老後資金を準備するには、長期にわたり毎月積立するのが効果的です。

iDeCo公式サイトが2023年6月1日に公表したレポートによると、加入者数は約293万3000人となりました。

iDeCoや個人年金保険を検討している人も多いでしょうが、老後対策としてはどちらを選択すればいいのでしょう。

この記事では、厚生年金や国民年金に上乗せできる老後対策として、iDeCoと個人年金保険のどちらが有利かについて解説します。

それぞれのメリットやデメリットも紹介しますので、自分にあった老後対策を見つけましょう。

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iDeCoと個人年金保険の違い

iDeCo(個人型確定拠出年金)と個人年金保険は、老後資金の準備を目的とした私的年金ですが、仕組みや税制上の取扱いが異なります。

それぞれについて、概要を紹介します。

●iDeCoとは

iDeCoとは、国民の老後資金準備を支援するために国が設けた任意加入の年金制度です。

積み立てたお金の運用方法を加入者自身が決定し、将来運用成果に応じて年金を受けとります。

出所:国民年金基金連合会「iDeCoってなに?」

iDeCoの主な取り扱いは次の通りです。

  • 加入年齢:20歳から65歳
  • 受給年齢:60歳から75歳までで任意に設定(最低限の加入期間あり)
  • 掛け金:5000円以上1000円単位で任意で設定(加入する年金制度などにより上限あり)
  • 運用方法:定期預金や株式投資信託、公社債投資信託など

●個人年金保険とは

個人年金保険とは、生命保険会社などが販売する老後に向けた年金商品です。

個人年金保険の種類は、主に次の2つです。

  • 確定年金:契約時に定めた期間(10年、15年など)、年金を受給できる
  • 終身年金:一生涯年金を受給できる

一般的に、契約時に保険料や加入期間、年金額や受給年齢が決まっていて、「定額個人年金保険」と呼ばれることもあります。

また、積立金の運用次第で年金額が変わる「変額個人年金保険」や、「外貨建て個人年金保険」などもあります。

iDeCoのメリットとデメリット

iDeCoと個人年金保険には、それぞれ異なるメリットとデメリットがあります。

まずは、iDeCoについて解説します。

●iDeCoのメリット

iDeCoの一番大きなメリットは、税制上の優遇措置です。

掛け金は全額所得控除されるため、所得税や住民税が軽減されます。

出所:国民年金基金連合会「iDeCo(イデコ)のイイコト」

さらに運用益は非課税となり、受け取る年金は「公的年金等控除」の対象です。

また、投資信託などで運用成果が良ければ、受け取る年金額も増やすことができます。

投資というとリスクが高いと感じる人もいますが、長期間にわたり少額で分散投資することでリスクの軽減が可能です。

さらに、インフレになった場合、投資商品も連動して値上がりすることが多いため、預金などと比較してインフレに強いと言えます。

●iDeCoのデメリット

前述の通り、iDeCoの受給年齢は早くても60歳からで、それ以前に資金が必要になっても原則引き出しできません。

預貯金や個人年金保険と比較して、換金性では劣ると言えます。

長期運用によるリスク軽減は可能ですが、元本割れして損をする可能性もあります。

また、運用商品を選ぶには一定の知識が必要になるとともに、時間や手間がかかります。