2023年初来のイオン(8267)の株価は、年初に一時的な下落が見られましたが、2023年2月期第3四半期の好調な決算を発表したのちはおおむね堅調な推移となっています。

原料高などの逆風要因があったにもかかわらず、増収増益となったことなどが好感された形と考えられます。

イオン株式会社の2023年初来の株価の推移(終値ベース:円):2022年12月30日~2023年5月31日

出所:各種資料をもとに筆者作成

一方で、日本市場へ依存していることなどは今後のイオンの株価に対するリスクとして留意しておく必要があるでしょう。

今回はイオンの株価についてみていきます。

※株式分割の影響は、株価や配当金、株式数など全て遡及修正して株価を調整しています。
※記事中で記載の株価は全て終値となっています。

1. イオン(8267)は好決算が続き株価は上昇傾向に

イオンの株価は年初こそさえない動きが続きましたが、1月半ばの2023年2月期第3四半期の決算と、4月の通期決算の発表でいずれも堅調な業績を示したことから、次第に株価は上昇したと考えられます。

イオンが属する小売セクターにおいては、昨今は原料高が逆風要因となりがちです。しかし、2023年2月期第3四半期の決算では、営業収益・営業利益において過去最高を更新しました。

特に利益水準が上向いていることは、原料⾼や電気代の上昇を売上回復等のコントロールで吸収した点もあり、投資家には好感されたと考えられます。

その後の通期決算でも、営業利益・経常利益・純利益全てで増益、また営業収益では初めて9兆円台を達成しています。営業収益はコロナ前の2019年の水準を上回っているなど、コロナ禍の影響からも脱却できている点もポジティブに捉えられています。

2. イオンの株価が抱えるリスクとは

年初来おおむね堅調なイオンの株価ですが、一方でリスクも抱えています。

たとえば「国内市場への依存」は、イオン自身が事業上のリスクとして表明しています。イオンの公式サイトにおいては「事業などのリスク」としてさまざまなリスク要因を公表しています。

イオン以外にも当てはまるため「イオン固有のリスク」とは言い難いものも多いですが、「競合激化及び消費動向等の影響に関するリスク」にある国内依存度の高さは、イオンのリスク特性の一つといえます。

日本経済の悪化や人口減少、為替(特に円安)などが売上・利益の減少要因となるリスクがグローバル企業と比べると高いと考えられます。

また、イオンは株主に配慮する方針から配当性向が高い傾向にあります。

たとえば2023年2月の配当性向は143%となっていて、一株あたりの純利益より多くの金額を配当に回している状態です。将来、業績悪化などにより高い配当を維持できなくなったときなどに減配・無配などのリスクが想定されます。