●初期費用の値引き交渉
賃貸マンションを契約する際に、最初にかかる費用のことを「初期費用」と呼びます。
この初期費用にも、値引きできる項目がいくつか存在しています。
賃貸マンションの契約時に係る初期費用の内訳と、値引き交渉ができる可能性があるのは【図表1】の通りです。
敷金は、借主の滞納家賃や退去時の原状回復費用に充てるための預かり金です。
入居時に値下げできたとしても、退去時に修繕費用を支払う必要があるため値下げするメリットはあまりありません。
一方で礼金は、貸主への謝礼金という性質をもっています。そのため、交渉次第では値引きできる可能性が高いでしょう。
さらに、前家賃や日割り家賃に関しては十分値下げ交渉ができる項目といえます。
例えば、1ヶ月フリーレント(1ヶ月分の家賃を無料にする)の交渉に成功すれば、初期費用を抑えることが可能です。
そして、仲介手数料も値引き交渉がしやすい項目の一つです。
どうしても賃貸マンションの予算がオーバーする場合は、仲介手数料の値引き交渉が可能かどうかを、不動産会社に相談してみましょう。
一方で、火災保険費用や保証会社への費用は値引き交渉がしにくい項目になります。
なぜなら、火災保険費用や保証会社への費用は、物件の築年数や構造、契約プランによって価格があらかじめ決定しているからです。
このように、初期費用の中で「値引きしやすい項目」と「値引きしにくい項目」があるため覚えておきましょう。
賃貸の疑問2. 賃貸マンションの原状回復はどこまで必要?
賃貸マンションを退去する際に「どこまで原状回復する必要があるのか知りたい」と思った方も多いでしょう。
ここでは、経年劣化と原状回復の違いについて解説します。
さらに、退去時に原状回復が必要になる「3つのケース」を紹介しますので、しっかり理解するようにしましょう。
●経年劣化と原状回復の違い
経年劣化と原状回復にはどのような違いがあるのでしょうか。
【経年劣化は貸主負担】
経年劣化とは、時が経つにつれて物の品質が落ちていくことです。
例えば、賃貸マンションの場合では、次のようなものが経年劣化に該当します。
- 壁紙や床が太陽光で色褪せる
- 畳やふすまが変色する
- 家具や家電を置いていた場所の床に傷がつく
普通に生活していてつく傷や汚れは、経年劣化や通常損耗に該当するため、基本的に貸主が修繕義務を負います。
【原状回復は借主負担】
基本的に借主負担となる原状回復は、国土交通省が発表するガイドラインで次のように定められています。
「貸借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、貸借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による消耗・毀損を復旧すること」
つまり、わざと物を壊したり不注意により壊したりする行為は「借主の責任」とみなされるため、借主が修繕負担を負うのが一般的です。
次項では、原状回復にあたる主なケースを3つ紹介します。