3. 川崎重工業のリスクとは

川崎重工業は「事業等のリスク」として同社Webサイトにて事業上のリスクを記載しています。多数ありますが、重要なものを集約すると以下の通りです。

  • 世界情勢に関するリスク
  • 市況変動のリスク
  • 事業固有のリスク
  • 脱炭素化・ゼロエミッション

先般のコロナ禍での供給制約問題、ロシアのウクライナ侵攻に伴うロシア市場などへのアクセスの制限、米中貿易摩擦など、さまざま世界情勢の変化や悪化はグローバルに製品を供給する川崎重工業の逆風要因となることがあります。

市況では、昨今の業績に対しては追い風となっている為替の変動リスク、また、大量の製品を生産する上で欠かせない資源の価格高騰リスクなどが挙げられています。

川崎重工業は海洋開発、鉄道車両開発、エネルギー開発など多くの大型プロジェクトを走らせながら事業展開する企業です。これらプロジェクトの進捗遅れや中断などが業績悪化要因となるリスクが考えられます。

また、航空機関連の事業環境の回復は、2022年度の業績改善の原動力の一つとなっていますが、伝染病の蔓延や情勢悪化などに伴う回復の遅れが同社の業績に悪影響を与える可能性もあります。

最後に脱炭素化・ゼロエミッションは、多くの企業において重要な使命ですが、川崎重工業の場合はバイクを筆頭に化石燃料を使用したエンジンで動作する製品も多数生産しています。これらについては市場自体が消滅するリスクについても、川崎重工業は意識しながら、事業展開を行なっています。

以上の要因は全て川崎重工業が認識しているリスクであり、同社としては可能な限り対策を講じていると考えられます。しかし、同社の想定外の動向やインパクトの大きさとなった場合などには、株価の下落要因となる可能性があるでしょう。

4. 川崎重工業の配当金や株主優待は?

川崎重工業はコロナ禍の2020年3月~2021年3月にかけて無配が続いていましたが、2021年9月から復配して1株当たり20円でした。

出所:川崎重工業株式会社「配当情報」

その後2021年度は年間で40円の配当を出し、さらに2022年度は年間90円に増配しています。2023年度は年間80円の配当予想となっており、やや減配となる慎重な見通しを示しています。

なお、株主優待は2023年6月時点でありません。

参考資料 

宮野 茉莉子