です。2019年12月末時点では8万人でしたが、この3年半で約6倍と、会員数の拡大につながっています。
提供価値と強み
急成長を遂げている背景についてです。クラダシは、楽しいお買い物で、みんなトクするソーシャルグッドなお買い物の価値を会員に提供することで、次のスパイラルを生み出しています。
最初の入り口は、経済的にお得に買い物ができることです。次に、珍しい商品に出会えるワクワク感の体験、さらにはフードロス削減や社会貢献活動に参画することへの喜びなど、「エシカル消費」を通じて、Kuradashi会員の拡大をより加速させていきます。
社会貢献活動
社会貢献活動については、透明性を重視しています。SDGsのさまざまな活動をしている社会貢献団体に、売上金の1パーセントから5パーセントを寄付しています。
また、クラダシ自らが社会課題を解決するために創設した「クラダシ基金」にも活用し、地方創生事業やフードバンク支援事業、SDGs教育事業などに取り組んでいます。さまざまな社会貢献団体やクラダシ基金への支援金額は累計で1億円を突破しています。
Kuradashi Hub
「Kuradashi Hub」についてです。クラダシはオフライン販売の強化として期間限定のPOPUP催事を展開しており、このたび、「たまプラーザテラス」に常設店を設置しました。
オンラインでは難しい地場の消費者へのアプローチが可能となるため、そこから生の声を吸い上げ、オンラインに活かしていきます。
まさに、オフラインをオンラインにマージするようなサービスとなっています。
Kuradashi Stores
新規事業の「Kuradashi Stores」についてです。クラダシのオンライン販売のノウハウをデータ化し、パートナー企業に対して販売戦略やマーケティング、販売チャネルを提供するサービスを活発に展開させていきます。
通期ハイライト | 「Kuradashi」
2023年6月期のハイライトです。EC事業であるソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」は、2022年7月にグランドリニューアルを実施しました。
「楽しいお買い物で、みんなトクするソーシャルグッドマーケットを創る。」というブランドパーパスを策定し、それに合わせてロゴやブランドカラーを刷新して、オリジナルキャラクターも誕生しました。
2022年12月には、環境省が行う「食とくらしの『グリーンライフ・ポイント』推進事業」に採択され、初のポイント機能を実装しました。
「Kuradashi」で買い物することでフードロス削減に貢献でき、ポイントも付与されます。また、付与されたポイントは買い物だけでなく社会貢献団体への寄付にも利用できます。
通期ハイライト | Hub
「Kuradashi Hub」は、2023年5月に東急モールズデベロップメントと連携し、たまプラーザ駅直結の商業施設、「たまプラーザテラス」内に初の常設店舗をオープンしました。
2023年6月には三井不動産株式会社が運営する、新たな服のサイクルを生み出す実験場「KISARAZU CONCEPT STORE」がオープンし、カフェと食物販コーナーに食材を提供しています。
通期ハイライト | Stores
2023年3月にはソウゾウと業務提携し、「メルカリShops」への出店を開始しました。「メルカリShops」は、月間2,000万人以上の利用者を有するプラットフォームです。「メルカリShops」と、1,400社以上の食品関連事業者をパートナー企業とする当社との連携により、フードロス削減のための新たな販売チャネルをさらに拡大していきます。
「メルカリShops」を運営するソウゾウが目指す「循環型社会の実現」は、私たちのコンセプトにもかかるところであり、フードロス削減の輪を拡大させていきたいと考えています。
通期ハイライト | サステナビリティ
サステナビリティ関連のハイライトです。「Kuradashi」では、事業による社会環境への効果を算出し、各ステークホルダーに排出量などを開示しています。2023年6月末時点での累計フードロス削減量は、1万7,000トンを超えました。
2023年3月には、サステナビリティへの取り組みや優先課題であるマテリアリティを含めた有益な非財務情報として、初のサステナビリティレポートを発行しています。
「クラダシ基金」の活動
クラダシのユニークな特徴の1つである「クラダシ基金」は、売上金の一部を原資として活動しています。その一例として、「クラダシチャレンジ」という社会貢献型インターンシップを定期的に開催しており、2023年6月期では計12地域で実施しました。
「クラダシチャレンジ」では、人口減少などに課題を持つ地方の、特に一次産業従事者のもとを大学生が訪れ、収穫などをお手伝いします。クラダシでその一部を販売することで、地域経済の活性化を図っています。
