2023年7月19日に発表された、日本エンタープライズ株式会社2023年5月期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:日本エンタープライズ株式会社 代表取締役社長 植田勝典 氏
日本エンタープライズ株式会社 常務取締役 管理本部長 田中勝 氏
日本エンタープライズ株式会社 常務取締役 技術本部長 杉山浩一 氏
2023年5月期決算説明
植田勝典氏(以下、植田):みなさま、こんにちは。日本エンタープライズ株式会社代表取締役の植田です。それでは、2023年5月期の決算説明を始めさせていただきます。
会社概要
会社概要についてです。証券コードは4829、社外を含めた取締役は5名です。
グループ会社
グループ会社は、連結子会社が8社、非連結子会社が1社、全体で9社になります。
沿革
沿革についてです。弊社は1997年に営業を開始してから、2001年に初上場し、現在は東京証券取引所のスタンダード市場に上場しています。
経営理念
経営理念はスライドのとおりです。21世紀を代表する会社になりたいという思いを持って、日々がんばっています。
ESG
ESGについてです。持続可能な社会実現と企業価値の向上を目指した取り組みをご説明します。まず、「環境」の企業活動における取り組みとしては、CO2排出量の削減やペーパーレス化、消費電力の削減を行っています。事業活動を通じた取り組みとしては、デジタル化支援サービス、再生可能エネルギー開発を行っており、水産物のECサービス、リサイクルの支援サービスなどに取り組んでいます。
「社会」に関しては、多様な人材の活躍に向けた取り組みとして、早朝勤務制度の導入やテレワーク体制の構築運用、ノー残業デーの設置、女性管理職の登用、人事評価・教育制度の整備などを行っています。また、社会貢献活動としては、品質向上や情報セキュリティ保持のための資格取得、そして創業以来、最終利益の1パーセント相当額を寄付金として積み立て、寄付を行っています。
「企業統治」においては、経営の透明性・公平性向上に向けた取り組みとして、すべてのステークホルダーへの的確な情報開示や、企業理念に基づく企業倫理の浸透とコンプライアンスの徹底を行っています。
経営環境
経営環境についてです。ご存じのように、サステナビリティの重要性を追い風に、脱炭素社会へ向けたDXが引き続き加速しています。高度なデジタル化・ネットワーク化により、モバイルコンテンツ関連市場も堅調に推移し、今後も拡大すると予想されています。
事業展開
私どもの事業領域についてご説明します。社会全体のデジタル化の推進や「ChatGPT」を含めたAIの進展に基づいて、我々が活躍する事業領域は、飛躍的・累乗的に広がっていると認識しています。そのような意味において、社会の役に立って活躍できる素地は広がっていると認識しています。
業績概況
田中勝氏:常務取締役の田中です。私からは、2023年5月期通期の業績についてご説明します。
まず、業績概況についてです。スライドに記載のとおり、増収増益となりました。詳細は次のページ以降でご説明しますが、先行して概況をお話しします。
売上高は、ビジネスサポートサービスやコンテンツサービス等のクリエーション事業が減少したものの、受託開発・業務支援サービス等のソリューション事業が増勢に推移したことにより、増収となりました。
営業利益は、売上高の増収、販管費の低減等により増益となりました。経常利益は、営業利益の増加等により増益となりました。
連結損益計算書(サマリー)
連結損益計算書についてご説明します。当期の売上高は42億1,000万円、前年度比プラス1億9,000万円、プラス4.7パーセントとなりました。営業利益は1億8,000万円、前年度比プラス7,700万円、プラス75.7パーセントとなりました。
また、経常利益は1億9,000万円、前年度比プラス3,600万円、プラス23.5パーセントとなりました。親会社株主に帰属する当期純利益は1億300万円、プラス3,100万円、プラス44.1パーセントとなりました。
活況なIT市場において増勢なソリューション事業が牽引し、売上が増収しました。原価・販管費ともに、コスト管理の徹底により増益となっています。
四半期業績推移
四半期業績の推移をご説明します。第4四半期の売上高は10億8,000万円です。第3四半期比プラス5,900万円、5.8パーセントの増収となりました。
内訳ですが、グラフの緑の部分がクリエーション事業で、4億2,300万円となりました。第3四半期比プラス4,200万円、11.3パーセントの増収となりました。
水色の部分はソリューション事業で、6億5,700万円となりました。第3四半期比プラス1,600万円、2.6パーセントの増収となりました。
オレンジ色の部分は経常利益で、5,800万円となりました。第3四半期比プラス3,300万円、134.8パーセントの増益となっています。なお、経常利益率は5.4パーセントで、第3四半期比3パーセント上昇しました。
