6月15日から、2023年度の公的年金の支給がスタートしました。

2022年度と比較すると、夫婦2人分の標準的な厚生年金は4889円の増額となります。

では、厚生年金を15万円以上受け取っている人はどれくらいの割合で、受給するために必要な年収はいくら必要なのでしょうか。

今回は、月に15万円以上の厚生年金を受け取っている人の割合と、老後の収支が黒字になるための方法について解説します。

1. 国民年金(基礎年金)と厚生年金で15万円受け取るのに必要な年収は?

公的年金は1階部分の国民年金(基礎年金)と2階部分の厚生年金に分けられます。

出所:日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 被保険者のしおり」(令和5年4月)、厚生労働省「日本の公的年金は『2階建て』」をもとに、LIMO編集部作成

まずは、2つを合計して15万円の年金を受け取る場合に必要な年収を計算しましょう。

次のケースを想定し、必要な年収を求めます。

1.1 厚生年金のシミュレーション条件

  • 20歳から60歳まで国民年金の保険料を納付
  • 厚生年金の加入期間は22歳から60歳までの38年

老齢基礎年金は、20歳から60歳まで国民年金を納付しているので満額受給できます。

2023年度の老齢基礎年金の満額は月額6万6250円です。

15万円の厚生年金を受給するために不足している金額は、以下の計算式から約9万円となります。

15万円-6万6250円=8万3750円≒約9万円

老齢厚生年金で約9万円を受け取る場合、いくら年収が必要なのか確認しましょう。

1.2 厚生年金のシミュレーション

老齢厚生年金の計算式は、2003年4月以降は賞与も含めた「総報酬制」を導入しています。

  • 2003年4月以降:平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以降の加入期間の月数
  • 2003年3月以前:平均標準報酬月額×7.125/1000×2003年3月までの加入期間の月数

今回は、以下の条件でシミュレーションしてみましょう。

  • 2003年4月以降に厚生年金に38年加入
  • 年収の変動はなく、ボーナスあり

老齢厚生年金の年額:約9万円×12ヵ月=108万円

平均標準報酬額×5.481/1000×厚生年金加入期間の月数=108万円

平均標準報酬額×5.481/1000×456ヵ月(38年)=108万円

平均標準報酬額=約43万円

約43万円×12ヵ月=約516万円

およそ年収が516万円あると、老齢厚生年金と老齢基礎年金を合わせた金額が月額約15万円となります。

2. 厚生年金だけで月額15万円受け取るために必要な年収は?

続いて、老齢厚生年金だけで月額15万円を受け取るのに必要な年収を計算しましょう。

先ほどと同じく、以下の条件で計算します。

2.2 厚生年金のシミュレーション条件

  • 厚生年金の加入期間は22歳から60歳までの38年
  • 2003年4月以降に厚生年金に38年加入
  • 年収の変動はなく、ボーナスあり

2.2 厚生年金のシミュレーション

老齢厚生年金の年額:約15万円×12ヵ月=180万円

平均標準報酬額×5.481/1000×厚生年金加入期間の月数=180万円

平均標準報酬額×5.481/1000×456ヵ月(38年)=180万円

平均標準報酬額=約72万円

約72万円×12ヵ月=約864万円

年収がおよそ864万円だと、厚生年金だけで15万円が受給できる計算になります。

実際に、厚生年金を15万円以上受け取っている割合がどれくらいか、確認していきましょう。