異次元の少子化対策で必要な財源はいくら?
異次元の少子化対策における素案では、今後3年間で必要な予算は3兆円半ばを想定しています。
そして、2030年代はじめには、国の予算または子ども1人あたりで見た国の予算を倍増させる計画です。
児童手当も含めた子育て世帯へのサポートを提供するためには、今後も予算がさらに必要となる中で、政府はどのようにして財源を確保しようとしているのか解説します。
異次元の少子化対策における財源案は?
政府は、財源の具体的な結論は年末までに決定するとの表明をしたため、いったんは持ち越される見通しです。
児童手当を拡充するための財源案は、3つ検討されています。
- 支援金制度(仮称)
- こども特例公債(仮称)
- 扶養控除の見直し
それぞれの財源案について確認してみましょう。
1. 支援金制度(仮称)
「支援金制度」は、社会保険料の引き上げで財源を確保する案です。
具体的な支援金制度の中身は明らかになっていないので、これから検討が行われます。
2026年度から、国民1人あたり社会保険料を500円引き上げる方向で実施できないか検討中です。
社会保険料の引き上げは、国民だけでなく企業側にも配慮が求められるでしょう。
2. こども特例公債(仮称)
「こども特例公債」は、2026年度まで不足する財源をまかなう「つなぎ」の財源案です。
社会保険料の引き上げを実施して、安定的な財源を確保できるまで、必要に応じて実施すると明記されました。
3. 扶養控除の見直し
最後に「扶養控除」の見直しも検討されています。
扶養控除とは、16歳から18歳の子どもがいる世帯において、課税所得から38万円を控除して所得税や住民税を軽減できる税制です。
仮に扶養控除を撤廃すると、所得税や住民税の負担が増えることになり、家計にも影響を及ぼします。
課税所得の税率が20%かかる場合は、所得控除が適用されないと7万6000円の増税になります。
年間で12万円の児童手当を受け取っても、7万6000円の税負担になるなら、実質のプラスは4万4000円です。
扶養控除が見直されると、所得が高い人は児童手当より税負担が重くなる可能性があります。
児童手当の財源案は年内に結論
政府は、財源の確保について年内に結論を先送りにしました。
今後、どのような制度設計で児童手当が拡充されるのか、子育て世帯が恩恵を実感できる制度になるのか、引き続き注目して見ていきましょう。
参考資料
川辺 拓也