1.1 60歳から65歳未満の人が受け取れる高年齢雇用継続給付

60歳以降の給与が60歳時点の収入から75%未満に下がった人は、高年齢雇用継続給付を受けられる場合があります。高年齢雇用継続給付には、以下の2種類があります。

  • 高年齢再就職給付金:失業保険の基本手当を受給し、60歳以降に再就職した人が対象
  • 高年齢雇用継続基本給付金:同じ勤務先で働き続ける人が対象

いずれの場合も、雇用保険の被保険者であった期間が5年以上あることが受給の条件です。

2. 60歳以降に厚生年金に加入すると年金はいくら増えるか

60歳以降に働く場合に、厚生年金に加入すると給与と加入月数に応じて年金額が増えます。増加する金額(年額)は、以下の計算式で求めます。

平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以降の加入月数

標準報酬月額とは社会保険料を計算するときに基準となる金額のことで、月給に近い金額です。平均標準報酬月額は、加入期間中の標準報酬月額の平均です。

たとえば、標準報酬月額が10万円の人が5年間厚生年金に加入した場合に増加する年金額(年額)は3万2886円で、月額にすると2740円です。月額にするとわずかなようでも、20年受け取れば約66万円、30年なら約100万円も多く受け取れます。

以下の表は、厚生年金加入年数と標準報酬月額ごとに増加する年金の年額をまとめたものです。

出所:日本年金機構「報酬比例部分」をもとに筆者作成

2.1 在職定時改定により退職前に年金が増えるように

2022年4月から、65歳以降に厚生年金を受け取りながら保険料を支払う人に、「在職定時改定」という制度が導入されました。

在職定時改定とは、厚生年金を受け取りながら保険料を支払う人が、支払った保険料をもとに定期的に年金額を計算し直して支給される仕組みです。

以前は退職後、もしくは70歳以後に受け取る年金額に65歳以降に納めた保険料が反映されていました。在職定時改定により働いている間に受け取る年金が増えるようになりました。