2023年7月5日に発表された、株式会社ブリーチ事業計画及び成長可能性に関する事項の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社ブリーチ 代表取締役社長 大平啓介 氏
株式会社ブリーチ 取締役CFO 松本卓也 氏

目次

大平啓介氏(以下、大平):本日はありがとうございます。株式会社ブリーチにて代表の大平と申します。よろしくお願いいたします。それでは、さっそく始めさせていただきます。

スライドは目次になります。このような流れでご説明いたします。

会社概要

会社概要についてご説明いたします。当社は「世界を照らす。」という経営理念を掲げています。当社サービスにより、まだ照らされていない商品やサービスに光をあて、輝かせていくことを目指します。

沿革

次に、沿革です。2007年に私が個人事業としてインターネット販促支援事業をスタートし、2010年に法人化しました。その後、2016年に現在の主要事業であるシェアリング型統合マーケティング事業を開始し、急成長を遂げています。

昨年は、日本最大規模のユーザー数を誇る広告媒体である、LINEから「GOLDパートナー」を、Yahoo! JAPANから星4つの認定をいただくなど、大手広告媒体とも強固な関係を築くまでに事業を拡大させてきました。

事業概要

事業概要についてご説明いたします。詳細は後ほどご説明しますが、当社はマーケティング業界において、独自の、革新的なビジネスモデルを有しています。また、お客さまの売上高を大きく伸ばしていく、高いマーケティング力を持っていることから、“マーケティング・イノベーター”であると自負しています。

さらに、当社は、独自のビジネスモデルにより、競争が少ないブルー・オーシャン市場を開拓し、業界の市場規模そのものを拡大させていると考えています。

At a Glance

当社のKPIはご覧のとおりです。当社は、売上高成長率70パーセント、営業利益成長率90パーセントなど、高成長を続けています。

2022年6月期の時点で、すでに売上高は146億円、営業利益は10億円を計上しています。これは、当社の収益の柱である、「コア商材」を着実に増やしてきた結果によるものです。なお、2023年6月期は、売上高159億円、営業利益は20.4億円と予想しています。

また、当社は、2022年6月期のマーケター1人当たりの年間売上高は3.2億円と、非常に高い生産性を誇っています。

経営陣

当社の経営陣についてご紹介させていただきます。15年以上デジタルマーケティングに従事している私、大平を中心に、各分野の専門知識とビジネス経験豊富な経営陣が揃っています。

当社ビジネスモデルの特徴

「当社のビジネスモデル」についてご説明いたします。

従来のマーケティング支援会社は、予算型と呼ばれ、初めから多額の予算を確保、確定する必要があります。そのため、特に中堅中小企業など、予算に余裕がない企業は、十分なマーケティング支援を受けにくいことがありました。

また、予算型の場合、マーケティング支援を発注後、その成果が期待どおりに出なかった場合に、お客さまは期待した収益が出ないことがあります。なぜなら、予算型の場合、成果に関わらず、事前に決められた予算報酬を支払わなくてはいけないからです。

私は、2016年頃、お客さまに一層寄り添ったサービスを提供したいと考え、現在の主要事業である、シェアリング型統合マーケティング事業をスタートしました。

当社の場合、レベニューシェア型の報酬体系を採用しているため、お客さまは事前に予算を確保する必要はなく、初期費用も一切払う必要はありません。当社への報酬は、当社の支援によって新規購入ユーザーを獲得した場合など、実際にマーケティング効果が出た後に、効果が出た分のみをお支払いいただければよい、という契約にさせていただいています。

また、お客さまは、CPA(Cost per Acquisition)と呼ばれる、1新規ユーザー当たりの獲得コストをあらかじめ確定できるため、損益を見通しやすくなります。その結果、より幅広いお客さまが、安心して当社に支援をご依頼いただけるようになりました。

当社サービスの流れと報酬体系

「当社のサービスの流れと報酬体系」についてご説明いたします。当社は、初期費用は一切いただかず、まずはお客さまの商品のマーケティング戦略についてアドバイスをさせていただきます。

