株式投資を行っている方は、現在どんな銘柄に注目していますか。

今回は、昨今の株価の値動きで注目が高まっている「日本郵船(9101)」についてご紹介します。

企業情報や株価の推移、日本郵船でもらえる株主優待など、株式投資に役立つ情報を詳しく見ていきましょう。

1. 日本郵船(9101)の企業情報

日本郵船は、東京に本社を置く大手海運会社です。創立は明治18年(1885年)で、約140年も日本の経済を支えてきた企業と言えるでしょう。

企業規模を評価する際の指標である時価総額(株価×発行済株式数)は、2023年5月31日時点で約1兆5164億6600万円となっています。また、株価の割高率を見る上で参考となるPBRは0.61倍となっています。

次に、日本郵船の業績データを確認していきます。日本郵船のホームページによると、2020年度~2022年度の売上高、営業利益・売上高営業利益率と2023年度の予想は、以下のように推移しています。

出所:日本郵船株式会社「業績ハイライト」

日本郵船は、2022年までは特に大きく売上を伸ばしました。2021年から2022年にかけて、海運市場においてコンテナ船運賃の高騰が高騰し、売上が大きく増えたことが1つの要因だと考えられます。日本郵船だけではなく、商船三井など、その他の海運企業も売上高を伸ばしました。

しかしこの運賃の高騰は、「海運バブル」と呼ばれるほど一時的なもので、2023年以降は落ち着き、日本郵船の売上高や営業利益率も2022年度よりは下降していると考えられます。

2. 日本郵船の株価の推移と配当

2023年の日本郵船の株価は、2023年2月28日の3724円が最も高値となっています。最安値は1月5日の2858円です。直近では、2023年5月31日の終値が2972円となっています。

多少の乱高下はありますが、全体的には2021年の年初あたりから、大幅に株価が上昇している傾向が見られます。売上の上昇とともに、日本郵船の株への注目度も上がったと考えられます。

そして、日本郵船の配当金は、公式サイトによると以下の通り推移しています。

出所:日本郵船株式会社「配当・株主優待」

日本郵船は、2022年9月30日を基準日および10月1日を効力発生日として、普通株式1株につき3株の割合で株式分割を実施しました。配当の表やグラフは、分割後基準で表示されており、2021年度以前の配当金は、株式分割の影響を考慮し調整されています。

2022年度は年間で520円となっており、2023年度の予想は120円です。

また、日本郵船の利益のうち、どのくらいを配当に向けたかを見る指標「配当性向」は、ここ5年間で上昇している傾向が見られました。

3. 日本郵船の株主優待とは?

次に日本郵船の株主優待をチェックしていきます。

日本郵船では、決算期(3月31日)現在、100株以上所有している株主を対象に、株主優待制度を行っています。内容は株式数に応じて、クルーズ船の割引チケットがもらえるというものです。

出所:日本郵船株式会社「配当・株主優待」

ご優待割引券1枚につき1クルーズ1名様10%の割引を受けることができます。利用対象は、飛鳥クルーズのみです。

その他、細かい注意事項があるので、気になる方は、事前に日本郵船のホームページで、株主優待の内容をしっかり確認しておくようにしましょう。

4. 日本郵船への株式投資まとめ

日本郵船は、特に2021年から2022年にかけて大きく売上を伸ばしました。しかし、2022年以降、コンテナ船運賃等も落ち着きを取り戻しつつあるため、今後も同じような売上を期待できるとは限りません。

一方で、日本郵船は、日本を支える大手海運会社の1つです。安定的な経営や、信頼性が高い会社という点で、急に経営難に陥るという可能性は低いとも考えられます。他の銘柄とのバランスや、タイミングを取りながら、日本郵船への株式投資を検討してみましょう。

5. まとめにかえて

日本郵船の企業情報について、概要を理解できたでしょうか。

日本郵船のように、ここ数年大きく売上が変動している銘柄については、投資家から注目が集まりやすい傾向にあります。中には、短期的な株価の値上がり利益を期待して、投資をしたくなる人もいるかもしれませんね。

しかし、株式投資では企業や経営の財務データなど、しっかり分析を行った上で、投資判断をすることが大切です。他の銘柄とのバランスを考慮にいれながら、日本郵船の銘柄分析を行ってみましょう。

参考資料

下中英恵FP事務所 下中 英恵