さらに、フードロス削減に限らず、世界、そして日本の食のサステナビリティ課題について食品業界を横断するかたちで啓発し、取り組みを加速させるため、食のサステナビリティ研究会を発足しました。
2022年10月には、CSV経営、パーパス経営で著名な名和高司氏、ロート製薬の山田邦雄会長、ユーグレナの出雲充社長、あるいは農林水産省といった先進的な課題への取り組みや研究をされている有識者にご登壇いただき、食の社会課題解決に向けた「食のサステナビリティ共創・協働フォーラム」を開催しました。このフォーラムを、今後もさらに成長させていきたいと考えています。
2023年6月期ハイライト
河村晃平氏(以下、河村):それでは、河村から2023年6月期の業績報告を行います。2023年6月期のハイライトです。売上高は前年比プラス約40パーセントの29.1億円、当期純利益は前年比マイナス8,900万円のマイナス1.7億円と、増収減益となりました。当期純利益は減益ですが、広告宣伝費を2.4億円と大きく投下していますので、当初の計画どおりの着地となっています。
2023年6月期業績
2023年6月期第4四半期の業績についてご説明します。売上高は、前年比プラス約24パーセントと、着実に成長を遂げています。
2023年6月期通期業績としては、前期から引き続き高い成長を維持し、売上高は前年比プラス40パーセントを達成しました。一方で、前期に調達した資金をマスマーケティングに大きく先行投資したことから、営業利益はマイナス1.6億円で着地しています。
業績予想比では、第4四半期が予算未達となったことから、売上高は約97パーセントの着地となりました。一方、コストコントロールにより、各利益は予想どおりの着地となっています。
創業からの売上高・売上総利益推移
創業以来の売上高と売上総利益の推移です。前期の20.7億円から、継続して成長しています。
売上高と各利益の四半期別推移
売上高と各利益の四半期別推移です。2023年6月期は、第2四半期における年末商戦でのおせちの大量供給、『カンブリア宮殿』をはじめとするテレビ露出を行ったことにより、ピークを形成しました。
第3四半期は第2四半期の反動もあり、想定どおりの推移を見せたものの、第4四半期は予想に反して減収となりました。
KPI推移(パートナー企業・会員)
売上高に直接影響するKPIの推移です。スライド左側のグラフが販売側であるパートナー企業のKPI、右側のグラフが購入側である会員のKPIです。第3四半期から第4四半期にかけて、パートナー企業側では平均仕入高、会員側では月間UU(ユニークユーザー)の下落が見てとれます。
当社のビジネスモデルは、パートナー企業で発生したフードロス品をユーザーへお届けするマッチングビジネスです。魅力的なフードロス品を多く仕入れることで、ユーザー側の魅力度が上がり、売上が発生します。したがって、パートナー企業サイドのフードロス品の案内が重要です。
第4四半期は特に大口の商品案内が減少したため、平均仕入高の減少につながり、商品魅力度の低下によるユーザーの減少、売上高の減少という結果になりました。商品案内が減少した背景には、外部要因のインフレ、物価高の影響があり、その中でも4月における大量の商品値上げが大きな要因であると分析しています。
食品値上げによる影響
食品値上げによる影響についてご説明します。食品値上げは数ヶ月前に事前告知があります。告知があると、小売企業各社は先々の仕入れも含めて値上げ前に在庫を確保するため、当社の主なパートナー企業であるメーカー・卸では在庫処分が進みます。
今回は4月に食品値上げを実施するという告知があったため、多くの食品在庫は3月中にメーカー・卸から小売業者に移っていました。それにより、4月時点ではメーカー・卸の食品在庫が圧縮されていたため、フードロス品の当社への案内が減少したという経緯です。
長期的には、食品値上げによって需給のバランスが崩れると見ており、トータルでは当社にとっては勝機です。ただし、第4四半期においては、短期的なマイナスの影響を受けています。
限界利益率の推移
限界利益率の推移です。第4四半期において、売上高は苦戦していましたが、利益水準である限界利益率は、一定の水準をキープしています。
2023年6月期営業利益の増減分析
2022年6月期から2023年6月期の営業利益の増減分析です。2022年6月期に比べて売上高が増加したことにより、営業利益は約2億円増加しています。一方、人件費の増加、マスマーケティングを中心とした一時的な広告宣伝費の増加、および上場関連一時費用の増加により、営業損失は拡大しています。
以上が、2023年6月期の業績報告となります。
2024年6月期 業績予想