そして、Yahoo! やLINEなどの大手広告媒体において、当社の費用負担にて、実際にマーケティング施策を実行していきます。一連のマーケティング施策は、外部には頼らず、すべてインハウスで完結しています。そして、新規購入ユーザーの獲得など、実際のマーケティング効果が出た後に、当社がレベニューシェアをいただく、という流れになります。

レベニューシェア型の場合、お客さまの売上が増えるほど、当社も売上を増やすことができるため、当社とお客さまはWin-Winの関係を築くことができています。例えば、昨年度は1年間で120万人以上という、大量の新規購入ユーザーを獲得することに貢献するなど、圧倒的なマーケティング力を発揮しています。

当社の収益モデル

当社の収益モデルについてご説明いたします。当社がお客さまからいただくレベニューシェア額は、あらかじめお客さまと合意したレベニューシェア単価に、当社が実際に獲得した新規購入ユーザー数を掛け合わせて算出されます。

また、当社の収益モデルは、当社が広告投資を行い、お客さまからいただくレベニューシェアによって、広告投資を回収するモデルとなっています。

そのため、当社がお客さまから受領するレベニューシェア額から、当社の広告投資額を差し引いた金額を広告利益と呼んでおり、この広告利益を最大化することが、当社の利益成長のために重要です。

また、ROASという収益指標を管理しています。ROASとは、Return On Advertising Spendのことで、当社がお客さまからいただくレベニューシェア額を、当社の広告投資額で割ることで計算され、いわば投資の効率性を図る指標です。このROASが一定以上の水準となるよう、徹底して管理することで、高い収益性を維持しています。

主な顧客企業とターゲット市場

当社の主な顧客企業とターゲット市場についてご説明いたします。スライドのグラフは、顧客企業を売上高の順に並べたものです。予算型のマーケティング支援会社は、大企業から大型のマーケティング予算を獲得するための営業に注力し、競争を繰り広げていると理解しています。

一方、当社は、レベニューシェア型のビジネスモデルであるため、当社にマーケティング支援をご依頼いただく上でのハードルは、非常に低いと考えています。

そして、当社は中堅中小企業を含むあらゆるお客さまをご支援させていただくことが可能です。理由は、お客さまの現在の売上高が小さくても、当社のマーケティング力によりお客さまの売上高を増やせば、当社にお支払いいただけるレベニューシェア額も増やすことができるからです。

このような独自のビジネスモデルにより、競争の少ないブルー・オーシャン市場を開拓し、マーケティング支援業界における市場規模そのものを拡大させていると考えております。

当社が支援する商品・サービスと潜在的市場規模

当社が支援する商品と市場規模についてご説明いたします。当社は、化粧品、日用品、機能性表示食品などのネット販売や、店舗ビジネスの美容サロン、金融サービスなど、幅広いジャンルのお客さまに対して、マーケティング支援を行っています。

これらのジャンルだけでも、合計で5,600億円以上の大きな市場規模と多くのサブジャンルがあり、深堀りの余地が大きいです。

さらに、スライド右側に記載したように、さまざまな新規ジャンルにも展開していくことで、より大きな需要を取り込んでいこうと考えています。

当社が活用するマーケティング手法

「当社が活用するマーケティング手法」についてご説明いたします。主に、LINEさまやYahoo!さまなどの大手媒体を活用することで、大量の潜在顧客にアプローチする手法を採用しています。

当社のバリューチェーンと競争優位性

当社のバリューチェーンと競争優位性についてご説明いたします。当社は、スライドにあるバリューチェーンにより、お客さまの商材の売上拡大余地をしっかりと精査し、さまざまなマーケティング施策を実行していくことで、当社の収益の柱となる「コア商材」を、高い再現性をもって生み出しています。

この後、バリューチェーンにおける5つの競争優位性について、順を追って、詳しくご説明いたします。

①豊富な商材パイプライン

まず、競争優位性の1つ目、「豊富な商材パイプライン」についてご説明いたします。当社は、マーケティング支援業界の中でも独自性のある、レベニューシェア型の報酬体系を採用しており、圧倒的な売上グロース実績を持っています。

