10年以内に「電気飛行機」に乗れる? 英LCCと米ベンチャー企業の挑戦

日本では日本電産の永守会長が意欲を示す

電気自動車の次は電気飛行機

2017年9月29日、NHKは、英国の格安航空会社であるイージージェットが、10年以内に180人程度を乗せることができる「電気旅客機」を、ロンドン・パリ間など航続距離が540キロ以下の路線で導入することを目指すと報じています。

GMやトヨタ、フォルクスワーゲンなどが相次いで2020年代前半に電気自動車(EV)の量産を本格化することが話題になっていますが、自動車に続き、飛行機の世界でも電動化への取り組みが進んでいるようです。

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この背景には、自動車と同様に環境への配慮の高まりがあります。EVが排出ガスの削減に貢献するように、飛行機もジェットエンジンをモーターに変更することで、同様な効果が期待されるためです。また、騒音の大幅低減も期待されています。

ただし、モーター駆動による電気飛行機というと、途中で電池が切れたらどうなるの? ドローンのように軽量な機体ならともかく、大勢の乗客をモーターで運べるの?など、素朴な疑問と不安を感じてしまいます。

そこで、最近のニュースなどをもとに、今後の電気飛行機の可能性がどの程度のものか考えてみたいと思います。

イージージェットが組むのは米国のベンチャー

イージージェットが電気旅客機の開発で提携するのは、米ロサンゼルスに本社を置く「Wright Electric」(以下、ライト社)という2016年に設立されたばかりのベンチャー企業です。

ライト社のホームページを見ると、「A CLEANER FUTURE」(よりきれいな未来)というタイトルとともに、「ライト社の目的は、20年以内にすべての短距離飛行をゼロエミッションとする」という同社のミッションが記されています。

このシンプルなメッセージから同社は、高い理念と明確な目標設定を持ったベンチャー企業であることがうかがえます。

起業されたばかりということもあり情報は限られますが、創業メンバーには、航空機エンジニア、パワートレインやバッテリーの専門家が含まれています。また、米国の大学や、民泊のAirbnbなどのへの投資実績があるYコンビネーターといったシリコンバレーのベンチャーキャピタルからも資金支援を受けています。

なお、現時点では、イージージェットからは旅客機を開発設計する際に配慮すべきポイントなどの助言を得るだけで、出資は受けていません。

シーメンス、エアバス、NASAも取り組む電気飛行機

ライト社とイージージェットの取り組みは、多くの人にとってはまだ唐突感のあるニュースかもしれませんが、実は電気飛行機への取り組みは、まだまだたくさんあります。

以前、投信1の記事『モーター駆動の電気飛行機にシーメンスやエアバス、NASAが参入』でまとめたように、欧州ではシーメンスやエアバスが、また米国では米航空宇宙局(NASA)などが取り組みを始めています。

さらに日本では、総合モーターメーカーである日本電産(6594)の永守重信会長兼社長が、「自動車の次は飛行機にも大量のモーターが使われる時代が訪れる」と決算説明会において何度もコメントしており、部品メーカーとして開発に取り組んでいることを示唆しています。

まとめ

電気飛行機がジェット機を置き換えていくためには、バッテリーやモーターの性能をさらに向上させていくことが求められます。とはいえ、EVがこれらの課題を克服しながらここまで普及してきたように、電気飛行機についても将来、同様な展開が考えられます。

電気飛行機は環境にやさしく、またエンジンの騒音問題解消にも役立つ可能性があるため、長期的に取り組むべき価値が大いにある技術と考えられます。日本にも、こうした夢のある技術に挑戦する企業が現れてくることに期待したいと思います。

LIMO編集部

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LIMO編集部は、国内外大手証券会社で証券アナリストや運用会社のファンドマネージャーとして長年の調査や運用経験を持つメンバーを中心に構成されています。金融・経済ニュースや投資に関する知識・アイデア、ビジネスパーソンの役に立つ情報ををわかりやすくお届けします。