6月15日(木)は年金支給日です。年金は、偶数月にその前の月までの2カ月分が支給されます。毎月ではないので、偶数月を心待ちにされている方も多いことでしょう。

しかし、そんな公的年金からも天引きされる税金や保険料があることはご存じですか?

いざ年金受給が始まった時に「こんなに引かれるの?」と慌てても手遅れになってしまいます。そこで、本記事では、厚生年金や国民年金から天引きされるお金について解説していきます。

セカンドライフに向けた準備をしていくにあたり必要な知識となりますので、確認しておきましょう。

1.【日本の年金制度】国民年金・厚生年金

最初に、簡単に日本の公的年金制度のしくみを確認しておきましょう。日本の公的年金制度は「国民年金」と「厚生年金」による2階建て構造です。

出所:日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 被保険者のしおり」(令和5年4月)・厚生労働省「日本の公的年金は『2階建て』」をもとにLIMO編集部作成

1.1 国民年金(老齢基礎年金)

1階部分にあたる国民年金は、原則、日本に住む20~60歳未満の全ての人が加入します。保険料は一律でひと月1万6520円(2023年度)。40年間(480カ月)すべての保険料を納めると、老後、満額の国民年金(老齢基礎年金)を受給することができます。未納や免除期間があれば、満額から減額された分が支給される仕組みです。

1.2 厚生年金(老齢厚生年金)

2階部分にあたる厚生年金は、会社員や公務員などが加入します。厚生年金の保険料は、報酬によって計算され、勤務先の事業所と折半して毎月の給与や賞与から天引きされます。加入期間が長く、納めた保険料が高い、つまり現役時代の年収が高い人ほど将来の年金受給額が高くなる仕組みです(上限あり)。

2.「厚生年金(第1号)」受給額は月額いくらなのか

では、いまのシニアの人たちは、毎月どれくらい年金をもらっているのでしょうか。現役時代の年収によって個人差が出る「厚生年金」から見ていきましょう。

2.1 厚生年金の平均受給月額

厚生労働省年金局の「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の平均受給額は男女合計・男女別で以下のとおりでした。

平均年金月額:14万3965円

  • 〈男性〉平均年金月額:16万3380円
  • 〈女性〉平均年金月額:10万4686円

※国民年金の金額を含む

2.2 厚生年金月額階級別の老齢年金受給者数

男女全体の厚生年金月額を1万円刻みでみておきます。

出所:厚生労働省年金局「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 1万円未満:9万9642人
  • 1万円以上~2万円未満:2万1099人
  • 2万円以上~3万円未満:5万6394人
  • 3万円以上~4万円未満:10万364人
  • 4万円以上~5万円未満:11万1076人
  • 5万円以上~6万円未満:16万3877人
  • 6万円以上~7万円未満:41万6310人
  • 7万円以上~8万円未満:70万7600人
  • 8万円以上~9万円未満:93万7890人
  • 9万円以上~10万円未満:113万5527人
  • 10万円以上~11万円未満:113万5983人
  • 11万円以上~12万円未満:103万7483人
  • 12万円以上~13万円未満:94万5237人
  • 13万円以上~14万円未満:91万8753人
  • 14万円以上~15万円未満:93万9100人
  • 15万円以上~16万円未満:97万1605人
  • 16万円以上~17万円未満:101万5909人
  • 17万円以上~18万円未満:104万2396人
  • 18万円以上~19万円未満:100万5506人
  • 19万円以上~20万円未満:91万7100人
  • 20万円以上~21万円未満:77万5394人
  • 21万円以上~22万円未満:59万3908人
  • 22万円以上~23万円未満:40万9231人
  • 23万円以上~24万円未満:27万4250人
  • 24万円以上~25万円未満:18万1775人
  • 25万円以上~26万円未満:11万4222人
  • 26万円以上~27万円未満:6万8976人
  • 27万円以上~28万円未満:3万9784人
  • 28万円以上~29万円未満:1万9866人
  • 29万円以上~30万円未満:9372人
  • 30万円以上~:1万4816人

※国民年金部分を含む

男女全体の国民年金の平均月額は14万3965円でしたが、ボリュームゾーンは「10万円以上~11万円未満」です。やはり個人差がみられますが、「9万円以上~18万円未満」の方が多いようですね。

男女別では、男性の平均年金月額16万3380円に対し、女性は10万4686円。女性の受給額は男性より6万円ほど少なくなっています。女性の場合は出産や育児などを機に働き方が変わることが多いため、受給額の差が生じていると考えられます。

3.「国民年金」受給額は月額いくらなのか

つづいて、同資料より国民年金の平均受給額を確認してみます。

3.1 国民年金の平均受給月額

平均年金月額:5万6368円

  • 〈男性〉平均年金月額:5万9013円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万4346円

3.2 国民年金月額階級別の老齢年金受給者数

出所:厚生労働省年金局「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 1万円未満:7万27人
  • 1万円以上~2万円未満:28万4152人
  • 2万円以上~3万円未満:90万3006人
  • 3万円以上~4万円未満:274万9550人
  • 4万円以上~5万円未満:463万6048人
  • 5万円以上~6万円未満:791万730人
  • 6万円以上~7万円未満:1500万3006人
  • 7万円以上~:187万2466人

国民年金は自営業やフリーランス、専業主婦(主夫)だった方が受け取ります。男女ともに、ボリュームゾーンは「6万円以上~7万円未満」となっており、平均月額の男女差はさほどないことがわかります。

老後の収入が国民年金だけの場合、いまから公的年金を補うための老後資金準備をしたほうが安心といえそうです。