老後に向けておひとりさまが最低限準備すべき金額

完全リタイアするためには、生活費の不足分を貯蓄で準備しなくてはなりません。

90歳まで生きるとした場合、厚生年金に加入していた女性なら1387万200円(4万6234円×12カ月×25年)となります。65歳からの25年分の不足分の累計金額は以下のとおりです。

出所:総務省「家計調査報告(家計収支編)2022年」などをもとに筆者作成

厚生年金に加入していた女性の場合、1500万円近い金額が不足することがわかります。実際の金額はねんきん定期便や現在の家計収支などから、より現実的な金額を見積もりましょう。

おひとりさまが「生活費以外」に考えておきたい老後の支出3つ

以上の内容は、老後の毎月の家計収支からの生活費の不足分を補うための準備についてでした。しかし、老後には独身の人が生活費以外にも考えておくべき一時的な支出もあります。

おひとりさまの老後資金1.介護費用

老後生活をひとりで送る場合、介護費用がどのくらいかかるかを知っておくことは重要です。生命保険文化センターの「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」によると、介護リフォームなどの一時的な介護費用の平均額は74万円です。

また、公的介護保険の自己負担費用のような毎月支払う費用の平均は8万3000円となっています。毎月の費用は在宅の場合4万8000円、施設での介護の場合は12万2000円と大きな負担になります。

おひとりさまの老後資金2.住居の補修費用

持ち家が一戸建ての場合、住宅ローンの返済が終わる頃には補修・修繕が必要になるのが一般的です。長い老後を住み慣れた家で過ごすには、手入れも必要となるのです。

住宅の補修にかかる費用は工事内容によっても異なりますが、少なくとも100万円、内容によっては500万円程度が必要になる場合もあります。

また、高齢者向け住宅などへの入居を考えているなら、早めに必要な費用を調べて準備するようにしましょう。

おひとりさまの老後資金3.葬儀費用・お墓の購入費用

自分が亡くなったときの葬儀費用や、必要であればお墓の購入費用も早めに準備しておきましょう。

株式会社鎌倉新書の「【第5回お葬式に関する全国調査】(2022年)」によると、葬儀にかかった費用の平均額は110万7000円でした。最近の葬儀は家族葬が主流のため、費用も少なくなる傾向にあります。

また、同社の「【第14回】お墓の消費者全国実態調査(2023年)」によると、一般墓の購入にかかる費用は151万2000円でした。墓の購入にかかる費用も近年は下落傾向にあります。

充実したひとり暮らしのためにお金の不安を解消しましょう

老後に自由なひとり暮らしを満喫するには、お金の不安を解消しておくことは大切です。

生活費の不足分が多くて十分な資金を準備できない場合、働く期間を延ばすなどの対策を考えましょう。必要な資金額を早いうちに把握できれば、対策も立てやすくなります。

参考資料

松田 聡子