6月の年金支給日は15日(木)です。

年金は原則として偶数月の15日に「前々月と前月分」が支給されるため、今月の支給分からが2023年度の年金となります。

2023年度は3年ぶりに年金が増額されるとあって、その支給額には注目が集まっています。

ただし、年金から天引きされるお金があることには注意が必要です。

さらに、6月支給の年金から天引きされるお金の中には、2022年度と変わらないものもあるのです。くわしく見ていきましょう。

1. 厚生年金と国民年金は6月支給分から増額へ

厚生労働省によると、厚生年金と国民年金は2023年度に増額改定となります。

出所:厚生労働省「令和5年度の年金額改定についてお知らせします」

老齢基礎年金の場合、支給額は67歳以下の新規裁定者で6万6250円(月額)となり、昨年度より1434円の引き上げに。

また、68歳以上の既裁定者でも1234円引き上げで6万6050円となりました。

厚生年金は個人差が激しいものの、モデルとして「夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額」が、月額22万4482円と示されています。

なお、こちらは夫が平均標準報酬43万9000円で40年間就業した場合を想定しています。

2. 年金から天引きされる税金と社会保険料とは

私達が普段の給与から天引きされるように、年金からも税金や保険料が天引きされます。

そのため、上記の額面をそのまま受け取れるわけではない点に注意しましょう。

年金から天引きされるお金を見ていきます。

2.1 所得税および復興特別所得税

公的年金は雑所得となり、65歳未満なら108万円、65歳以上なら158万円を超えると所得税が課税されます。

これらの税金は年金から源泉徴収されます。

また「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法(平成23年法律117号)」により、所得税の源泉徴収の際に併せて復興特別所得税もかかります。

ただし、障害年金や遺族年金は非課税です。

2.2 個人住民税

前年中の所得が一定以上の方は住民税が課税され、原則として年金から天引きされます。

ただし、障害年金や遺族年金を受給する場合は非課税です。

2.3 介護保険料

65歳以上の方が支払う第1号介護保険料も、原則として年金から天引きされます。

介護状態になれば介護保険料の支払いが終わると考える方もいますが、支払いは一生涯続くことに注意しましょう。

保険料は3年ごとに見直され、ここ数年は上昇傾向にあります。

2.4 国民健康保険料(税)

国民健康保険とは、協会けんぽや健康保険組合などの会社の保険に加入していない75歳未満の方が加入する公的健康保険です。

65歳から74歳までの世帯の場合、原則として保険料が年金から天引きされます。

2.5 後期高齢者医療制度の保険料

原則75歳以上の方は「後期高齢者医療制度」に加入します。こちらの保険料も、原則として年金から天引きされます。

※国民健康保険や後期高齢者医療制度は、申請により普通徴収(納付書や口座振替)に変えられる自治体もありますが、それでも支払いの義務はあるため、実質年金天引きと負担は変わらないといえます。

※国民健康保険と後期高齢者医療制度はいずれかの加入になるため、同時に天引きされることはありません。

実際に天引きされるお金は、6月上旬に送付される年金振込通知書で確認できます。