2023年7月14日に発表された、バリュエンスホールディングス株式会社2023年8月期第3四半期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:バリュエンスホールディングス株式会社 取締役CFO 佐藤慎一郎 氏
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佐藤慎一郎氏:バリュエンスホールディングスの佐藤です。本日はお忙しい中、当社の決算説明会にご参加いただき誠にありがとうございます。それでは、第3四半期の業績からご説明いたします。
2023年8月期 第3四半期(累計)サマリー
2023年8月期第3四半期の累計のサマリーです。GMV(流通取引総額)は前年同期比31.6パーセント増の588億円、売上高は前年同期比20.9パーセント増の536億円、売上総利益率は前年同期比0.9ポイント改善の26.8パーセント、営業利益は前年同期比43.5パーセント増の13億円という結果になりました。
売上高の前年同期比20.9パーセント増に対し、GMVが前年同期比31.6パーセント増となっています。こちらの背景としては、2020年より開始した、他社商品を当社の「STAR BUYERS AUCTION(以下、SBA)」で販売する委託事業が非常に大きく伸長していることによるものです。さらに、2023年3月より自社オークションでSaaS型の新機能の提供も開始しました。これによりさらなるGMVの増加を見込んでいます。
売上総利益率に関しては、インバウンド需要の取り込みによる小売売上高が好調に推移したこと等を背景に、前期に比べて0.9ポイント改善する結果となりました。また、人員の拡充や仕入戦略に合わせたマーケティングに引き続き注力しつつも、営業利益は前年同期比43.5パーセント増の13億円まで拡大することができました。
2023年8月期 第3四半期 業績
第3四半期の業績について、より詳細にご説明します。第3四半期単体の決算に関しては、初めて四半期の売上高が200億円を突破し、200億4,400万円となりました。前年第3四半期はウクライナ情勢による金価格の高騰により、当社業績や仕入が非常に恩恵を受けた時期でしたが、前年と比較しても9.6パーセントの増加となりました。
営業利益に関しても、前年同期と比較して15.9パーセント増という結果になっています。経常利益・当期純利益も、前年同期と比較してそれぞれ好調に推移しています。
先ほどご説明したとおり、累計の売上高は前年同期比20.9パーセント増となりました。各段階利益においても、営業利益は43.5パーセント増、経常利益は40.9パーセント増、当期純利益は74.1パーセント増と、非常に好調な結果を残すことができたと評価しています。
2023年8月期 第3四半期(3月-5月)トピックス
買取・販売の両面についてのトピックスを詳しくご説明します。買取面に関しては、第2四半期の季節的要因がなくなったことに加え、懸案だった時計相場が下げ止まり回復基調となったことに伴い、仕入高が152億円と四半期ベースで過去最高を更新しています。
自社による仕入だけではなく、株式会社三越伊勢丹との取組による「i'm green」や、金融機関などの他社とのアライアンス戦略による仕入も好調に推移しており、新たな仕入ルートが確立できていると考えています。
国内新規出店に関しては2店舗実施しましたが、一方で不採算店舗の退店も4店舗行いました。結果として、店舗数は国内133店舗、海外37店舗となりました。
販売面に関しては、仕入回復に伴い販売も好調に推移しています。加えて、自社オークションにおける委託も好調に推移しています。
インバウンド需要による小売店舗の売上も好調で、商品さえあればきっちり販売できる販売力を有していることを十分に認識した四半期でした。また、インバウンド需要の回復により、オークションの国内販売比率が上昇しています。
売上総利益率に関しては、当第3四半期のみでは26.5パーセントにとどまり、第2四半期比で0.8ポイントの減少となりました。金相場上昇に伴い地金の売上高構成比率が上昇したことや、ECシステムの改修に伴いECシステムが一時期止まっていたことで小売EC売上高が減少したことによるものです。
売上高・売上総利益率
売上高・売上総利益率の推移です。第3四半期については、先ほどご説明した好調な仕入を背景に売上原価を147億2,800万円積み増し、売上高が初めて200億円を突破しました。売上総利益も53億1,600万円と、こちらも四半期ベースで過去最高を更新しています。
一方で、売上総利益率は26.5パーセントとなり、第2四半期比で0.8ポイント悪化する結果となりました。
仕入高・店舗数
