筆者が学生の頃、悠々自適な生活をしていた祖父をみて、「晴耕雨読」とはこのことかとよく思ったものです。
当時は「老後は何をして楽しもうか」と考えていましたが、いまはどうでしょうか。
公的年金や賃金の上昇が物価上昇に追いつけず、お金の価値は目減りするばかりです。「このまま老後を迎えたらどうしよう」と不安に思う方も少なくないでしょう。
事実、筆者が相談を受けるはたらく世代の方々のほとんどが、老後のお金は自助努力でなんとかしないといけないと考えているようです。
「人生100年時代」これからは今よりもっとお金との付き合い方を考えないといけなくなるでしょう。
そこで今回は、60代前後の世代(50歳代・60歳代・70歳代)に焦点をあて、お金事情についてくわしく考察していきたいと思います。
1.【50・60・70歳代】「二人以上世帯」の貯蓄
まずは、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)」をもとに、60歳代とその前後の世代の貯蓄額について見ていきましょう。
1.1【50・60・70歳代】「二人以上世帯の金融資産保有額」
※金融資産非保有世帯も含む
- 50歳代…平均1253万円:中央値350万円
- 60歳代…平均1819万円:中央値700万円
- 70歳代…平均1905万円:中央値800万円
平均・中央値は年齢とともに上がっていることがわかります。
平均値とは「データを足し合わせ、データの個数で割った値」のことをいいます。一方、中央値は「データを小さい(または大きい)順に並べ、中央にある値」のことをいいます。
平均値は一部の大きい、あるいは小さい数字に影響される傾向があるため、中央値の方がより実態を反映していると言えそうです。