そのため、当社から営業する必要はなく、既存のお客さまとのネットワークや広告代理店などから、日々、多数のご依頼を受けています。当社は、そのようなご依頼の中から、ポテンシャルの高い商材のみを当社が選定させていただいた上で、ご支援をさせていただいております。

②データに基づく高精度の商材選定メカニズム

競争優位性の2つ目、「商材の選定メカニズム」についてご説明いたします。当社は、常時1,000件を超える豊富な商材パイプラインの中から、独自のノウハウに基づく市場調査や、蓄積したマーケティング関連データに基づき、売上の伸び余地が大きい商材をスクリーニングしていきます。

さらに、スクリーニングされた商材のうち毎月おおむね2商材から5商材を、それぞれ数十万円から100万円程度の費用をかけてテストマーケティングし、基準をクリアした商材のみを本格支援していきます。また、テストマーケティングを行い、基準に満たなかった商材については、支援をいたしません。

このように、当社が重視するのは、お客様の現在の売上や予算ではなく、あくまで商材自体が持つポテンシャルを精査していきます。

③高精度のマーケティング戦略の構築と実行

競争優位性の3つ目、「マーケティング戦略の構築」についてご説明いたします。当社は、レベニューシェア型のため、お客さまの売上グロースに強いインセンティブがあり、そのため、お客さまの売上グロースに全力でコミットすることができます。また、社内に蓄積した大量のデータにより、初めから精度の高いマーケティング戦略を構築することが可能です。

さらに、マーケティング支援機能、具体的にはマーケティング戦略構築、広告制作、広告運用などを内製化しております。デジタルマーケティングでは、たくさんのテストを行い、より効果の高いものを残していくことが重要です。

当社はこのようなPDCA(Plan Do Check Action)を高速かつ大量に繰り返していくことで、マーケティング効果を継続的に高めることができます。さらに、その結果として得られるデータやノウハウをすべて社内に蓄積しております。

④売上成長と損失回避を両立する広告投資体制

競争優位性の4つ目、「広告投資体制」についてご説明いたします。当社は、広告投資においてさまざまな指標をタイムリーに監視しており、徹底して損益を管理しています。

具体的には、ROASが高いなど伸び余地が大きい時に、当社の判断にて、広告投資額をダイナミックに増やすことで、お客さまの売上を短期間で大きく伸ばすことができます。逆に、ROASが低い局面では、当社の判断で広告投資額を抑制し、損失を回避することができ、ROASを一定以上に維持できる体制を構築しています。

このように、当社の判断で広告投資額を調整できることが、売上成長の機会をしっかりと捉えつつ、損失は回避できている要因の1つとなっています。

⑤当社の売上・利益を向上させる商材ポートフォリオマネジメント(1/2)

商材のポートフォリオマネジメントについてご説明いたします。先ほどのご説明のとおり、当社は、売上の伸び余地が大きい商材のみに絞って支援をしています。本格支援を開始した後においても、伸び余地が少なくなった商材については、当社の判断で、いつでも、支援を縮小または撤退することができます。

そして、縮小した商材から、売上の伸び余地が大きい商材へと、社内リソースをタイムリーに寄せていくことで、当社の利益の最大化を図っています。

⑤当社の売上・利益を向上させる商材ポートフォリオマネジメント(2/2)

社内リソースを寄せることで、「1つの広告媒体で売れている商品」と「効果の高い施策」の組み合わせ、いわゆる「勝ちパターン」を、他の広告媒体に複製し展開することができます。

ここまでご説明させていただいたとおり、当社は、売れる商材だけをチェリーピックし、さらに社内リソースを追加投入していくことで、売れるものをより大きく売っていく戦略、選択と集中を重視しています。

補足: 高い参入障壁を築く3つの要素

競争優位性に関連して、「参入障壁」について補足いたします。冒頭に説明させていただいたとおり、レベニューシェア型の報酬体系は、お客さまにとって非常に大きなメリットがある一方で、他社の新規参入は大変難しいと考えています。

理由は、レベニューシェア型にてマーケティング支援を行うには、再現性をもってコア商材を生み出していく必要があり、そのためには、これまでご説明した5つの競争優位性をまずは土台として確立させることが必要だからです。