クリエーション事業は、第3四半期に比べてコンテンツサービス・ビジネスサポートサービスともに増収し、ソリューション事業も各事業が増勢しました。また、経常利益は両セグメントの増収により増益となりました。
売上高(前年度比)
セグメント別の売上高をご説明します。クリエーション事業の売上高は16億3,500万円、前年度比マイナス1億9,500万円、マイナス10.7パーセントとなりました。
ソリューション事業の売上高は25億7,400万円、前年度比プラス3億8,500万円、プラス17.6パーセントとなりました。
クリエーション事業は、ビジネスサポートサービスとコンテンツサービスが減収し、ソリューション事業は、システム開発・運用サービスが大きく増収となりました。
なお、売上比率は、クリエーション事業が38.9パーセント、ソリューション事業が61.1パーセントです。前年度比でソリューション事業の売上比率が6.7パーセント増加しています。
クリエーション事業 売上高(前年度比)
セグメント別の詳細をご説明します。まず、クリエーション事業です。クリエーション事業の売上高は16億3,500万円、前年度比マイナス1億9,500万円、10.7パーセントの減収となりました。
内訳としては、コンテンツサービスが9億500万円、前年度比マイナス9,400万円、マイナス9.4パーセントとなりました。ビジネスサポートサービスは6億7,000万円、前年度比マイナス9,600万円、マイナス12.6パーセントとなりました。
また、その他は山口県宇部市で行っている太陽光発電事業です。売上高は5,900万円、前年度比マイナス400万円、マイナス7.4パーセントとなりました。
コンテンツサービスは、通信キャリア向け定額制コンテンツが増加した一方、月額コンテンツ等の減少により減収となりました。また、ビジネスサポートサービスは、キッティング支援等の減少により減収となっています。その他(太陽光発電)は、微減ながらも堅調に推移していると認識しています。
クリエーション事業 売上高(四半期推移)
クリエーション事業についてご説明します。クリエーション事業の第4四半期の売上高は4億2,300万円、第3四半期比プラス4,200万円、11.3パーセントの増収となりました。
内訳です。グラフの水色の部分のコンテンツサービスは2億2,700万円、第3四半期比プラス800万円、4.0パーセントの増収となりました。
グレーの部分のビジネスサポートサービスは1億8,000万円、第3四半期比プラス3,000万円、20.2パーセントの増収となりました。
赤い部分のその他(太陽光発電)は1,400万円、第3四半期比プラス300万円、33.2パーセントの増収となりました。
第4四半期は、コンテンツサービスの通信キャリア向け月額コンテンツが減少したものの、定額制コンテンツなどの増加により、第3四半期比4パーセントの増収となりました。また、ビジネスサポートサービスは、キッティング支援等の増加により、第3四半期比20.2パーセントの増収となっています。
ソリューション事業売上高 (前年度比)
ソリューション事業の売上高についてご説明します。当期のソリューション事業の売上高は25億7,400万円、プラス3億8,500万円、プラス17.6パーセントと大幅な増収となりました。
クリエーション事業で培ったノウハウを活かした法人向け「受託開発」、人手不足問題にマッチした「業務支援サービス」、中古端末買取販売などの「端末周辺サービス」等の増加により、プラス17.6パーセントの増収となっています。
ソリューション事業売上高 (四半期推移)
ソリューション事業の売上高の四半期推移です。第4四半期の売上高は6億5,700万円、第3四半期比プラス1,600万円、2.6パーセントの増収となりました。
システム開発・運用サービスは、企業のDXが推し進められるトレンドが継続する中、法人向け「受託開発」、中古端末買取販売などの「端末周辺サービス」の増加により、第3四半期比2.6パーセントの増収となりました。
売上原価(前年度比)
売上原価についてご説明します。当期の売上原価は25億1,600万円、プラス1億8,600万円、プラス8パーセントとなりました。売上原価率は59.8パーセントで、前年度比プラス1.8パーセントとなっています。
クリエーション事業に比べて薄利なソリューション事業ですが、売上比率は6.7パーセント増加しています。これは利益の圧迫要因となりますが、受託開発の採算性向上や中古端末買取販売の増収などによって、ソリューション事業の原価率は1.5パーセント低下しています。これが増益の一因になったものと考えています。
売上原価(四半期推移)
売上原価の四半期推移です。第4四半期の原価は6億5,000万円、第3四半期比プラス2,000万円、プラス3.2パーセントとなりました。原価率は60.2パーセントです。採算性の高い中古端末買取販売やキッティング支援の増収により、売上原価率は第3四半期比で1.5ポイント改善しています。
販売費及び一般管理費(前年度比)
