「年収1000万円」今の時代、達成している人の割合は?

では貯蓄1000万円を達成している人の割合はどれくらいでしょうか。

2023年5月12日に公表された総務省「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2022年(令和4年)平均結果-(二人以上の世帯)」より、「 貯蓄現在高階級別世帯分布-2022 年- (二人以上の世帯)」を確認しましょう。

出所:総務省「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2022年(令和4年)平均結果-(二人以上の世帯)」

上記によれば、平均値は1901万円となっており、53.8%が貯蓄1000万円を超えていました。半分以上が貯蓄1000万円を超えていることになります。

平均は一部の富裕層に影響されるため、中央値をみると1091万円(貯蓄ゼロ世帯を含む)でした。

二人以上世帯のうち、勤労者世帯に絞った貯蓄も見てみましょう。

出所:総務省「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2022年(令和4年)平均結果-(二人以上の世帯)」

勤労者世帯になると平均値は1508万円、中央値は880万円(貯蓄ゼロ世帯を含む)まで下がります。1000万円を超えているのは46.6%となっており、半分以下ではあるものの4割を超えました。

年収1000万円は幸せになれそうか

年収1000万円以上は給与所得者の4.9%、貯蓄1000万円以上は二人以上世帯の勤労者世帯で46.6%でした。

割合を比べてみると、達成感を感じたいのであれば「年収1000万円」かもしれません。

日本の給与所得者のトップ約5%である年収1000万円を達成するには、それだけの努力や仕事にかける時間などが必要です。自身のやりがいや夢を叶えながら高年収を達成することで幸せを感じる人も多いでしょう。

一方で、高年収ゆえにワークライフバランスの取り方が難しい場合もあるため、家族や趣味を楽しむ時間をもつ、健康を維持するといった、仕事以外とのバランスをとる必要性も高くなると考えられます。

また、年収1000万円を達成しても、手取りは思ったより少ないと感じる方も。その理由の一つは所得税は累進課税のため、給与が上がるほどに税率が上がり、思ったより手取りが増えない面があるのです。

高年収であることで高等学校等就学支援金制度などで所得制限にかかったり、保育料などが高くなる場合もあります。児童手当は6月13日に公表されたこども未来戦略会議「こども未来戦略方針」案で所得制限が撤廃とされましたが、現状は目安年収1200万円以上で廃止となっています。

高所得貧乏なんて言葉もありますが、このような税金や社会保険料、また所得制限についても把握し、マネープランを立てることが大切でしょう。

貯蓄1000万円は幸せになれそうか

貯蓄1000万円以上は勤労世帯で4割超が達成していました。若いときは難しくても、年齢を重ねれば達成できるご家庭も少なくないのでしょう。

また、貯蓄1000万円については工夫次第だったり、時間をかけたりすることで達成できる場合もあります。

「固定費を抑える、日々節約をする、年収を上げる、副業をはじめる、先取り貯金をする、資産運用をする」などの方法で叶えることもできるでしょう。「いつか達成できるかも」という点では誰でも挑戦しやすく、また実際に貯蓄できれば達成感もあります。

一方で貯蓄は子どもの進学やリフォームなどで大きく減る可能性もあります。

一時期「老後2000万円問題」が話題となりましたが、年齢を重ねれば1000万円達成できる可能性がある一方で、「1000万円では老後足りないのでは」という不安にかられる可能性も十分に考えられるでしょう。

今の時代は貯蓄1000万円どころか、2000万円を目標とする方もいるかもしれませんね。

身近な目標が幸せの近道に

年収1000万円と貯蓄1000万円の割合を見てきましたが、どちらが幸せになれそうとは一概に言えず、自分に合った無理のない目標を立てることが幸せの近道と言えそうです。

年収については平均年収が443万円であることを考えると、急に1000万円を超えるのは困難なため、身近で達成しやすい目標を立てるのがよいでしょう。仕事やスキルアップ、副業で年収をあげるほか、ふるさと納税やiDeCoを利用することで手取りを増やす方法もあります。

貯蓄についても特に現役世代でお子さんがいるご家庭では、教育費や住宅ローンの負担が多くいきなり1000万円では苦しくなるご家庭も多いと思います。

子どもの成長にあわせた働き方やかかるお金を長い目で見て、非課税で運用できるNISAやiDeCoといった制度も利用しながら、まずは毎月コツコツと貯蓄していくといいでしょう。

身近で自分に合った目標を立て、コトコツと努力を続けていくことが結局は幸せの近道と言えそうです。

参考資料

宮野 茉莉子