また、精度の高い戦略を構築するためには、このレベニューシェア型での大量のマーケティングデータを蓄積している必要があり、その上で、レベニューシェア型でのマーケティング支援ができる、優秀なマーケター人材を多数揃える必要があると考えています。

コア商材数の推移

コア商材数の推移についてご説明いたします。当社では、当社の収益の柱となる商材、具体的には、月間のレベニューシェア額が1,000万円以上の商材を、「コア商材」と呼んでいます。

スライドに記載のとおり、コア商材数は、時間の経過とともに着実に積み上がってきています。2022年6月期は、株式会社アールさまという広告代理店経由でご支援させていただいたいくつもの商材について大ヒットに貢献させていただいたため、アールさま経由での売上比率が急増しました。

アールさまとの取引関係は現在も良好であるものの、売上が集中していたことが証券審査上の論点ともなりえたことから、これを解消すべく、2023年6月期の第2四半期より、新規顧客の新規商材へと、社内リソースを再配置しています。その結果、2023年6月期の第2四半期と第3四半期は売上高成長が一時的に減速しました。

しかしながら、第3四半期のAランク・Bランク商材9個のうち4個は、第2四半期以降に支援を開始した商材であり、新規顧客からの売上を急激に増やすことに成功しています。第3四半期である1月から3月は、予算型のマーケティング支援会社による予算消化が増加する季節性があり、広告単価が上がる傾向にあるため、売上が減速して見えますが、その後は、新規顧客のコア商材の売上が伸びることにより、再び成長を図ってまいります。

このように、リソースを再配分することで新規のお客さまからも売上をスピーディに増やし、短期間で収益化できることも、当社のビジネスモデルが従来のマーケティング支援会社とはまったく異なることの証明であると考えています。

Aランク商材の立ち上がり実績

コア商材のうち、月間平均レベニューシェア額が1億円以上の商材を「Aランク商材」と呼んでいます。当社は高いマーケティング力により、このAランク商材を継続的に創出しています。商材の立ち上げ期間は早ければ2週間から3週間程度であり、その後すぐに売上が発生します。

中には、当社が本格支援を開始してからわずか2ヶ月で、当社のレベニューシェア売上高が月間5億円、4ヶ月目に10億円を超えるといった商材事例もあります。

また、過去3年間における、Aランク、Bランクのコア商材の平均支援期間は、24ヶ月と長期にわたっています。つまり、一度Bランク以上になると、ロングセラーとして維持しやすいことも特徴です。

成長戦略 –バリューチェーンの拡張と強化

次に、成長戦略についてご説明いたします。こちらのスライドが、当社の成長戦略のアウトラインになります。ポイントとしては3点で、支援可能な商材数の拡大、コア商材になる確率の向上、1商材あたりの平均売上高の向上を重点的に強化しています。

①から④の成長戦略の具体な取り組み内容は、次のスライド以降で詳しくご説明します。

成長戦略 ①人材採用・育成の強化(1/2)

成長戦略のうち、まずは「人材採用・育成の強化」についてご説明いたします。当社は独自のビジネスモデルを持っているため、他のマーケティング支援会社とは異なるマーケティングスキルが必要になります。

そのため、当社ではあえて、未経験者を中心とした採用を行っており、マーケターの9割がマーケティング職未経験で入社しています。

したがって、採用市場の特定の人材を奪い合うといった構図にはなっておらず、人材採用はボトルネックにはなっていません。2023年4月には17名の新卒社員が入社しました。今後も人材採用を強化し、安定的に社内リソースを拡大していきます。

成長戦略 ①人材採用・育成の強化(2/2)

未経験者を中心に、採用後、当社独自のマーケター育成プログラムによって、未経験者を早期に戦力化させています。また、マーケティングのPDCAデータを社内で徹底的に共有することで、特定のハイパフォーマーに依存することなく、再現性、安定性のある組織の拡大を図っています。

その結果、平均年齢は27歳あまりの若い組織でありながら、2022年6月期にはマーケター1人当たり売上高は3.2億円と、非常に高い生産性を現状でも実現しており、これをさらに加速させていきます。

