ソニーグループのセグメント分析
同社は、「ゲーム&ネットワークサービス」「音楽」「映画」「エンタテインメント・テクノロジー&サービス」「イメージング&センシング・ソリューション」「金融」の6つを報告セグメントとしている。各々について以下で見ていく。
ソニーグループのゲーム&ネットワークサービス事業
当事業は、株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下「SIE」という)が行う。
PlayStationブランドなどの製品およびサービスの企画、開発、販売を担う。具体的には、PlayStation 5、PlayStation VR 2といったハードウェア、PlayStation Store、PlayStation Plusといったオンラインサービス、PlayStation用ソフトウェアである。
売上高は、前年同期比+1678億円の7719億円となった。円安の影響+406億円を含めて、ハードウェア売上の増加や⾃社制作以外のゲームソフトウェア販売増加により大幅な増収となった。
一方で、セグメント利益は、円安の影響+25億円や売上高増加がありつつも、Bungie, Inc.等を買収したコスト増により、前年同期比▲36億円の492億円であった。
ソニーグループの音楽事業
当事業は、株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)が行う。
事業内容は以下のとおりである。
- ストリーミングによるデジタルの音楽制作物の販売
- パッケージおよびダウンロードによるデジタルの音楽制作物の販売やアーティストのライブ パフォーマンスからの収入
- 楽曲の詞、曲の管理およびライセンス
- アニメーション作品およびゲームアプリケーションの制作・販売、音楽・映像関連商品の様々なサービス提供
売上高は、前年同期比+502億円の3582億円と大幅な増収となった。円安の影響+152億円を含めて、⾳楽制作及び⾳楽出版における有料会員制ストリーミングサービスからの収⼊増加が影響した。
セグメント利益は、前年同期比+124億円の734億円となった。連結⼦会社化による再評価益や円安によるものである。
ソニーグループの映画事業
当事業は、株式会社ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(SPE)が行う。
事業内容は以下のとおりである。
- 実写及びアニメーション映画作品の全世界での製作・買付・配給・販売
- テレビ番組の制作・買付・販売
- 全世界でのテレビネットワーク及びDirect-toConsumer配信サービスのオペレーション
売上高は、前年同期比▲210億円の3204億円となった。劇場興⾏収⼊の増加はあったが、ホームエンタテインメント売上及び動画配信サービス向けライセンス収⼊が減少したことが要因となった。
セグメント利益は、前年同期比▲347億円の160億円と大幅な減益となった。劇場公開作品の増加に比例して広告宣伝費が増加した影響が大きかった。
ソニーグループのエンタテインメント・テクノロジー&サービス事業
当事業は、ソニー株式会社が行う。
主な製品は以下のとおりである。
- 液晶テレビ、有機ELテレビ
- ブルーレイディスクプレーヤー/レコーダー、家庭用オーディオ、ヘッドホン、メモリ内蔵型携帯オーディオ
- レンズ交換式カメラ、コンパクトデジタルカメラ、民生用・放送用ビデオカメラ
- スマートフォン、インターネット関連サービス
- プロジェクターなどを含むディスプレイ製品、医療用機器
売上高は、前年同期比+195億円の5718億円と増収となった。スマートフォンおよびテレビの売上は減少したが、デジタルカメラの販売好調と円安が寄与した。
セグメント利益は、前年同期比+21億円の556億円と増益であった。テレビにおけるオペレーションコスト(物流費・人件費など)の削減による影響が大きかった。
ソニーグループのイメージング&センシング・ソリューション事業
当事業は、ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社(SSS)が行う。
各種イメージセンサー(具体例:CMOSイメージセンサー)などの半導体を扱う。
売上高は、前年同期比+549億円の2927億円と増収となった。モバイル機器向けが好調であり、円安の影響もあった。
セグメント利益は、前年同期比▲90億円の127億円と減益であった。産業・社会インフラ向けが不調で、製造経費の増加などが影響した。
ソニーグループの金融事業
当事業は、ソニーフィナンシャルグループ株式会社(SFG)が行う。SFGは、ソニー生命・ソニー損保・ソニー銀行などを傘下に持つ金融持株会社である。
売上高は、前年同期比+4654億円の6814億円で大幅な増収となった。ソニー⽣命の大幅増収が寄与した。
セグメント利益は、前年同期比▲847億円の545億円と減益であった。前年同期にソニー⽣命で計上した利益の反動があった。