続いて、2024年6月期の通期業績予想についてご説明します。2024年6月期業績予想として、売上高は前年比プラス20.3パーセントの35億円、営業利益は前年比プラス約2億円の4,500万円の黒字を計画しています。
通期での黒字化を受けた繰延税金資産(DTA)の計上に伴い、法人税等調整額を計上する見込みですので、当期純利益は経常利益を超える予想となっています。
2024年6月期 業績予想の前提
業績予想の前提についてご説明します。まず市場環境として、2023年6月期第4四半期に直面した食品値上げによる案内減少の影響は2024年6月期第1四半期まで続くという前提で計画しています。
ただし、足元では状況が好転し始めているため、第2四半期からは回復を見込んでおり、回復後は従来の成長に戻ると想定しています。また、EC以外の売上のうち「Kuradashi Hub」「Kuradashi Stores」についてはスポット要素が強く、保守的な見込みとしています。
営業利益に関して、事業の利益率を表す限界利益率は、2023年6月期と同等の水準を想定しており、特に悪化の懸念はありません。固定費については、収益に直結する人員の採用を強化する予定のため、人材採用費は利益圧迫要因となります。一方で、広告宣伝費については、効率のよいデジタルマーケティングに絞って運用することを前提とします。
また、通期での黒字化を前提とした繰延税金資産の計上に伴い、法人税等調整額4,700万円を計上する予定です。
2024年6月期 営業利益の増減分析
2023年6月期実績と2024年6月期予想の営業利益の増減分析です。2023年6月期は多くの広告宣伝費を投下しました。こちらは、上場前に調達した資金をマスマーケティングに大きく投下したものですが、2024年6月期は効率性の高いデジタルマーケティングに集中投下していくため、前年比で大きく改善していくと考えています。加えて、売上高の増加に伴う利益の増加を見込んでいます。
人件費の増加は、売上増加に応じたコストコントロールを行うことで吸収する方針であり、2024年6月期は通期で黒字を達成する予想です。
2024年6月期 営業利益発生イメージ
営業利益の進捗イメージについてご説明します。スライドのグラフは四半期ごとの営業利益の発生イメージです。単独ですので、累計の進捗ではありません。
前述のとおり、第1四半期は食品値上げの外部環境によるマイナスの影響を受けるため、営業損失を見込んでいます。その後、第2四半期から年末年始商戦を取り込み、第3四半期以降は売上高の成長とともに損益分岐点を再び超え、営業利益が増加する予定です。
以上が、2024年6月期業績予想となります。
目指すべき方向性
最後に、成長戦略についてご説明します。ミッションは、「ソーシャルグッドカンパニーでありつづける」、ビジョンは、「日本で最もフードロスを削減する会社」と掲げています。中長期的に目指すべき姿として「みんなトクするフードロス削減のインフラに」ということで、業界において必要不可欠なインフラになることを目指しています。
基幹事業の拡大
基幹事業の拡大として、ソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」の成長が一丁目一番地にあたりますが、その事業成長の源泉であるパートナー拡大をさらに強化します。日本には2.5万社もの食品関連事業者がおり、拡大余地はまだあります。より積極的に取引に参画いただけるよう、さまざまな施策を実施し信頼関係の構築を図ります。
今後の成長戦略1/2
「Kuradashi」はソーシャルグッドマーケットで培ったノウハウを活かし、今後は4つの柱で展開していきます。1つ目は商品開発需給予測を担うForecastビジネスの展開、2つ目は倉庫保管などのフルフィルメントサービスのベース展開、3つ目はマーケティング支援を行うStoresの展開、4つ目はオンラインとオフラインのマージである常設店の展開です。フードロスの削減事業を主事業として、付随するビジネスの展開を図っていきます。
今後の成長戦略2/2
ソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」の在庫、マーケットプレイス事業の成長を土台に、4つの柱の展開により収益拡大を図り、「みんなトクするフードロス削減のインフラ」を実現していきます。
以上、決算説明となります。みなさま、ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:業績の安定性について
司会者:「今後、業績の安定性はどのように担保していくつもりでしょうか?」というご質問です。
