全国的に今年は梅雨が早く、近年は梅雨末期に大雨があり災害も増えています。もしものための準備も必要なので、できる限り準備をして防災に努めましょう。

雨が続く時期は、おうちで過ごす時間も増えるものです。おうち時間を利用して、将来のお金について考えてみるのはいかがでしょうか。

今回は、年金の繰下げ受給の注意事項について解説します。

通常、厚生年金や国民年金は65歳から受給することができます(生年月日や厚生年金の加入期間により、65歳より前から受給できる方もいます)。

老後にもらえる老齢厚生年金や老齢基礎年金を65歳より前にもらえることを繰上げといい、繰上げをすると1ヶ月あたり 0.4%の減額で最大24%(1962年4月1日以前生まれの方は0.5%で最大30%)となり、一生涯減額となった金額を受給することとなります。

反対に、最大75歳まで受給を遅らせることにより、一生涯増額した年金を受け取ることもできます。

これを年金の繰下げ受給といいますが、注意点もあります。くわしくみていきましょう。

1. 年金の繰下げ受給とは?

年金の繰り下げとは、65歳からもらえる老齢厚生年金や老齢基礎年金を66歳以降75歳までの間に受給することで、繰り下げる期間を1ヶ月あたり、0.7%増やすことができる制度のことです。

1年遅らせるだけで、66歳から0.7%×12=8.4%と増額された年金を受給することができるので、年金額を増やすことができるのは、嬉しいことです。

出所:日本年金機構「年金の繰下げ受給」

増額率 = 0.7% × 65歳に達した月から繰下げ申出付きの前月までの月数

※昭和27年4月1日以前生まれの方は、70歳までの繰上げとなります。

1.1 繰下げ受給の受給額例

「老齢厚生年金120万円」と「老齢基礎年金70万円」を受給できる方が、66歳から繰下げをする場合、65歳からの受給はありませんが、66歳から8.4%増額された金額が受給できます。

  • 老齢厚生年金 120万円 × ( 1 + 0.084 ) = 130万800円
  • 老齢基礎年金 70万円  × ( 1 + 0.084 ) = 75万8800円
  • 130万0800円 + 75万8800円 = 合計205万9600円

2. 繰下げ受給をする際のメリットとデメリット

繰下げ受給メリットは、老後の年金額を一生涯増やせるため、老後の不安が多少なりとも少なくなる点です。

反対に主なデメリットは、年金を繰下げ受給するまでの間、その年金をもらうことができないことがあげられます。

同時に2つの年金を繰下げできますが、老齢厚生年金だけ、老齢基礎年金だけと一方だけの繰下げもできます。

さらなるデメリットとして、年金額が増えるため、医療保険や介護保険、その他支援金の給付停止や所得税、住民税の金額が増えることがあります。

75歳を過ぎて請求した場合(昭和27年4月1日以前生まれは70歳)、それ以上は増えませんので、その年齢になったらすぐに請求しましょう。

老齢厚生年金以外に退職共済年金を受ける場合は、すべての老齢厚生年金を同時に繰下げ請求しなくてはなりません。

また65歳から66歳の誕生日の前日までに障害給付や遺族給付を受ける権利がある場合、繰下げの申出ができません。

繰下げの待機期間中に、配偶者が亡くなり遺族年金の受給権が発生した場合、増額率が固定され、それ以降の年金額が増額されない点にも注意が必要です。

3. 繰下げ受給は加給年金や振替加算にも影響する?

配偶者がいる場合、繰下げ受給は加給年金や振替加算にも影響する可能性があります。

加給年金とは年金の家族手当のようなもので、厚生年金の被保険者期間が20年以上ある方が、65歳到達時点または特別支給の老齢厚生の定額部分を受給した時点で、その方に生計維持されている配偶者(配偶者が老齢厚生年金や退職共済年金を受ける権利(20年以上)があるときを除く、例外あり)や子がいるときに受給できます。

加給年金の対象者が65歳になれば加給年金はもらえなくなりますが、それ以降は振替加算として一生涯もらえます。