個人年金保険のメリットとデメリット

次に、個人年金保険のメリットとデメリットについて解説します。

●個人年金保険のメリット

個人年金保険の掛け金は「個人年金保険料控除」の対象となり、最大4万円(古い保険は最大5万円)所得控除されます。

出所:国税庁「No.1140 生命保険料控除」

メリットではありますが、掛け金全額が所得控除されるiDeCoと比較すると節税メリットは小さくなります。

ただし、iDeCoと異なり中途解約が可能であるため、急に資金が必要になった場合、中途解約して換金できます。

また、定額個人年金保険は契約時に保険料や年金額、受給年齢などが確定しているため、安心して老後資金を準備できます。

●個人年金保険のデメリット

個人年金保険の年金額は契約時に決まっているため、インフレになったときは年金の価値は低下します。

特に、現在は予定利率は低いため、確定年金の場合、受け取る年金は保険料の総額を大きく上回ることはありません。

また、メリットとして中途解約について紹介しましたが、中途解約した場合は元本割れする可能性が高いというデメリットもあります。

年金受け取り時の税制上の取扱いでは、iDeCoと異なり所得控除はありません。

雑所得として課税されるため、iDeCoの方が税制上のメリットは大きいと言えます。

iDeCoが向いている人

iDeCoの最大のメリットは、税制上の優遇措置です。

所得の高い会社員ほど大きな節税が可能であるため、節税したい人はiDeCoが選択肢となります。

また、長期運用で資産を増やしたいと考えている人にも、iDeCoがおすすめです。

運用益が非課税であるため、運用益の全額を再投資に充てられます。

個人年金保険が向いている人

投資によるリスクを避けて、安全・確実に資産を貯めたい人には個人年金保険がおすすめです。

生命保険会社が加入時に決めた年金額を保証してくれるので安心です。

また、投資に詳しくない人や、資産運用に時間や手間をかけたくないと考える人も、個人年金保険を選択肢として検討してみましょう。

老後対策「iDeCo?個人年金保険?」まとめ

iDeCoと個人年金保険は、老後資金の準備を目的とした私的年金です。

ただし、iDeCoのほうが税制上のメリットは大きいので、老後対策としてはiDeCoがおすすめかもしれません。

運用リスクを避けたい場合、定期預金を選択して所得税の負担を抑える方法もあります。

ただし、投資信託などで運用する場合は元本割れのリスクはあります。

安全・確実に老後資金を貯めるなら個人年金保険、多少のリスクを取って資産を増やすならiDeCo、と選択してもいいでしょう。

参考資料

西岡 秀泰