出産・妊娠したで心配なことは「経済面」と「仕事面」が上位に
株式会社識学の調査で、現在子どもがいない女性に「出産・妊娠で心配だと思うこと」と伺ったところ、約半数が「教育費等含めた経済面」と回答しました。
前章で紹介した「こどもを産みたいと思わない、産む予定がない理由」では、経済的な理由は上位に入っていませんでしたが、実際に出産・妊娠を想定した場合は、やはり経済的な部分が最も不安に感じるようです。
また、次いで多かった内容として「育児と仕事の両立」が挙げられており、出産後も育児と両立しながら仕事を続けられるのか、不安に思っている人が多い傾向にあります。
政府は仕事と子育てが両立できるように「妊娠中から育児中まで」、さまざまな制度を設けていますが、制度自体を知らなかったり利用しにくかったりと、現状は積極的に活用できていない状況が多いのかもしれません。
政府の少子化対策に約7割が「期待していない」と回答
前章では「出産・妊娠で心配だと思うこと」として、「教育費等含めた経済面」が最も心配である声が多いとわかりました。
現在政府は「異次元の少子化対策」を進めていますが、働く女性たちはこのような政府の政策についてどのように感じているのでしょうか。
株式会社識学の調査では、約7割の働く女性が、政府の少子化対策に「期待していない」「あまり期待していない」と回答しています。
こどもがいる女性・いない女性別で結果をみると、こどもがいる女性は約4割が「期待している」と回答しているのに対し、こどもがいない女性は約2割と顕著に差が現れています。
現在政府が異次元の少子化対策として進めている「こども・子育て支援加速化プラン」によって変わる、支援制度の内容は下記のとおりです。
- 児童手当の支給対象の引き上げ(高校卒業まで延長)
- 多子世帯への児童手当の増額
- 児童手当の所得制限の撤廃
上記の政策が実現化すれば、経済面での経済負担をカバーしやすくなります。
子どもがいる世帯にとっては、この政策は身近なものであり非常にありがたいものと言えるため「期待している」という声が多いのでしょう。
一方で、まだ子どもがいない世帯にとっては、日常生活において児童手当と関わりが薄いことから、子どものいる世帯よりも期待の声が少ないのでしょう。
現状子どもを出産する予定がない理由として「ライフスタイルの変化」が上位にあがっていたことから、経済面の政策と共に、より仕事と育児の両立ができる政策も求められているのかもしれません。
働く女性が「子どもを出産・育児」する場合に求める支援とは
本記事では、働く女性における「出産・育児」に対する考えを紹介していました。
現在こどもがいない働く女性の6割以上が「こどもを産む予定がない」と回答しており、その理由として「ライフスタイルの変化」に関する内容が多く挙げられました。
その一方で、実際に妊娠・出産をした場合に心配なことは「経済面」に関する内容がトップであったことから、今後の少子化対策においては「育児と仕事の両立」と「経済面のサポート」が求められます。
子どもがいる世帯・子どもがいない世帯において、政府の進める政策の期待度に大きな差が生じていることから、「今後子どもを出産する予定の人」に対する政策も重要になってくるでしょう。
参考資料
- 厚生労働省「人口動態統計速報(令和4年12月分)」
- 株式会社識学「【働く女性のこどもに関する調査】政府の少子化対策「期待していない」6割以上にものぼる」
- 厚生労働省「令和2年版厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える」
- こども政策担当大臣「こども・子育て政策の強化について(試案)」
太田 彩子