成長戦略 ②商材パイプラインの拡充、コンサルティング領域の拡大

「商材パイプラインの拡充・コンサルティング領域の拡大」についてご説明いたします。化粧品、日用品、機能性表示食品などの既存のジャンルについても、十分な市場規模とサブジャンルがあり、掘り下げの余地は無数にあります。

さらに追加で、店舗ビジネスの美容サロンや金融サービス、人材、不動産、通信など、幅広い新規ジャンルに支援の領域を拡大し、より多くの広告利益を得られる商材パイプラインを増やしていきます。また、当社は、顧客の購買ページや商品企画などにも、コンサルティング領域を拡大していきます。

このような施策により、コア商材になる確率を向上させるとともに、1商材当たりの売上高を拡大していきます。

成長戦略 ③マーケティング手法の拡大

「マーケティング手法の拡大」についてご説明いたします。近年拡大している動画広告市場には、当社も以前から着目しており、動画広告の活用を進めています。高速PDCAなどの当社の強みは動画にも活かすことができ、すでに豊富な実績を持っています。

また、利用する広告媒体の種類も増やすことで、1商材当たりの売上をより拡大させるとともに、幅広い商材を支援することができるようにしていきたいと考えています。

成長戦略 ④AI・ITシステムとデータの活用

最後に、「AI・ITシステムとデータの活用」についてご説明いたします。LTV測定ツールやECカート・チャットボットの導入により、さらにデータを活用し、マーケティング力を高めていきます。

また、広告投資における自動トレーディングツールや、クリエイティブを自動で生成するAIシステムなどをさらに活用していくことで、業務効率化を図っていきます。

成長戦略と将来成長イメージ

あらためてになりますが、これまでご説明した施策を実行することにより、コア商材数と1商材当たりの売上高をさらに増やしていきます。それにより、1人当たり売上高も拡大することで、これまでどおりの高い成長を実現していきたいと考えています。

続いて、財務情報については、CFOの松本からご説明させていただきます。

売上高、営業利益の推移

松本卓也氏:私から、売上高と営業利益の推移についてご説明いたします。当社は、これまでご説明した強みを活かし、スライドに記載のとおり、業績を急拡大しています。

特に、営業利益CAGRは90.2パーセント、前期の営業利益は10億円を達成しました。今期は第3四半期時点で、すでに営業利益は17億円を計上しています。

なお、2023年6月期は、売上高159億円、営業利益20.4億円と予想しています。

収益構造

続いて、収益構造についてご説明いたします。当社の費用項目のうち、多くを占めるのは、売上原価の中に含まれる広告宣伝費です。これは、広告媒体に広告出稿するための費用になります。当社は、先ほど大平からご説明した、ROAS(Return On Advertising Spend、レベニューシェア額÷広告投資額)を徹底的に管理した広告運用体制を構築することで、売上総利益率を維持しています。

ただし、2022年6月期については、リスティング広告(検索連動型広告)によるマーケティング手法の導入のため、先行投資を行ったことから、ROASが下落しました。しかし、2023年6月期に入り、リスティング広告によるマーケティングが黒字化しています。さらに、2023年6月期は、従来の手法についても、広告投資体制についても効率化を行ったことで、ROASが向上し、売上総利益率が大幅に増加しました。

高いROASを求めすぎると機会損失が発生し、広告利益の絶対額を増やしにくいことがありますので、ROASについては、今後も130パーセントを目安に運営していこうと考えています。

売上原価の中の広告宣伝費以外の費用項目については、ほとんどが固定費ですが、その比率は比較的小さいため、損益分岐点が低く、収益性を確保しやすいビジネスモデルであることも当社の特徴です。

また、当社は、今後のさらなる成長に向けて、人材投資やITシステム投資などを行っていきますが、利益やキャッシュを生み出すまでの期間は短く、高成長と高収益を両立できるビジネスモデルであると考えています。

大平氏からのご挨拶

大平:あらためて、当社の魅力をまとめます。まず、独自のビジネスモデルにより、競争の少ないブルー・オーシャン市場を開拓していることが挙げられます。また、今後も高い成長性が見込まれることに加え、5つの競争優位性などによる高い参入障壁があること、これらが当社の魅力として挙げられます。

