配当金や株主優待を目的に株式投資を行っても、日々の株価の変動は気になるものです。長期投資であっても身銭を切って投資しているので、株価が気になるのは仕方ありません。
株価の変動は、企業業績のみならず日本そして世界経済全体の流れからも大きな影響を受けます。そして株価の変動は、株式のリターンに大きな影響を与えます。
よって配当や優待を目的に株式に投資した場合でも、「株価の値上がり・値下がり」は株式のリターンとしては欠かすことができない要因です。
今回はイオン(8267)について、配当金や株主優待、株価もあわせた「1年前に100株を買った人の本当のリターン」を確認します。
※記事中で記載の株価は全て終値となっています。
※株式分割の影響は全て遡及修正して株価を調整しています。
1. イオン(8267)の配当金のリターンはいくらか
イオンの株式を1年前に買い、持ち続けたとすると、「2023年2月期の中間配当」と、「2023年2月期の期末配当」の計2回を受け取ることができます。
出所:イオン株式会社「2023年2月期 決算短信[日本基準](連結)」
なお、配当基準日を迎えた時点でリターンが確定したとします。
今回の検証では、以下のような想定となります。
- 株式の取得日:2022年6月9日
- 株式の取得価格:2323円(取得日の終値)
- 2022年12月期・中間配当:18円
- 2022年12月期・期末配当:18円
- 100株ベースの配当金のリターン:3600円
それでは次に、株主優待のリターンを計算していきます。
2. イオンの株主優待のリターンはいくらか
イオンは決算期(2月28日)現在、100株以上保有する株主に向けて、株主優待カード(オーナーズカード)を発行しています。持株数に応じて3・4・5・7%のキャッシュバックを受けられます。
今回は試算のため、Webサイトに記載の3万円(100株所有、半年間で100万円の買い物)の想定経済価値としました。
そのため、優待のリターンは3万円とします。
出所:イオン株式会社 株主優待制度
3.イオンの株式投資のトータル・リターンはいくらか
以上、配当金と株主優待のリターンについて振り返ってきました。
次に、株価変動によるリターンを計算します。
- 株式の取得日:2022年6月9日
- 株式の取得価格:2323円(取得日の終値)
- 取得から1年後の日付:2023年6月9日
- 1年後の株価の終値:2814円
- 100株ベースの株価変動によるリターン:+4万9100円
そして最後に、トータル・リターンを計算します。
- 配当金のリターン:3600円
- 株主優待のリターン:3万円
- 株価変動によるリターン:+4万9100円
- トータル・リターン(金額ベース):+8万2700円
- トータル・リターン(%ベース):+35.6%
トータル・リターンは金額ベースで+8万2700円でした。
4. イオンの配当金の推移を確認
イオン株式の年間リターンは+35.6%でした。
最後にイオンの配当金の推移を確認しましょう。
出所:イオン株式会社 配当状況(配当金について)
配当金・株主優待・株価とそれぞれ分解して株式のリターンを確認すると、どの要素がリターンに影響を与えているか一目瞭然となります。
配当金や株主優待を目的に長期視点で投資した場合でも、株価水準を確認して、株式全体としてのリターンも把握しておきましょう。
参考資料
石井 僚一