年金だけで生活は難しいとは言われるものの、年金の受給額はひとそれぞれです。
会社員か自営業かという働き方の違いや、年金制度への加入期間、または厚生年金加入期間の収入によっても年金の受給額は変わります。
政府の家計調査によると、老後一人暮らしの生活費は約15万円かかるとありますが、年金受給額が25万円あれば年金受給額だけで生活費をまかなう設計を立てることができます。
毎月25万円の年金がもらえれば老後の生活も心強く感じますよね。
今回は、現在の年金受給者のなかで厚生年金受給額が25万円あるひとがどれほどいるかを見ていきたいと思います。また25万円以上の厚生年金を受給する人の現役時代の年収はいくらなのか、さらに収めた保険料はどれほどなのかもみていきます。
1. 厚生年金「月額25万円以上」の人の割合は?
令和4年12月に厚生労働省年金局が発表した「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、25万円以上の厚生年金を受給している人の割合は全体の1.65%でした。
男女別にみると男性で2.43%、女性では0.08%です。
厚生年金受給額の平均は全体で14万3695円です。平均受給額より10万円以上多い、25万円以上を厚生年金(※)で受け取っているひとは一握りだということがわかります。
※厚生年金受給額は国民基礎年金額を含みます。
2. 【厚生年金】年金受給額と保険料納付額とは
厚生年金の受給額はどのように決まるのでしょうか。また納付する保険料とはどう関係するのでしょうか。
国民年金の場合、加入するすべての人の納付保険料は同じ額で、給付額は給付月数に応じて決まります。
これに対して厚生年金の受給額は、納付月数と加入期間の収入に応じて変わります。
納付する厚生年金保険料も、収入に応じて変わります。収入が多い人は納める保険料が高くなります(上限があります)。そして受け取る年金額も高くなるしくみです。
3. 【厚生年金】月額25万円以上を受給する人の年収は?
月に25万円以上の厚生年金をもらえる人とはどれほど稼いでいるのでしょうか。
厚生年金の受給額には国民年金の年金額も含まれています。令和4年度の国民年金の受給額は満額(480ヶ月保険料を納付した場合)で6万4816円です。25万円から国民年金受給額の満額を引くと18万5184円となり、年額では222万2208円です。
厚生年金を年に222万2208円以上貰える場合の収入はどれほどかを考えてみます。
対象となる人を
- 20~60歳までの40年間厚生年金に加入していた
- 厚生年金は報酬比例部分のみで試算する
とすると、
「平均標準報酬額×5.769÷1000×加入月数(480カ月)≧222万2208万円」
※今回は平成15年4月以降の加入期間の従前額保障で試算をおこないます。
という計算式ができます。
この式から割り出すと平均標準報酬額は80万2496円となります。
日本年金機構の「令和2年からの厚生年金保険料」の表をみると、標準報酬額の最高位のランクである32等級で65万円です。月65万円の給料を40年間貰い続ける必要があります。
さらに、平均標準報酬として割り出した80万2496円との差、月額15万2496円、年額で182万9952円を賞与で得ることができれば、月に25万円以上の厚生年金を受け取ることができる計算です(ただし、標準賞与額は支給1回(同じ月に2回以上支給されたときは合算)につき、150万円が上限となります)。
月の給与で65万円、年の賞与で183万円、合計で年間980万円以上の年収があることが25万円以上の厚生年金を受け取る年収となります。現代は保険料の上限も決まっていること、また新人のころから40年間続けて980万円の年収があると考えると、なかなか難しいといえるでしょう。
4. 厚生年金「月額25万円以上」の高額受給者の保険料はいくらか?
今度は厚生年金を月25万円以上受け取れるひとは、いったいいくら保険料を納付してきたのでしょうか。
こちらについても
- 20~60歳の40年間厚生年金に加入していた
- 40年間年収が960万円、月額にして80万円である
- 厚生年金保険料率は18.3%、事業者と折半で9.150%
とした場合、1カ月で年金保険料は5万9475円、1年で71万3700円、40年で2854万8000円となります。
一方の受け取る金額は月25万円、1年間で300万円です。10年受給することで3000万円受け取りますので、10年間受給すると払ってきた保険料を受給額が超えるという試算です。
ただし、保険料額は変わるため、上記はあくまで試算となります。
5. 厚生年金のまとめ
年金を月に25万円もらえるならば、老後の生活にとって心強いものとなるでしょう。しかし実際には月25万円の年金を受け取るには、年収960万円を40年間貰い続ける計算となり、そう簡単ではないことが分かりました。
一方納める保険料も40年間では大きな金額となりました。しかし、長生きすればするほど、納めた以上の金額を受け取ることができます。
人生100年時代となり、長生きリスクを考えれば、生きている限り受け取れる年金の重要性はいっそう高まっていくでしょう。一度自分が受け取る年金の予定額を確認してみることをおすすめします。