販管費および一般管理費です。販管費は15億1,200万円、前年度比マイナス7,400万円、マイナス4.7パーセントとなっています。内訳としては、広告宣伝費で1億4,400万円、マイナス3,000万円、マイナス17.5パーセント、その他の販管費で13億6,800万円、マイナス4,300万円、マイナス3.1パーセントとなっています。
人件費、広告宣伝費等の減少により、販管費は7,400万円減少しました。また、売上高の増収により販管費率は3.6ポイント改善しました。
販売費及び一般管理費(四半期推移)
販管費および一般管理費の四半期推移です。販管費は3億7,200万円、第3四半期比プラス400万円、プラス1.4パーセントと増加しました。内訳としては、青い部分で示した広告宣伝費で2,900万円、第3四半期比マイナス300万円、マイナス11.1パーセント、オレンジで示したその他で3億4,300万円、第3四半期比プラス800万円、プラス2.6パーセントです。
販管費率は34.5パーセントとなりました。広告宣伝費等が減少したものの、業務支援サービスにおける人材採用費等の増加により、販管費は第3四半期比で400万円増加しました。一方で、販管費率は売上高の増収に伴い1.5ポイント改善しています。
クリエーション事業
杉山浩一氏:常務取締役の杉山です。セグメント別の事業概況をご説明します。当社のセグメントは、クリエーション事業とソリューション事業の2つに分かれています。
まず、クリエーション事業についてご説明します。クリエーション事業は、「コンテンツサービス」「ビジネスサポートサービス」「その他」の3つのジャンルがあります。
コンテンツサービスは、エンターテインメントとライフスタイルの2つのサービスを展開しています。それぞれの内容はスライドに記載のとおりですが、トピックについて後ほどご説明します。
クリエーション事業
ビジネスサポートサービスは、キッティング支援に始まり、交通情報、コミュニケーション、調達・観光・教育、「いなせり」というECサイトを展開しています。その他に関しては、太陽光発電となります。
クリエーション事業
クリエーション事業の売上高の内訳です。先ほど、クリエーション事業の売上高は16億3,500万円とお伝えしましたが、ここではコンテンツサービスとビジネスサポートサービスそれぞれの内訳についてご説明します。
コンテンツサービスの売上高の内訳は、ライフスタイルが4億1,300万円、エンターテインメントが4億9,200万円となっています。
また、ビジネスサポートサービスの売上高の内訳は、キッティング支援が2億2,200万円で、以下はそれぞれスライドに記載のとおりです。
クリエーション事業[コンテンツサービス]
コンテンツサービスについてご説明します。コンテンツサービスは、主に我々日本エンタープライズが担当し、エンターテインメントとライフスタイルのサービスを展開しています。ゲームや交通情報、健康サポート、優待割引、電子書籍などのコンテンツを提供しています。
コンテンツサービスでは、過去から継続している我々の「基盤」と、大きく育てていこうとしている「グロース」、新しい取り組みである「新規」に分類して、コンテンツサービスの創出、拡充等を実施しています。
スライドの左側に、「性別」「専門性」「プラットフォーム」「年齢」とありますが、このようなターゲットを見直して、さらにニーズを掘り起こし、自社IPを活用したコンテンツサービスを創出しています。もしくは既存サービスを切り直して、再度それぞれのターゲットにも展開しています。また、基盤コンテンツについては、さらに安定的に運用していくことで、売上をどんどん上げていくという施策で進めています。
スライドの一番下に「新規及びグロースコンテンツを創出し積み上げによる安定運用で事業を拡大」と記載しています。新規コンテンツがすぐに売上に結びつかなかったり、グロースさせようと思っていたコンテンツがすぐにグロースできなかったりしますので、複数の方向性を持って事業を推進し、どんどん基盤へ積み上げていく方針です。
クリエーション事業[ビジネスサポートサービス]
ビジネスサポートサービスのキッティング支援です。過去からRPAツールを使ったキッティング支援を長らく続けてきました。今までは、一部の限られた販売代理店や通信キャリアへのツールの販売、一部作業の支援というかたちで営業を展開していましたが、今ではITサポート企業や物流企業への提供もスタートさせ、営業の範囲を広げています。
さらに、我々のツールを用いて、作業の一部支援・請負なども展開させています。これによりサービスをどんどん拡充し、既存顧客の深耕と新規顧客の開拓を行い、事業を拡大していきます。
クリエーション事業[ビジネスサポートサービス]
ビジネスサポートサービスの交通情報です。こちらは当初、一般コンシューマー向けにサービス展開していたコンテンツです。今ももちろん展開していますが、特にここ最近では、企業からの要望が多くあります。
