株式を買う際、配当や優待だけでなく、気になるのが「株価の変動」でしょう。

配当や優待を受けとっていても、株価の変動は社会情勢や企業業績などによって時に大きく動き、リターンに影響を与えるもの。

株式投資において、「株価の値上がり・値下がり」は見逃せない要因です。

今回はオリックス(8591)について、配当金や株主優待、株価もあわせた「1年前に100株を買った人の本当のリターン」を確認します。

※記事中で記載の株価は全て終値となっています。
※株式分割の影響は全て遡及修正して株価を調整しています。

1. オリックス(8591)の配当金のリターンはいくらか

オリックスの株式を1年前に買い、持ち続けたとすると、「2023年3月期の中間配当と2023年3月期期末配当」の計2回を受け取ることができます。

出所:オリックス株式会社「2023年3月期 決算短信〔米国基準〕(連結)」

なお、配当基準日を迎えた時点でリターンが確定したとします。

今回の検証では、以下のような想定となります。

  • 株式の取得日:2022年6月7日 
  • 株式の取得価格:2462円(取得日の終値)
  • 2023年3月期・中間配当:42.8円 
  • 2023年3月期・期末配当:42.8円
  • 100株ベースの配当金のリターン:8560円

それでは次に、株主優待のリターンを計算していきます。

2. オリックスの株主優待のリターンはいくらか

オリックスは決算期(2023年3月期)現在、100株以上保有する方に向けて「ふるさと優待」と「株主カードによる優待」を提供しています。

「ふるさと優待」は、3年以上継続保有の株主にAコースのカタログを、3年未満保有の株主にBコースのカタログを配布。その中から1点、好きな商品を選ぶことができます。

「株主カードによる優待」は、株主カードの提示によりオリックスグループの各サービスが割引価格で受けられるものです。

出所:オリックス株式会社「株主優待について」

出所:オリックス株式会社「株主優待について」

ふるさと優待のBコースのカタログは5000円相当の商品が掲載されています。ただしこれは、カタログギフトの最後に記載されている「野球観戦券」を選択した場合のリターンです。

株主カードで受けられるサービスは、ドリンク1杯無料、入場料10%割引、カーナビゲーションプレゼントなど多岐に渡ります。そのため、試算には含みません。

今回は、ふるさと優待においてBコースカタログをもらった場合を想定します。

そのため、今回の試算での優待のリターンは5000円です。

ただし、2024年3月31日時点で株主名簿に記載がある株主への配布をもって、「ふるさと優待」「株主カード」いずれの優待制度も廃止されます。

出所:オリックス株式会社「株主優待制度の廃止に関するお知らせ」

3.  オリックスの株式投資のトータル・リターンはいくらか

以上、配当金と株主優待のリターンについて振り返ってきました。

次に、株価変動によるリターンを計算します。

  • 株式の取得日:2022年6月7日 
  • 株式の取得価格:2462円(取得日の終値)
  • 取得から1年後の日付:2023年6月7日 
  • 1年後の株価の終値:2457円
  • 100株ベースの株価変動によるリターン:▲500円

そして最後に、トータル・リターンを計算します。

  • 配当金のリターン:8560円
  • 株主優待のリターン:5000円
  • 株価変動によるリターン:▲500円
  • トータル・リターン(金額ベース):+1万3060円
  • トータル・リターン(%ベース):+5.3%

トータル・リターンは金額ベースで+1万3060円でした。

4. オリックスの配当推移を確認

オリックスの株式の年間リターンは+5.3%でした。

最後にオリックスの配当金の推移を確認しましょう。

出所:オリックス株式会社「配当方針・配当状況」

配当金・優待・株価とそれぞれの要素を確認すると、どのような影響が株式投資のリターンにあらわれているかわかりやすいでしょう。

今回確認した通り、株式投資の際は配当や優待だけでなく、株価水準についてもきちんと確認してみてください。

参考資料

宮野 茉莉子