株式を買う際、配当や優待だけでなく、気になるのが「株価の変動」でしょう。
配当や優待を受けとっていても、株価の変動は社会情勢や企業業績などによって時に大きく動き、リターンに影響を与えるもの。
株式投資において、「株価の値上がり・値下がり」は見逃せない要因です。
今回はJT(2914)について、配当金や株主優待、株価もあわせた「1年前に100株を買った人の本当のリターン」を確認します。
※記事中で記載の株価は全て終値となっています。
※株式分割の影響は全て遡及修正して株価を調整しています。
1. JT(2914)の配当金のリターンはいくらか
JTの株式を1年前に買い、持ち続けたとすると、「2022年12月期の中間配当と2022年12月期期末配当」の計2回を受け取ることができます。
なお、配当基準日を迎えた時点でリターンが確定したとします。
今回の検証では、以下のような想定となります。
- 株式の取得日:2022年6月7日
- 株式の取得価格:2407円(取得日の終値)
- 2022年12月期・中間配当:75円
- 2022年12月期・期末配当:113円
- 100株ベースの配当金のリターン:1万8800円
それでは次に、株主優待のリターンを計算していきます。
2. JTの株主優待のリターンはいくらか
JTは決算期(2022年12月期)現在、12月31日基準日100株以上を1年以上保有する方に向けて、グループ会社等の商品を提供しています。
1年以上継続保有とは、同一株主番号でたとえば2021年12月31日、2022年3月31日、6月30日、9月30日、12月31日現在の株主名簿に記載または記録されており、そのすべての時点での保有株式数が100株(1単元)以上であることが条件です。そのため、今回の試算では優待のリターンは0円です。
また、JTは2023年の発想をもって株主優待制度を廃止することになりました。
3. JTの株式投資のトータル・リターンはいくらか
以上、配当金と株主優待のリターンについて振り返ってきました。
次に、株価変動によるリターンを計算します。
- 株式の取得日:2022年6月7日
- 株式の取得価格:2407円(取得日の終値)
- 取得から1年後の日付:2023年6月7日
- 1年後の株価の終値:3120円
- 100株ベースの株価変動によるリターン:+7万1300円
そして最後に、トータル・リターンを計算します。
- 配当金のリターン:1万8800円
- 株主優待のリターン:0円
- 株価変動によるリターン:+7万1300円
- トータル・リターン(金額ベース):+9万100円
- トータル・リターン(%ベース):+37.4%
トータル・リターンは金額ベースで:+9万100円でした。
4. JTの配当推移を確認
JTの株式の年間リターンは+37.4%でした。
最後にJTの配当金の推移を確認しましょう。
配当金・優待・株価とそれぞれの要素を確認すると、どのような影響が株式投資のリターンにあらわれているかわかりやすいでしょう。
今回確認した通り、株式投資の際は配当や優待だけでなく、株価水準についてもきちんと確認してみてください。
参考資料
- 日本たばこ産業株式会社「2023年12月期 第1四半期決算短信〔IFRS〕(連結)」
- 日本たばこ産業株式会社「株主優待」
- 日本たばこ産業株式会社「株主優待制度の廃止に関するお知らせ」
- 日本たばこ産業株式会社「配当」
宮野 茉莉子