厚生労働省は2023年6月16日、「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」を公表しました。

資料によれば、新設された「介護職員等ベースアップ等支援加算」を扱っている介護施設・事業所において、介護職員の平均給与額(常勤・月給)は昨年12月が31万8,230円。前年12月と比べ、1万7,490円アップとなっていました。

また、介護職員処遇改善支援補助金を交付されている施設・事業所における介護職員(月給・常勤の者)の平均給与額は昨年9月が31万7,540円で、前年12月と比べ、1万6,550円アップとなっています。

同資料について、くわしく見ていきましょう。

令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果のポイント

同資料によれば、「介護職員等ベースアップ等支援加算」を扱っている介護施設・事業所における昨年12月の基本給は24万790円。前年12月と比べ、1万60円アップとなっています。

一方、介護職員処遇改善支援補助金を交付している施設・事業所における介護職員(月給・常勤の者)の基本給は23万9,800円となり、こちらは前年12月と比べ、9,210円アップとなっています。

本調査では、調査対象となった施設・事業所に2021年、2022年度ともに在籍している介護職員について比較が行われています。


ここでの平均給与額は、基本給(月額)、手当、ボーナスなどを合計した総額の12分の1の値が記載されています。税金や保険料が引かれる前の金額となり、手取り額とは異なるため注意が必要です。

介護職員等ベースアップ等支援加算とは?

そもそも、資料に記載のある「介護職員等ベースアップ等支援加算」とは、2022年10月介護報酬改定を経て創設された新たな加算のこと。

当初、介護職員に対して3%程度(月額9,000円相当)を引き上げるための措置という意味合いが強く、本調査の結果を鑑みても同等の結果が出ていることが見て取れます。


現状、本調査の回答事業所のうち、介護職員等ベースアップ等支援加算を「取得(届出)している」事業所の割合は91.3%となっており、大半を占めています。

一方で取得(届出)していない事業所において、加算を取得しない理由としては、「賃金改善の仕組みを設けるための事務作業が煩雑であるため」が40.0%、「計画書や実績報告書の作成が煩雑であるため」が35.7%と上位を占めている状況です。

今後の待遇改善に向けてさらなる施策に期待

介護職員等ベースアップ等支援加算の創設により、当初想定されていた3%の賃上げ(月9000円ほど)を上回る効果が出ている状況ではありますが、昨年度の統計では全産業の平均給与額はおよそ36万1,000円であり、4万円強の開きがある状況です。


今後のさらなる処遇改善に向けて、政府の動向に引き続き着目していきたいところです。

参考資料


 

中沢 新