河村:「Kuradashi」は、フードロス品をECで迅速にマッチングさせるビジネスモデルです。フードロスを削減するという観点においては、安定性が課題だと認識しています。ただし、これまで3年CAGR(年平均成長率)はプラス約73パーセントと高い成長率を維持してきていますので、経営努力でしっかりと増収増益となるようにしていきます。
在庫のスポット品を預かる在庫モデル型についてはしっかりと強化していきますが、安定性担保の観点からマーケットプレイス型を成長させ、今後はベース売上の安定性を図っていきます。
この他にも、「Kuradashi Hub」「Kuradashi Stores」での収益の複線化により安定性を担保していきます。
質疑応答:上場後の仕入れ先企業との関係性の変化について
司会者:「上場を受けて仕入れ先との関係性に何か変化はあったでしょうか?」というご質問です。
関藤:先日、上場祝賀会を開催しました。既存の取引先において双方の期待感などを確認し、さまざまなお話をする中で、あらためて「Kuradashi」の必要性を感じていただいている企業が多いと実感しています。
また、さまざまな大手企業が開催する会合や業界や団体の会合などにお声がけをいただくような機会が増えていますので、将来的にも新たな取引先を増やす余地があると考えています。
質疑応答:2023年6月期第4四半期の想定外の減収要因について
司会者:「2023年6月期第4四半期の想定外の減収要因はどこにあるとお考えでしょうか?」というご質問です。
河村:インフレ、物価高騰による食品値上げが要因です。食品値上げは数ヶ月前に事前告知されることから、告知時に、先々の仕入れも含めて、小売企業各社は値上げ前に在庫確保に動きます。当社の主なパートナー企業であるメーカーや卸はそこで、在庫が大きく圧縮されます。4月に食品値上げを実施するという告知があったため、3月中に、多くの食品在庫はメーカー・卸から小売に移っており、4月時点では、当社の主要取引先であるメーカー・卸の食品在庫は圧縮されたため、フードロス品としての弊社への案内が減少したという経緯です。
「Kuradashi」は商品ラインアップの拡充により、ユーザー側の魅力度が上がり売上が立っていきますので、ユーザー側の魅力度の低下により、第4四半期は売上が低下したと分析しています。
質疑応答:広告宣伝について
司会者:「広告宣伝について、マスマーケティングを必要とする局面は終わったと考えてよいでしょうか?」というご質問です。
河村:2024年6月期は、マスマーケティングによる認知拡大は実施しない予定です。顧客獲得単価(CPA)、顧客生涯価値(LTV)を考慮したデジタルマーケティングで、効率的にユーザー獲得ができるよう、売上高に連動したかたちの広告宣伝費の投下を考えています。
質疑応答:インフレや物価高騰の対策について
司会者:「今後もインフレや物価高騰が起こる可能性があると思いますが、対策を教えてください」というご質問です。
河村:先ほどご説明した業績安定性の担保と近いところではありますが、スポット品として扱う在庫型モデルではインフレや物価高による影響が出るため、業績安定性の観点からマーケットプレイス型のさらなる育成を進めていきます。
また、「Kuradashi Hub」「Kuradashi Stores」での収益の複線化により、インフレや物価高による影響を大きく受けない体制に切り替えていきます。
2023年6月期第4四半期は、インフレや物価高により短期的にマイナスの影響が出ていますが、第1四半期、第2四半期には時期がずれて需給のバランスが崩れると予想していますので、在庫型モデルも成長すると見ています。
質疑応答:人件費増加の想定について
司会者:「2024年6月期に関して、人件費の増加を見込まれていますが、具体的にどのような想定をされていますか?」というご質問です。
河村:成長を継続するには人員の確保は非常に重要です。大手メーカーとの仕入れにおける信頼構築を進めるため採用を進めており、売上に直結するようなマーチャンダイズ部隊の人員の増加が見込まれています。
関藤氏からのご挨拶
世界の自然災害や労働環境について、地球環境とともにバランスをとっていくことが難しい時代に突入しています。日本の食料自給率は37パーセントで、3分の2を輸入に頼っていますし、日本の畜産業や漁業、養殖については、その餌代のほとんどを輸入に頼っています。
フードサプライチェーンのグローバル化により、世界の自然災害や労働環境などが国内のサプライチェーンに直接ヒットしています。中長期を見据えて、暮らしのパーパスを共有するパートナー企業を増やし、フードロス削減への取り組みを強化して、さらに加速する必要があると思っています。
みなさまにおかれましても、どうか大きなご協力と温かいご支援を賜りますよう、お願いいたします。本日は大変お忙しい中、クラダシの初の決算説明会にご参加いただきまして、誠にありがとうございました。