3.3 年金振込通知書で確認すること(3)合計年金額(年額)

国民年金(基礎年金)と厚生年金保険の年金額の合計額が記載されます。

3.4 年金振込通知書で確認すること(4)年金支払額

1回に支払われる年金額(控除前)が記載されます。2ヶ月ごとの支給になるため、月額を知りたい場合はこの半分が目安となります。

3.5 年金振込通知書で確認すること(5)介護保険料額 (※)

年金から特別徴収(天引き)される介護保険料額が記載されます。

3.6 年金振込通知書で確認すること(6)後期高齢者医療保険料、国民健康保険料(税)(※)

年金から特別徴収(天引き)される後期高齢者医療保険料または国民健康保険料(税)が記載されます。

3.7 年金振込通知書で確認すること(7)所得税額および復興特別所得税額

年金支払額から社会保険料と各種控除額(扶養控除や障害者控除など)を差し引いた後の額に5.105%の税率を掛けた額が記載されます。

3.8 年金振込通知書で確認すること(8)個人住民税額(※)

年金から特別徴収(天引き)される個人住民税が記載されます。

3.9 年金振込通知書で確認すること(9)控除後振込額

年金額から特別徴収(天引き)される社会保険料、所得税額および復興特別所得税額、個人住民税額を差し引いた後の振込金額が記載されます。

つまり、年金の「本当の手取り額」を知りたい場合は(9)控除後振込額が参考になります。

4. 天引きされる金額は8月以降に変わる可能性も

前章で(※)がついた項目については、あくまでも6月時点での金額になります。

というのも、天引きされる保険料や住民税に関しては、6月~7月に本決定される自治体が多いからです。

そのため、4月・6月・8月の天引き額は前年2月分と同額とし、10月から本徴収を始めることが一般的に。

中には8月から天引き額が変わる自治体もあるため、8月以降の天引き額は「年金振込通知書」ではなく、それぞれの保険料や税金の「決定通知書」で確認するようにしましょう。

5. 厚生年金と国民年金の額面は平均いくら?

2023年度の年金(6月15日支給分から)は、3年ぶりの増額改定とされています。

老齢基礎年金の場合、支給額は67歳以下の新規裁定者で6万6250円(月額)で、昨年度より1434円の引き上げに。

また、68歳以上の既裁定者でも1234円引き上げで6万6050円となりました。

ただし満額を受給できる方ばかりではありませんし、上乗せできる厚生年金の受給額もばらばらです。

最後に、厚生年金や国民年金の2021年度末の平均月額(額面)を見ることで「年金のピンキリ事情」を知っておきましょう。

厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考にします。

5.1 厚生年金の平均月額

出所:厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

全体:14万3965円

  • 男子:16万3380円
  • 女子:10万4686円

※国民年金の月額を含む

5.2 国民年金の平均月額

出所:厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

〈全体〉平均年金月額:5万6368円

  • 〈男性〉平均年金月額:5万9013円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万4346円

特に厚生年金では、額面でも個人差が大きいことがわかります。

天引きされる税金や社会保険料も所得や扶養人数などで異なるため、実際の手取り額は人によって大きく違うでしょう。

6. 年金を軸にした老後計画を

公的年金は身近な存在である一方、制度が複雑であまり知られていないこともあります。

今回は平均月額や天引きされるお金をご紹介しましたが、あまり知らなかったという方も多いのではないでしょうか。

年金に対しては「今の若い世代はほとんどもらえない」と不安視する声も多いですが、一方で「長生きしても一生涯もらえる」という点では、他の金融商品にない強みがあります。

まずは受給額の目安を把握することで、足りない老後資金を自分で備えるという対策を始めてみてはいかがでしょうか。

その際、年金から天引きされるお金があることを意識する必要があります。

将来に向け、資産運用や保険などもうまく取り入れつつ、長期で資産を育てていきたいですね。

参考資料

太田 彩子