今後も、独自のビジネスモデルによって、中堅中小企業を含む、あらゆるお客さまをご支援させていただくことで、マーケティング業界の深刻な課題を解決し、「良いものが一瞬で、世界へ広がる社会」を作り上げていきたいと強く考えています。

以上でご説明を終了します。ありがとうございました。

質疑応答

続いて、質疑応答に移らせていただきます。

質問: 貴社サービスの強み、お客さまにとっての付加価値を最も端的に説明すると、何でしょうか?

回答: CPA(ユーザー当たりの獲得コスト)を確定させながら、たくさんの新規ユーザーを獲得できることです。当社はレベニューシェア型の報酬を採用しているため、お客さまは事前にCPAを確定することができます。

さらに、当社がリスクを取って広告投資を行っていくことで、お客さまはリスクなく新規ユーザーを大量に獲得することができます。このような顧客本位のサービスをご提供させていただいていることが、お客さまに強く支持されていると考えております。

質問: レベニューシェア額(=貴社の売上高)は、レベニューシェア単価×新規ユーザー獲得数にて算定されるとのことでしたが、レベニューシェア単価はどのように決まりますか? また新規ユーザー獲得数は、どのように計測するのでしょうか?

回答: レベニューシェア単価は、まずお客さま側のほうで収益計画に基づいて当社にどのくらいのレベニューシェア単価を払ってもよいか検討いただき、ご提示いただくことが多いです。

それを受けて、当社にて、そのレベニューシェア単価でROASや広告利益を確保できるかを当社が持つ過去データ等を踏まえて検討し、お客さまと協議させていただいた上で単価を決めさせていただいております。

また、新規ユーザー獲得数については、当社が配信する広告経由で購買に至ったユーザー数をシステム上計測できるようになっております。

質問: 貴社がマーケティング支援をする上で、顧客とはどのような形態の契約を締結しているのでしょうか? 支援期間や獲得ユーザー数に何らかのコミットメントはあるのでしょうか?

回答: お客さまとは取引基本契約(自動更新)を締結させていただき、商材の支援ごとに個別契約を締結させていただくことが多いです。最低支援期間や最低獲得ユーザー数のようなものは基本的にございません。ただし、一定以上のユーザー数を獲得した場合にはレベニューシェア単価を引き上げることをあらかじめお客さまと合意させていただくことはございます。

質問: 他にも成果型やKPI保証型にてマーケティング支援を行っている会社があると思いますが、それらと貴社の違いは何でしょうか?

回答: 当社は、レベニューシェア型報酬のみであり、初期費用やコンサル費用は一切受領しておりません。また、当社はマーケティング支援機能(マーケティング戦略の構築、広告制作、広告運用)を内製化しており、当社起点でお客さまの売上グロース、新規ユーザーの獲得をご支援させていただいていることが特徴です。

そのため、いわゆるASP(アフィリエイトサービスプロバイダー)のように、広告主さまとアフェリエイターを仲介するサービスとは役割や機能が異なっております。

質問: 支援している商材のジャンルの内訳はどのようになっていますか?

回答: 時期により異なりますが、直近では、化粧品、日用品、機能性表示食品のインターネット通販に関するご支援が当社売上高の8割程度を占めています。内訳はそれぞれが2割から3割です。また、美容サロンや金融ジャンルがそれぞれ1割程度となっています。

質問: 現在、何社くらいの顧客を抱えていますか? また、どのような会社が多いのでしょうか?

