公的年金の積立金を運用するGPIFは、2022年度の運用実績が2兆9500億円余りの黒字になったと発表しました。
現役世代の人口減少が止まらない現状で、将来受け取れる年金額が減少するだろうと悲観している人も多いでしょう。
では、現行の制度で共働き世帯の場合、厚生年金で月額28万円を受け取れるのでしょうか。
今回は、共働き世帯の年金受給額の実態と受給額を確認できる方法を解説します。
1. 厚生年金と国民年金の平均受給額
厚生労働省が2022年12月に発表した「厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2021年度の厚生年金は平均で14万5665円でした(国民年金を含む)。
1人あたりの金額の平均額なので、仮に夫婦共働きで正社員として勤めあげた場合、年金額は月額28万円になる可能性があります。
ただし、男女差があるので、注意が必要です。
男性の平均が16万3380円に対して、女性は10万4686円でした。
男女別の平均額をあてはめた場合、夫婦で月額28万円を下回っています。
では、仮に夫婦で28万円の厚生年金を受給する場合、年収として必要な金額はいくらなのか確認してみましょう。
2. 月額28万円の年金を受け取るための年収はいくら?
まず、厚生年金で28万円を受け取る場合、1階部分にあたる「国民年金」の受給額を差し引きましょう。
2023年度における国民年金の支給額は、満額で6万6250円です(67歳以下の場合)。
そのため、夫婦2人が厚生年金で約8万円受け取ると、合計で28万円の年金額に到達する計算となります。
では、厚生年金を毎月8万円受け取る場合に必要な年収を確認しましょう。
厚生年金は「標準報酬月額」と、厚生年金の「加入期間」で決まります。
年金額は、次の方法で計算できます。
- 厚生年金期間の平均標準報酬月額×厚生年金期間月数×0.005481
仮に、厚生年金の加入期間が40年間の場合、厚生年金を月8万円(年間で96万円)受け取るために、必要な年収を計算してみましょう。
- 年間の厚生年金額(96万円)=年収÷12×480ヵ月×0.005481
平均年収=約438万円
厚生年金を月8万円受け取るためには、40年間を通した年収平均で約438万円が必要になります。