2. 「低年金・無年金」になる理由2つ
現役時代の年収の低さの他に、老齢年金の支給額が少ない要因は2つ考えられます。
2.1 受給資格期間が足りない
受給資格期間が足りない場合、年金の受給資格が得られないため無年金となります。
具体的には「保険料納付済期間」と「保険料免除期間」の合計が10年必要です(合算対象期間を含めることが可能)。かつては25年必要とされていましたが、現在は緩和された形です。
その他の期間で年金保険料を支払っていても、10年に満たなければまさに「払い損」ということになります。もし未納の期間があるという方は、早急に確認するようにしましょう。
2.2 年金の不整合記録問題
日本の公的年金は「国民年金」と「厚生年金」の2階建て構造となっています。1階部分にあたる国民年金の加入者は第1号~第3号被保険者に分類されます。
このうち第3号被保険者とは、第2号被保険者(公務員や会社員など)に扶養される配偶者のことを指し、個人で年金保険料を負担する必要はありません。
しかし、自身が働くようになって扶養を抜けた場合や、配偶者が第2号被保険者でなくなった場合などには第1号被保険者となり、保険料負担が発生します。このときの手続きが漏れてしまうことを、「3号不整合記録問題」といいます。
救済措置もあるので、気づいた際にはすぐに年金事務所に相談することが大切です。これまでの年金の加入記録については、ねんきんネットやねんきん定期便などで確認することができます。心当たりがある方は一度見てみましょう。
3. 「親の年金が少ない」場合はどうすれば
年金収入が極端に少ない場合、国の給付を受けられる可能性があります。
- 年金生活者支援給付金(2023年度の基準額は5140円)
- 生活困窮者自立支援制度
- 生活保護
この他にもさまざまな福祉制度があります。
自治体独自の支援がある可能性もあるので、まずは自治体の窓口に相談してみるといいでしょう。
4. 老後の準備は早めにする
老後の生活に不安を抱える方の多くは何かしらの老後対策を始めていることかと思います。初心者でも始めやすいと言われている、iDeCoやつみたてNISAなどを活用している方もいるかもしれません。
しかし、やみくもにスタートするのではなく、目的を明確にして始めることが大切です。まずは公的年金の受給資格や見込額を一度確認することをおすすめします。
見込額などを把握できれば、それに向けてどのくらいの資金を準備すればよいのか、またどのような老後資金準備の方法が自分に合っているかもみえてきます。
これを機に、一度ご自身のマネープランについてじっくり考えてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「合算対象期間」
- 日本年金機構「3号不整合記録問題とは何ですか。」
- 厚生労働省「[年金制度の仕組みと考え方]第3 公的年金制度の体系(年金給付)」
- 厚生労働省「福祉・介護 制度の紹介」
田中 友梨