日経平均は10週連続上昇し、バブル後最高値
2023年6月16日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は、前日比220円59銭高の3万3706円08銭となりました。10週連続の上昇で、バブル後最高値を更新しました。1990年3月以来、およそ33年ぶりの高値圏です。
14日まで開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)では2回の追加利上げが示唆されたものの市場では懐疑的な見方となり、下げ圧力にはなりませんでした。むしろ、イベント通過で米国株は堅調に推移しており、日本株も底堅い展開となりました。
16日に開かれた日銀の金融政策決定会合で、大規模な緩和策の維持を決めたことを好感し幅広い銘柄が買われました。足元で円高傾向になっていることから自動車や機械など輸出関連銘柄も伸びました。三井物産、三菱商事などが年初来高値を更新しました。
今週、日経平均はどのような値動きになるでしょうか。16日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比108ドル94セント安の3万4299ドル12セントで終えています。リッチモンド連銀のバーキン総裁が16日の講演で、米国の物価上昇率がFRBの目標である2%に戻る裏付けとなるデータが示されなければ、一段の金融引き締めに賛同すると語ったことから、投資家の間に金融引き締めが長引くとの見方が広がり、軟調になりました。
ただし、同日発表されたミシガン大学の6月の消費者調査では、消費者態度指数が市場予想を上回ったことを好感し、株式相場の下げ幅は限定的でした。週初、日本株も底堅い展開になることが期待されます。
今週は20日のソニーグループ、ニデック、21日のソフトバンクグループ、日立製作所、ホンダ、22日のNTT、JR東日本、23日のみずほフィナンシャルグループなどのほか、3月期決算企業の株主総会が本格化します。今のところプライム上場企業などでサプライズはない模様ですが、取締役の選任が否決されるようなことがあると株価に影響が出ます。
強い上昇トレンドが続く
先週の日経平均の値動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。非常に力強い上昇トレンドが続いています。特に前週から先週にかけては窓をあけて上昇して寄り付くとさらに陽線となるようなチャートの形になっています。週末16日には、終値ベースで3万3706円と、1990年3月6日の終値(3万3791円)以来の高値となりました。
今後の展開はどうなるでしょうか。チャートは主要な移動平均線が、下から200日線、75日線、25日線と並び、さらにこれらが扇形に開いています。さらに、25日移動平均線とローソク足の実体が次第に離れていくような形になっています。強い上昇トレンドを示しています。25日線からの乖離率やRSIなどのオシレーター系の指標は「買われすぎ」を示しています。
ただし、ここから下げを期待し売りで仕掛けるのはリスクがあります。さらに上昇するとストップロスのタイミングがなくなってしまうからです。仕掛けるならば下落を確認してからがいいでしょう。短期的な下値メドとしては、若干の押し安値となった6月8日の安値(3万1420円)あたりになります。ちょうど25日線にも重なります。そのため、下値サポートにもなりやすいところです。売りに転じるとすればこのあたりを割ってからでもいいでしょう。むしろ、このあたりまでの下落を狙っている投資家も多く、若干の調整となっても押し目買いの好機になるでしょう。
参考資料
下原 一晃