回答:2023年3月末時点で、131社と契約を締結させていただいております。お客さまの属性は化粧品や日用品、食品などのメーカーさま、広告代理店様などさまざまであり、事業規模についても大手企業から中堅中小企業までさまざまです。

質問: 顧客の新規開拓はどのように行っているのでしょうか。

回答: 基本的に既存のお客さま、広告代理店さまなどからの多数のお客さまや支援対象となる商品やサービスをご紹介いただけておりますので、基本的にその中からご支援させていただく商品やサービスを当社にて選ばせていただいております。

質問: 特定の販売先への売上比率が高まった理由と、今後の見通しについて教えてください。

回答: 当社は広告代理店である株式会社アールさまを通じて、多数の商品の支援をさせていただいております。アールさまは、大手の食品メーカーさま、化粧品・日用品メーカーさまを含む多数の企業を顧客として抱えていらっしゃる広告代理店です。

当社はレベニューシェア型の報酬体系を採用しているためアップサイドが大きいビジネスモデルとなりますが、当社がアールさまからご紹介いただいたいくつもの商品の大ヒットにご協力させていただいたことで、結果としてアールさま経由でのお取引金額が大きくなりました。

特定販売先に売上が集中することが証券審査上の論点ともなりえたため、2023年6月期第2四半期から商材のポートフォリオを大きく転換し、他のお客さまの商品の支援を増やすことで、売上の集中を大幅に軽減しています。

今度もアールさまとのお取引は強化してまいりますが、それとともに他のお客さまの商品の支援にも注力して参ります。

質問: 貴社事業に季節性はありますか?

回答: 例年1月から3月は、他のマーケティング支援会社による広告出稿が増える時期であり、インターネット広告の広告単価が上がる傾向にあります。そのため、当社にとっては、第3四半期は業績成長が弱まる傾向にあります。

質問: コロナ禍による巣ごもり需要、コロナ明けによるネット通販の需要減少といった影響はありましたか?

回答: 当社は、このようなマクロ環境の影響を感じたことはほとんどありません。それよりも、お客さまの商品やサービスの魅力をしっかりと伝えられるマーケティング戦略や、効率的な広告投資体制の運営といった、当社内での施策の方が業績への貢献は大きいと考えています。

質問: 景気後退時には、お客さまからの依頼や予算が減るなど、広告業界特有の影響は想定されますか?

回答: 当社はレベニューシェア型の報酬体系のため、お客さまから事前に予算をいただく必要はありません。また、当社の場合、お客さまはあらかじめCPA(Cost per Acquisition)を確定できます。つまり、お客さまは、そのCPAであればお客さま自身が利益を確保できるかどうかを見通ししやすくなっています。

景気後退時こそ、マーケティングの費用対効果について見直しがされやすく、当社のサービスをより活用いただきやすくなると考えています。

質問: お客さまが広告予算を減少させた場合、貴社の業績には影響があるのでしょうか?

回答: 当社はレベニューシェア型の報酬体系を採用しているため、お客さまには広告予算を確保いただく必要はございません。お客さまの予算にかかわらず、当社がお客さまのためにしっかりと新規購入ユーザーを獲得していけば、お客さまも売上高を伸ばすことができますし、当社としてもより多くのレベニューシェアをいただくことができます。

お客さまが限られた予算の中でマーケティング効果を高めていかなければならない局面では、当社サービスへのニーズがむしろ増えると考えております。

質問: 貴社の広告審査体制について教えてください。

回答: 当社は、当社が配信する広告について、社内担当者のチェックに加えて外部の弁護士や専門機関のレビューも受けることで、広告関連法令の遵守等を配信前にしっかりと確認する体制を構築しております。

質問: 貴社のKPI、成長ドライバーは何でしょうか?

回答: コア商材数と商材別平均売上高です。コア商材とは、当社の収益の柱となる商材のことで、具体的には当社の月間レベニューシェア額が1,000万円以上の商材をいいます。これらをしっかりと増やして商材ポートフォリオを作っていくとともに、商材別売上高も増やしていくことで、継続的に成長していきます。また、収益性指標として、ROASや広告利益額も重視しています。

質問: 今後それらをどのように伸ばしていく計画ですか?

回答: 当社のバリューチェーンを強化していくべく、まずは人材の採用と育成を強化していきます。お客さまからのご支援の依頼は多数あるものの、それらの一部にしかお応えできていません。マーケターを中心に社内リソースを増やしていくことで、より多くのお客さまや商材をご支援していきたいと考えています。

また、マーケターの生産性を高め、当社のマーケティング力をさらに高めていくべく、ITシステムやAIツールの導入も行っていきます。

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