仕入高と店舗数の推移です。仕入高については、四半期ベースで150億円を突破し、過去最高の152億7,000万円を記録しました。前年の第3四半期に金価格が高騰した際の仕入高145億1,600万円に対し、7億5,400万円も上回るかたちでの着地となりました。足元も引き続き仕入は好調に推移しています。
新規出店は計画どおり進めている一方で、不採算店舗の退店も行い、効率性を高めた店舗運営を行っています。現在、買取店舗数は国内133店舗、海外37店舗で、合計170店舗となっています。
販売費及び一般管理費
販管費の推移です。引き続き積極的に人材確保、仕入戦略に応じたマーケティングを行っており、人件費・広告宣伝費は増加しています。一方で、2月にオフィス移転が完了したことにより、第3四半期では二重家賃が解消しています。また、不採算店舗退店などの効率化により、地代家賃やその他費用を抑制しています。結果として、販管費は44億8,100万円となりました。
営業利益・営業利益率
営業利益・営業利益率の推移です。第3四半期の営業利益は前年同期比15.9パーセント増の8億3,400万円、営業利益率は4.2パーセントまで上昇しています。
マネジメント・アプローチで重視している通期営業利益25億円の計画に対し、足元好調に推移しています。当社は下期偏重で、第3四半期・第4四半期のほうがよい数字が出る傾向にあり、今期も同様の傾向の数字が出せるものと考えています。
バランスシートの概況
バランスシートの状況です。総資産は、前期末に比べ54億5,900万円増えています。その中でも商品の在庫に関しては前期末の63億2,900万円から85億7,700万円と、22億4,800万円増加しています。
このとおり、十分な在庫を持った状態で次の四半期を迎えることができました。したがって、好調な仕入と豊富な在庫をきちんと活用できれば、第4四半期はガイダンスの数字を達成できるものと考えています。
GMV推移
GMVの推移です。前年同期比18パーセント増の217億600万円となっており、こちらも四半期ベースで過去最高を更新しています。特に、スライドの棒グラフの一番下に記載している他社からの委託に関しても27億8,600万円と過去最高を更新しました。
自社オークションの委託比率に関しては、20パーセントを超える水準まで伸長しています。今期累計では、自社オークション委託落札額はおそらく100億円を突破できるのではないかと考えています。
売上高:販路別(toB/toC)
販路別の売上高の構成です。先ほどご説明したとおり、金価格の高騰によって売上高200億4,400万円のうち、金の割合が40億9,700万円と約20パーセントを占めています。第2四半期は25億3,900万円で売上高に占める割合が約15パーセントであったのに対し、5ポイントあまり上昇しています。
小売事業に関してはほぼ横ばいの22億7,600万円となり、売上高に占める割合は約11パーセントとなりました。利益率の高い小売事業の売上高に占める構成比が低下し、粗利率の低い金の売上構成比が高まったことが、売上高総利益率の悪化の要因になっています。
売上高:販路別(国内/海外)
国内・海外の販路別の構成比に関してご説明します。インバウンドの回復に伴う小売および国内パートナーによるオークション売上の拡大により、国内売上高が15.5パーセント増の158億円となりました。海外パートナーによるオークションの売上も引き続き好調であるものの、インバウンドの需要回復により国内パートナーから非常に大きな恩恵を受けた第3四半期だったと考えています。
一方で、海外向けの売上高比率は21パーセントと、金額ベースでも前四半期比でプラスになっています。引き続き海外向けの売上も好調な中で、今回は国内のほうの需要が旺盛だったと考えています。
売上高:toBオークション実績
toBオークションの実績については、落札率が93.7パーセントであり、依然として高い水準を維持しています。3四半期連続で90パーセント以上の落札率を維持しており、商品をきちんと仕入れることができれば販売できるルートをしっかりと持っていることの証左だと思っています。
オークション回数を月4回に変更してから、「SBA」は安定して開催、販売ができていると考えています。
STAR BUYERS AUCTION(SBA)パートナー会員数
第3四半期のハイライトについて簡単にご説明します。「SBA」のパートナー会員数は引き続き好調に拡大しており、第3四半期末時点でのパートナー数は国内外合わせて3,000社を突破しました。海外のパートナー数も786社まで拡大しており、中計の目標としている1,000社は問題なく達成できるのではないかと考えています。
STAR BUYERS AUCTION(SBA)落札額の国内/海外比率
同じく「SBA」での落札額の国内、海外の比率を示しています。インバウンド需要の回復により、国内のパートナーが盛り返している状況です。
非常に円安になっている中で、海外パートナーの買い意欲も強いのですが、それ以上に国内のパートナーが高い価格で入札をしており、結果として「SBA」は引き続き高い価格で取引ができるマーケットになっていると認識しています。