昨今の災害等のこともあり、災害対策向けに音声案内を強化するTV局やFM局、サイネージによる渋滞および混雑を可視化し販売促進を図る商業施設やスポーツ施設等々が増え、今期はそのようなところへの提供が活発になりました。
この災害対策や販売促進、業務効率化に向けて位置情報を活用し、各業界への営業を強化しています。
クリエーション事業[ビジネスサポートサービス]
ビジネスサポートサービスのコミュニケーションです。NTT東日本、NTT西日本、NTTコミュニケーションズなど7つの主要通信事業者に対応し高品質な通話を実現している「IP-PBX」の提供を進めています。
「IP-PBX」は、単なる通信や電話の機能に留まらず、ここから派生するさまざまなアプリケーションへの連携を推進しています。インターネットの回線を利用し、メッセンジャーやロボットのコールセンター、テレワーク等々への支援など、アプリケーションとの連携を行い、「IP-PBX」を普及させていく方向性で事業を推進しています。
既存のパートナー企業との連携強化やサービスの拡充、さらに新規パートナー企業への提供も増やし、事業を拡大していきたいと考えています。
ソリューション事業
ソリューション事業です。システム開発・運用サービスを展開しており、受託開発、業務支援サービス、端末周辺サービス他の分野で事業を推進しています。
ソリューション事業
システム開発・運用サービスの売上高の内訳です。ほぼ4分の3が受託開発で、以降は業務支援サービス、端末周辺サービスと続いています。
ソリューション事業 [受託開発]
受託開発についてご説明します。受託開発は、今までご説明した自社コンテンツの開発運用で培ったノウハウを活かし、法人のお客さまのITに関する課題解決をサポートするサービスです。コンサルティングから企画・開発・運用まで提供しています。
さらに、いろいろな困りごとに対するサポートや、どれだけの効果があり、改善の余地があるかどうかという効果測定を、ワンストップサービスで行っています。
この部分は常に複数の案件が並行して走っており、運用するサービスも含め積み上げ式で事業を拡大しています。技術力・サービス力をさらに向上させ、新規案件の獲得と既存顧客の深耕を推進していきたいと考えています。
ソリューション事業 [業務支援サービス]
業務支援サービスは、大手通信キャリアをはじめとした各種企業に対し、高度人材により上流工程の業務を常駐型で支援するサービスです。高度人材によるチームを編成するとともに、チーム間、拠点間の連携を図ることに力を入れ、より高品質なサービスを提供する先端プロジェクトを含め、支援を拡大しています。
業務支援の内容は、営業支援と技術支援の2つです。営業支援はマーケティング、戦略立案、新規顧客開拓等、上流工程の営業支援を行っています。また、技術支援は要件定義、設計、プロジェクトマネジメントといった、技術支援の中でも上流工程の業務を支援し、お客さまのニーズにお応えしています。人への投資を強化し、全国各地でサービスを拡大しています。
ソリューション事業 [端末周辺サービス 他]
端末周辺サービスです。企業で不要になった端末を資産化する中古端末買取販売サービスや、SIAAの認証を取得した抗菌・抗ウイルスのガラスコーティング剤の販売、業務拡大ツールを提供しています。
現状は、各法人・一般消費者への直接提供ではなく、主要代理店を介してそれぞれのサービスを展開しています。
法人からの不要端末の資産化に関しては、ファシリティサービス企業を主要代理店として、我々が端末の買い取りや販売サービスを行っています。また、ガラスコーティング剤については、携帯ショップの運営企業を主要代理店として、一般消費者へお届けするサービスです。
既存代理店との連携強化および新規代理店の開拓を進め、効率的に事業を拡大していきたいと考えています。
連結業績予想
植田:最後に連結業績予想についてご説明します。自社IPを有効活用したグロースコンテンツの拡充や新規コンテンツの創出、キッティング支援の新たなビジネスモデルによるサービス展開、社会のDX推進に対応した受託開発や業務支援サービスの伸長、中古端末買取販売サービスの拡大等により、増収増益を図っていきたいと考えています。
売上高は45億円、営業利益は2億1,000万円、経常利益は2億2,000万円、親会社株主に帰属する当期純利益は1億1,000万円、配当予想については、引き続き2円とさせていただきたいと考えています。
我々は前期に大変厳しい決算を踏まえ、やっと這い上がってきたところです。この2024年5月期でさらにジャンプアップしていきたいと思います。
また、この業績予想をきっちり推進していくことに、ひたむきに取り組んでいきたいと考えています。まずは今あるこの素地を固めて伸ばし、クリエーション事業、ソリューション事業、そして新規コンテンツを伸長させていきたいと考えています。
引き続き、ご支援ご指導を賜りたい次第です。これからも愚直にがんばっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。