2.2 遺族年金が受け取れない原因2. 受給者の老齢厚生年金が多い
年金受給世帯で厚生年金に加入したことのある人が亡くなった場合、受け取れるのは遺族厚生年金です。
遺族が65歳未満で老齢年金を受け取っている場合、遺族年金と老齢年金は併給されないため、老齢年金を選択すれば遺族年金は受け取れません。
65歳以上になれば、老齢年金と遺族年金の併給が可能になりますが、受給者が老齢厚生年金を受け取っている場合、遺族厚生年金のうち老齢厚生年金額が支給停止となります。
そのため、次のケースでは遺族厚生年金が全額支給停止になり全く受け取れないこともあります。
- 亡くなった人の遺族厚生年金が少ない
- 受け取る人の老齢厚生年金が多い
長年厚生年金に加入した夫と専業主婦歴の長い妻の場合、夫が死亡した場合に妻は遺族年金が受け取れるが、妻が死亡した場合に夫は受け取れない、というのが一般的です。
2.3 遺族年金が受け取れない原因3. 保険料の納付が25年未満である
60歳を過ぎて保険料の納付が終わった人でも、前述の要件を満たせば遺族年金を受け取れます。
ただし、保険料の納付要件には要注意です。
老齢年金は10年以上保険料を納めれば年金を受け取れますが、遺族年金は亡くなった人が25年以上保険料納付(免除などを含む)しないと支給されません。
40歳以降毎月保険料を納めているからと安心している人でも、若いときに未納が多ければ納付要件を満たさないこともあります。
年金保険料の支払い(免除などを含む)は、25年以上が大きな節目です。
3. 遺族年金の受給要件まとめ
保険料を納めていたつもりなのに遺族年金が受け取れない主な原因は、「自営業の世帯で子どもが成人している」、「受給者の老齢厚生年金が多い」、「保険料の納付が25年未満である」などです。
上記以外に、受給者の前年の年収が850万円以上あるケースや、生計維持関係が認められないケース、再婚したケースなどでも、遺族年金は受け取れません。
年金や収入が多い人でも遺族年金が受け取れないのは痛手ですが、厚生年金の加入が少ない人の老後は特に注意が必要です。
老齢年金額が少ない上に遺族年金が受け取れないケースも多いため、自助努力で老後対策をしなければなりません。
参考資料
西岡 秀泰