買取店舗展開
買取店の店舗展開です。第3四半期末までの新規出店数は累計で国内7店舗、海外7店舗の合計14店舗です。一方、国内4店舗、海外4店舗の不採算店舗を撤退しています。第4四半期は、国内に関しては3店舗を出店する予定になっています。
パートナー向けサービス拡充
当社のオークションシステムである「SBA」のパートナー向けサービスの拡充を実施しています。1つ目として、2023年3月からSaaS型の新機能の提供を開始しています。こちらは「SBA」上で当社パートナーが市場主となり、オークションを開催できるように当社がオークションシステムを提供するというサービスになります。
パートナー自身で市場を持ちたいというニーズが各社で非常に高く、当社のシステムを提供することによって、パートナー自身のオークションを持つことができます。加えて、市場主となるパートナーが新たに落札パートナーを開拓する必要もなく、当社が開拓した3,000社の落札パートナーに対して販売することができます。海外のパートナーが多く参加しており、他社よりも高く取引されているプラットフォームにおいて、パートナー自身の名前でオークションが開催できるサービスです。
すでにサービスを開始しており、複数のお客さまからお問い合わせもいただいています。これにより、今後の委託ビジネスの拡大に貢献できるものと考えています。
もう1つのサービスとして、従前ご説明していたフルフィルメントサービスを2023年5月にローンチしました。このサービスは、「SBA」で落札したパートナー企業が、落札した商品を当社のALLUという小売サイトで販売することができるサービスです。
パートナー企業にとっては検品や写真撮影、配送等の業務負担なく、落札した商品をさらに小売で販売することができます。販売チャネルを確保したうえで「SBA」で落札できるため、落札パートナーは手間暇かけずに落札した商品をそのまま販売することができます。2023年5月からサービスを開始しており、すでに複数のパートナーにご利用いただいています。
小売のグローバル展開加速 ~ALLU ECサイトのシステムリプレイスを実施~
小売のグローバル展開を加速するため、ALLUのECサイトのシステムリプレイスを行いました。第3四半期に小売売上がやや伸び悩んだ要因の1つとなりましたが、今後は国内外の価格差を利用してより高く売れる海外で、かつ粗利率の高い小売で当社商品を販売していくため、ECサイトのリプレイスを行いました。
当社の在庫システム等と連携することも容易になるため、全世界で当社が保有する商品を一気通貫で管理、販売することができるようになります。また、先ほどご説明したフルフィルメントサービスを活用したパートナーもこちらでの販売が可能になります。
今回のシステムリプレイスにより、スピーディな海外のEC構築が可能になり、個別の開発コストも削減できます。来期は各国にサイトを順次オープンしていき、ECで世界への小売販売をより進めていきたいと考えています。
ドバイに現地法人を設立
グローバル展開加速の1つとして、ドバイに現地法人を設立しました。中東地域におけるさらなるビジネスの拡大を企図して、2023年にValuence International MEA Trading LLCを設立しています。中東における保有財産100万ドル以上の、いわゆるミリオネア総数がトップであるドバイで法人を設立することにより、富裕者層へのアプローチを強化することができると考えています。
法人設立と併せて買取店舗の直営店も開設し、「ALLU UAE Barsha Heights店」としてリニューアルオープンしています。
TCFD提言に基づく情報開示
最後に、ESG関連です。当社は「Circular Design for the Earth and Us」をパーパスに掲げ、世界中の実物資産を不要になった方から必要な方へマッチングし、物を循環させる「Circular Design Company」として持続可能な社会の実現を目指しています。サステナビリティへの取組は当社の中長期的な成長を実現する上で重要な経営課題と認識しており、ESGそれぞれのコミットメントを開示し、取組を開始しています。
このうち、気候変動に関しては2030年のカーボンニュートラルを目標に掲げ、2022年9月にTCFD提言への賛同を表明していましたが、本日、TCFDの情報開示のフレームワークに沿って気候変動に関する取組状況を開示しました。内容の詳細については当社ホームページのサステナビリティページをご覧いただければと思います。
今後も気候変動への取組推進と開示内容の拡充に努め、持続可能な社会への貢献と、企業価値の向上を目指します。
以上でご説明を終了します。ご清聴ありがとうございました。
Q&A
質疑応答に関しましてはこちらに掲載されております。