日本のフリーランスは1,122万人、今後もさらに増加する可能性も

政府が進める働き方改革のポイントの一つが、多様な就業のスタイルです。社外で働くリモートワークのほか、非正規雇用(フリーランス)で働く人も増えると予想されています。

クラウドソーシングサービスを運営するランサーズが2017年3月に発表した「フリーランス実態調査2017(注)」によると、日本におけるフリーランスの数は2016年より5%増の1,122万人で労働力人口の17%を占めているそうです。

フリーランスと一口に言っても、副業の人、専業の人と違いがあります。同調査ではフリーランスの種類を以下の4つに分けています。

  • 副業系すきまワーカー:常時雇用されているが、副業としてフリーランスの仕事を行う
  • 複業系パラレルワーカー:雇用形態に関係なく、2社以上の企業と契約ベースで仕事を行う
  • 自由業系フリーワーカー:特定の勤務先はないが、独立したプロフェショナル
  • 自営業系独立オーナー:個人事業主・法人経営者で、一人で経営を行っている

注:過去12か月に仕事の対価として報酬を得た全国の20~69歳男女が対象。有効回答数:3,095人(うち、フリーランス1,549人)

フリーランス収入の平均は約60万円〜350万円

同調査では4つのフリーランスの種類ごとの年収と、年収に占めるフリーランス仕事の比率も調べています。

それによると、副業系すきまワーカーのフリーランス年収の平均は約60万円(フリーランス仕事の比率は平均19%)、複業系パラレルワーカーは同約129万円(同36%)、自由業系フリーワーカーは同約122万円(同55%)、自営業系独立オーナーは約350万円(同81%)だそうです。

あくまでも上記の平均収入と平均比率からの計算ですが、これらのワーカーのトータルの年収は、最も低い自由業系フリーワーカーで約220万円、最も高い自営業系独立オーナーで約430万円ということになります。

ちなみに、国税庁の「平成28年分民間給与実態統計調査結果」によれば、給与所得者の年間の平均給与は422万円となっています。さらに正規労働者に限れば487万円となっています。

「現在の働き方を続けたい」というフリーランスの人が57%

では、フリーランスの人は現在の仕事に満足しているのでしょうか。同調査の「今後の働き方としてあてはまるものを選んでください」という問いに対する回答は、

  • 現在の働き方を続けたい=57%
  • 企業と雇用関係にありながら、副業(兼業)として続けたい=21%
  • 企業で雇用されたい=4%
  • 法人化(起業)したい=1%
  • その他=16%

となっています。半数以上の人がフリーランスの仕事を続けたいと答え、企業で雇用されたいと考えるフリーランスの人は4%しかいません。

「自由」「裁量」「仕事の誇り」などの手応え

では、「現在の働き方を続けたい」人が多いのはなぜでしょうか。その理由も調査では見えてきます。

「自由な働き方の満足度」について聞いたところ、フリーランスの人は「自由である(83%)」「裁量が大きい(73%)」「仕事に誇りを持てる(71%)」「達成感がある(69%)」「仕事に熱心である(68%)」「満足している(56%)」といずれも50%を超えています。

一方で、フリーランスでない人は、これらの回答のうち「仕事に誇りを持てる」だけが56%で、他の設問はすべて50%を下回っています。特に「裁量が大きい(20%)」「達成感がある(39%)」「満足している(39%)」の3つは低くなっています。

フリーランスの人の多くがやりがいを感じている反面、安定的に仕事を得られるという保証はありません。ネット経由で仕事を受注する「クラウドソーシング」も拡大していますが、受注者は発注者に雇用されていないため、最低賃金が適用されないといった課題もあります。

これらの課題解決に向けて、政府もフリーランスの働き方に関する指針作りに着手しています。少子高齢化で労働力不足が深刻になる中ではフリーランスの活用が欠かせなくなります。多様な働き方を支える環境の整備が求められていると言えるでしょう。

上山 光一